明日晴れるかな(日常編) | ナノ

 繋いだ手から(2/3)



真っ青で雲ひとつない空はとても綺麗で見上げれば遮るもののない太陽がそこにあって、思わず目を閉じてしまいそうになるくらい眩しかった。
昼過ぎで真上に太陽がある事から影がなく、4人は真夏の日差しを浴びっぱなしで歩いていた。

家を出て元気だった子供たちもあまりの暑さに項垂れながら汗を光らせた。



「あーつーいーじょー…」

「#*÷$……」

「(プラネタリウムまでもうちょっとあるし、どこかで休むか……)」



キョロキョロと当たりを見渡すと氷と書かれた看板が目に止まる。
日に当たって少し日焼けしたかき氷の食品サンプルと値段を見てここだと思い、葵は3人に向き直ってニッと笑うと暑いからちょっとひと休みしようかと提案をした。



カランカラン



「いらっしゃいませ。何名様ですか?」

「4人です」

「かしこまりました。こちらへどうぞ」



店内に入るや否や涼しい冷房の風が暑い体を冷やしてくれる。
外装と同じくレトロな内装ではあるが一つ一つはとても綺麗でしっかりと手入れがされていることがわかる。
中にはまばらにお客さんは座っており、談笑している人、読書を楽しむ人などそれぞれがそれぞれの時間を楽しんでいた。

店員さんに案内されて4人はボックス席へと座る。
葵はカバンからタオルを取り出すと汗をかいたままだと風邪をひくからとみんなの汗を拭いていった。



「葵兄、好きな物頼んでも良いの?」

「うん!実は奈々さんからお小遣いもらってるんだ〜だから食べたいもの食べて大丈夫だよ。オレも何にしようかな〜」

「ランボさんこれ!!」

「☆〆*#!」

「じゃあ僕はこれにしようかな」

「みんな決まったな。すみませーん」



注文を終えるとみんなの話を聞きながら料理が運ばれてくるのを待った。

ツナとゲームして勝った話。
晩ご飯の餃子を奈々と一緒に作ったこと。
新しいランキングを書き加えたこと。

どれも楽しそうに話す姿が微笑ましくて葵は笑いながらその話を聞いているとついに待ちに待った料理が運ばれてくる。



「わあ!美味しそう〜」

「○*÷#%〜!」

「これはランボさんのだもんね!」

「ランボゆっくり食べないと……!」

「あ、頭がキーンってするもんね……っ」

「だから言ったのに。誰も取らないからゆっくり食べようね」



窓の外には先程歩いてきた暑い世界が広がっているのに反して、今いる場所はそこから完全に遮断されたように涼しくて快適で人々の話し声や店内のBGMが混ざりあって、いつもとは違う非日常の中にいるような感覚に陥る。
だけど、目の前には普段から見ている笑顔があって、なんとなく不思議な気持ちにもなりつつ葵は小さく笑った。





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