◎ 夏祭り(3/5)
「チョコバナナくださーい!」
「ハル!京子ちゃん!!」
雲雀が去ったかと思うと入れ替わりでハルと京子が現れる。
二人とも夏祭りらしく浴衣に身を包んでいて、普段とは違う二人の様子にツナや葵は顔を赤らめた。
「すごーい!お店してるの?」
「うん…まあ」
「二人とも浴衣すごく似合ってる!かわいいよ」
「「!!」」
葵がニッと笑いながら言うと二人とも顔を赤らめる。
「でもちょっと残念です。みんなで花火見ようって言ってたんで…」
「花火……!」
二人はチョコバナナを買っていくと頑張ってねと言うと他の屋台へ向かっていった。
屋台ももちろんやってみたかったが、みんなで花火という言葉に葵は行きたかったなとぽつりと漏らす。
それを聞いた獄寺と山本は少し考えた後言った。
「でも全部売っちまえばオレたちも花火見にいけんじゃね?」
「だな」
「!ほんとに?」
「そーだよ!がんばって早く終わらせちゃわない?」
「10代目のお望みとあらば!!」
「うん!」
四人は気合いを入れ直すといざチョコバナナを売ろうと尽力するが…
「買えやコラァ!!」
「!」
「ひっ…」
「怖っ!」
「(獄寺君が張り切る程お客さんが遠のいていく…)」
そんな獄寺とは反面、山本と葵は――
「あいよ!あい2つね」
「お兄ちゃんにありがとって」
「ありがとーー」
「おう!じゃあなっ」
「お待たせしました!」
「あ、ありがとうございます…!」
「お祭り楽しんでくださいね!」
「(それにひきかえ、山本と葵さすが!)」
人はまばらながらも来ているもののこのままでは明らかに花火までに売り切るのは難しい状況でツナはガーンとなっていると見てられないと声が聞こえてくる。
その声の主は大人イーピンで大家さんの娘さんのお下がりで貰ったという浴衣を着ているがとてもよく似合っていた。
大人イーピンは屋台の様子を見るや否やアドバイスをしていく。
「いくら生チョコぬるからって何もぬってないバナナ並んでたらもったいないですよ」
「ああ?」
「チョコぬったのも展示しましょうよ!商品は見た目が大事ですから」
「なるほど」
「確かにこの方が美味しそう!」
「イーピン商才あるんだな」
「あとは風水かなー」
「(中華なのきたーー!!)」
しかし大人イーピンのアドバイスのおかげか、その後大繁盛してチョコバナナはガンガン売れた。
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