明日晴れるかな(日常編) | ナノ

 ジョイフル(3/4)



案内板には注意書きのところに刺青を入れている人は大浴場への入浴を断っているとの記載があり、葵はそれを見ていたのだと勘違いしたのだ。
だが、その手があったかと逆手に取り、葵はそれでみんなと入れないため、部屋のお風呂に入ると言った。

普段水泳の授業も休んでいて、何故かと疑問に思っていたがそのせいかと2人は納得しており、まさに棚からぼたもち。


なんとかなったと安心したツナは葵に2人のことは足止めしとくからゆっくり入りなよとこっそり耳打ちをする。
そんなツナにありがとうと葵は笑った。



「ふー…部屋のお風呂にも温泉ひいてるのか……気持ちいい……」



1番の関門であったお風呂問題を無事になんとかすることが出来、それに安堵しつつ葵はゆっくりとお風呂に入った。
3人が戻ってくる前に着替えたり、荷物の整理を終えてのんびり待っていると3人も戻ってきた。



「大浴場どうだった?」

「すっげー広かったぜ。泳げるんじゃねーかってくらい」

「お風呂もいろんな種類があったよ」

「そっか!楽しめたなら良かった」



すると獄寺がぶっきらぼうに葵へコーヒー牛乳を差し出す。



「コーヒー牛乳?」

「オレたちはもうお風呂上がりに飲んだんだけど、獄寺君が葵にもって」

「じゅ、10代目!」

「獄寺ありがとうな!」

「!」



嬉しそうに笑う葵に何も言えなくなった獄寺は別にと顔を赤くしながら小さく呟いた。
お風呂上がりに飲むコーヒー牛乳は格別で、美味しいと言いながら葵は飲んでいて、そんな様子を獄寺はどこか満足気に見ていたのはここだけの話。







「いや〜食った食った!」

「すごく美味しかったね」



夕食を食べ終えて部屋まで戻ろうとした時にふと卓球台と書かれた案内板が目にとまり、覗いてみるとその案内通り卓球台があり、運良く誰も使ってない。
食後の運動も兼ねて4人は卓球をすることになったのだが――



「あだっ!!」

「ツナ!」

「おい、野球バカ!もうちょい加減しろ!」

「悪ぃな。ツナ大丈夫か?」

「(卓球もダメダメなんて……とほほ……)」



一方運動神経抜群の山本は卓球経験はほとんどないものの流石といった腕前で、獄寺はそんな山本が気に入らなかったのか勝負を挑む。
その様子をツナと葵は笑いながら見ていた。



「羽根〜のな〜い天使は僕に言った〜」

「家〜へと帰る地図をなく〜して〜」

「10代目!お上手ですよ!!」

「葵もなかなかだな!」



それから卓球台の付近にあったカラオケで歌ったり、ルールは分からないながらもダーツをしてみたり、どんなことでも4人一緒だと楽しくて時間はあっという間に過ぎていった。

気づけばそこそこ遅い時間になっていて、慌てて部屋に帰って布団を敷くとすぐに休むことに。



「駄菓子食べられなかったね」

「また明日の帰りにでも食べようよ」

「んじゃ、電気消すなー」



山本がそう言ってすぐに部屋は暗闇に包まれる。
布団に戻ってから少しの間沈黙が訪れて、その後誰かが繰り返し寝返りを打っているのかやけに布団と服が擦れる音が響く。



「…………なあ」

「ん?」

「どうしたの、山本」

「いや、なんか寝るのもったいねーなって思って」

「ふふっ。それオレも思った。なんかわくわくするよな」

「たく、おめーらは……」

「獄寺君、まーまー」

「でも、今日1日楽しかったなー…」



葵がそうしみじみ呟くと、みんな今日の事を思い出す。

自転車をこいで旅館まで来たこと、川に行ったり、温泉に入ったり、卓球したり――。
考えてみれば特別なことなんて特にした訳じゃないのに楽しかった、という気持ちが大きくて自然と笑みが零れた。



「またどっか行きてーな。今度は……キャンプとか?」

「キャンプか…いつぶりだろう」

「オレ、バーベキューしたい!」

「キャンプと言えばカレーだろ」

「どっちも山で食ったらうまそーだなー」




するとどこからともかくぐ〜とお腹のなる音が。
笑ってはいけないと思いつつも、ついつい笑ってしまい 鳴らした張本人もそんなみんなにつられて笑ってしまったのか、結局誰のお腹の音かはわからなかった。

他にも海に行く約束や
夏祭りに行く約束、
沢田家に集まる約束などなど、
4人はたくさんの約束を交わすと気づけば眠りについていた。





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