明日晴れるかな(日常編) | ナノ

 ジョイフル(2/4)



「おー!良い景色!」

「あははっ。みんなでサイクリングってのもなかなか良いなー!」



駅のところでちょうどレンタルサイクルをやっているのを山本が見つけたのだ。
値段もそこまで高くなく、旅館の周りの散策にも使えるとのことで2日間自転車をレンタルすることに。

辺りは緑が多く夏場ではあるが心地よい風を感じることが出来て葵と山本は楽しそうにはしゃいでおり、その様子を呆れながら獄寺は見つつ呟く。



「ガキかよ……10代目、大丈夫っすか?」

「う、うん!(自転車乗れるようになったの最近だからケガしないようにしないと……にしても――)」

「山本速いな!これは負けられない…!」

「勝負なら負けねーのな!」

「(葵、楽しそうでよかった。昨日の夜なんか深刻そうな顔してたけど……気のせいか)」



どんどんスピードを上げていく2人に獄寺は止まれ!と大声をあげる。
何事かと思ってみんなスピードを落とし止まり獄寺の方を向くと、当の本人はカバンからパンフレットを取り出して何かを確認した後、別れ道の旅館がある方とは逆側を指さしながら言った。



「やっぱりそうだ――お前らこっちに行くぞ!」

「ん?旅館は逆側だろ」

「ああ。だが、こっち側に行けば――有名なソフトクリーム屋があるんだよ!!」



そう言いながらパンフレットを見せつける。
そこには確かに名物!絶対食べるべき!と口コミの書かれたソフトクリーム屋が載っていた。



「んな!?」

「そういう事か!いいじゃん、せっかくだから行こうぜ」

「よし。10代目!すぐなのでちょっとだけ寄り道失礼します!」

「う、うん」

「なんか今日の獄寺いつも以上に頼りになるな〜」

「おい!どういう意味だ!!」







獄寺の言っていたソフトクリーム屋はパンフレットに載っていたとおり美味しくて、特に夏場の暑い時期にはピッタリだった。
それを食べ終えると自転車を走らせ旅館へとうとう一行はたどり着いた。

ペア旅行券だったので、本来なら2人部屋が2つ用意されていたのだが、せっかくみんなで来たのだからと旅館の人の好意で4人が泊まっても十分な広さのある大部屋に泊まることに。



「うわ〜すっげー広い!」

「これは……畳!?」

「ほんとだ!オレ、畳に布団敷いて寝てみたかったんだよなー。獄寺も初めて?」

「ああ。家ではベッドだからな」

「そっか。2人ともイタリアにいたんだもんね」

「畳は広いし、寝心地も良いぜ」




各々持ってきた荷物を置くと、夕飯までまだまだ時間があったので、近くにある川で少し遊ぶことに。
タオルなどの最低限の荷物を持つと自転車を走らせて向かった。



「おお。川綺麗だな!」

「せっかくだから入ってみようよ」



葵の続いて、みんな川に足をつけてみると、ひんやりと冷たくて気持ち良かった。
並盛にある川みたいに立派な河川敷がある訳では無く、川幅もそこまで広くは無いが、水が綺麗なのか透明で透き通っており、足を川に着けつつ岩場に腰を下ろしていると、時々魚が泳いでいるのを見かけた。



「並盛には川魚いないから新鮮だね」

「ここで釣りとか出来そうですよね」



水着は持ってきてなかったから泳いだりはしなかったが、水しぶきを飛ばしたり、石切をして遊びながら4人はたわいの無い会話を楽しんだ。



川を移動して、有名なひまわり畑に行ったり、近所の商店街をぶらぶら巡り、お土産屋に寄ったり、駄菓子屋で旅館で食べるお菓子などを調達していると夕飯の時間が迫りつつあったので旅館に戻ることに。



「飯の前に温泉行こうぜ」

「そうだね。温泉……はっ!!」

「?どうしました、10代目」

「……!」

「葵もどうしたのな?」



温泉と言われて葵はどうするのか全く考えていなかったツナは青ざめていく。
ツナは男装していることを知っているが2人には内緒なわけで――ついに来たかと言ったように葵も苦笑いを浮かべる。



「お、オレは温泉は――」

「せっかく来たんだしみんなで入ろうぜ」

「別に野郎の裸見てもなんも思わねーよ」

「入りたくないんじゃなくて、入れないというか……(部屋にお風呂あるからそっちで入れさえすれば……!)」

「(どうしよう、どうしよう……!!)」



部屋の机の上に置いてある案内には4人の泊まる部屋にも風呂が付いているとの記載がありそれを見つつ、なんとか大浴場を回避できないかと葵は頭をフル回転させるがなかなか良い言い訳が思いつかない。

その時、獄寺が葵の視線に気づき案内板を手に取る。



「何見て――っ!」

「!(も、もしかしてバレた……!?)」

「(なになに、超こえー!)」

「獄寺どうしたんだ?」

「葵、もしかして……」



神妙な面持ちで獄寺は案内板を指さしながら言った。



「刺青入れてんのか?」

「…………へ?」





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