◎ 標的02 体育祭(5/5)
お昼休みの間に棒倒しに関して審議がなされ、結果A組対B組・C組いう異例の組み合わせになったらしい。
圧倒的にA組が不利な状況に総大将でもあるツナは頭を抱えていた。
「ツナ……大丈夫か?」
「大丈夫じゃないよ〜…どうしてこんなことに……」
「!その鉢巻――名前が刺繍されてるんだな」
「う、うん。クラスの子にやってもらったんだ」
「そっか。その子もきっとツナのこと応援してるんだな。オレも応援してるけど……ケガだけはしないでね」
「あ、ありがとう……(確かに笑った顔ちょっと女の子っぽいかも――)」
同じクラスの笹川京子に刺繍してもらった鉢巻を頭に巻きながら小さく呟く。
「ってかオレ…生きて帰ってこれるかな…」
「でも、誰がこんな無茶苦茶な提案を…」
「極限にオレだ!!」
声の主をたどって振り返ると拳を握りしめた了平が立っていた。
「オレが提案を押し切ってやったわ!!」
「何でそんな事するんですかーっ!!」
「一回で全部の敵を倒した方が手っ取り早いからに決まってるだろ」
「やられる前にやってしまえってことか――」
リボーンの説明に納得している葵に気づいた了平はツナに言う。
「沢田。極限に気になっていたのだが、こいつは誰だ?」
「葵って言うんです。ワケ有りで日本に来て…」
「葵か!極限覚えたぞ!オレは笹川了平だ!!ちなみに沢田より1つ学年が上だぞ!」
「なら……笹川さんかな?よろしくお願いします!」
「うむ!良い笑顔だ!よーし、沢田行くぞーーっ!!」
そして男たちは棒倒しという名の戦場へと旅立っていった。
ついに始まった棒倒し。
棒にはそれぞれ総大将であるツナともう1人体操服ではなく学ランを身にまとった生徒が乗っていた。
「なあ、リボーン。どうしてもう1人の人は学ランなんだ?」
「あいつは並盛最強の風紀委員長の雲雀恭弥。ファミリー候補の1人で勧誘しているところだぞ。ちなみに年齢は不明だ」
「なるほど――(確かにあの佇まい……遠目で見るだけでもわかる。ただ者じゃ無さそうだ)」
「わっ!?うわーっ!倒れるーーッ!!」
「リボーン!ツナ達やばそうだぞ!」
「みてーだな」
ツナの乗っている棒が倒れようとしたその瞬間、倒れるより先にリボーンは死ぬ気弾をツナに打ち込む。
すると額に死ぬ気の炎を灯し、着ていた体操服は弾け飛び、パンツ一丁になったツナが叫ぶ。
「空中復活!!!死ぬ気で棒倒しに勝ぁーーつ!!!」
棒倒しは棒に乗っていた大将が地面に落ちてしまうと負けになる。
だが逆に言えば地面につかなければ負けにならない、という理屈でツナは生徒の上を鮮やかに飛んでいく。
「すごい……!」
「なかなかおもしれーだろ」
「沢田も考えたな!」
「こっちだツナ!」
「おう!!」
ツナの策略を読み取った、了平、獄寺、山本の3人はツナを上に乗せて騎馬を組む。
そしてそのまま雲雀が乗る棒へ、敵を次々と蹴散らしながら向かっていく。
もうすぐ棒のところにたどり着くと言った時だった、突然獄寺と了平が喧嘩を始めたのだ。
「おい芝生メット!テメー足引っ掛けたろ!」
「ふざけるなタコ!人の足を蹴っておきながら!!」
「んだとコノヤロー!!」
「まあ2人とも落ち着けって!」
山本の制止も虚しく、ついに喧嘩は殴り合いに発展していく。
土台である2人のせいでバランスが保てなくなった騎馬は崩れ、上に乗っていたツナは地面に落ちてしまった。
そして落ちた瞬間、運悪く死ぬ気の炎が消えてしまった。
「(ま、負けちゃったよーーっ!!)」
逃げようとしたツナの前にB組、C組の生徒が立ちはだかり睨みを効かせる。
「リボーン、これってあんまり良くない状況じゃ――」
「部下の管理はボスの責任だ。仕方ねーぞ」
「おいおい敗軍の大将がただで帰れると思うなよ」
「うっそぉーーーー!!?」
結局、その後グラウンドは戦場のようになってしまい、予定していた残りの種目は全て中止となり並中体育祭は幕を下ろした。
ボロボロになって帰ってきたツナにリボーンは一言。
「思い出に残る体育祭になったな」
「ふざけんな!!!」
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