明日晴れるかな(日常編) | ナノ

 問題児(2/3)



「何勝手なことしてんの?オレ達仲良くしてたのにさー」

「…彼、困ってましたよ。オレには仲良しには見えなかったので」

「誰に口答えしてだ?ああ?」

「(やっぱり平和的解決は厳しそうか…)!」



ブンっと風を切る音を立てて、五十嵐の拳が葵目掛けて飛んでくる。
だが、葵はそれを難なく避けるが、それがまた五十嵐の尺に触ったのか少しだけ口調がイラついた様子に変わっていく。
すると取り巻きの1人がそんな五十嵐にある提案を持ちかけた。



「そういえばこいつ、風紀委員の中でもヒバリのお気に入りでしたよ」

「だったらなんだよ」

「こいつボコって人質にしちゃえば、ついでにヒバリもボコれるかもしれませんよ」

「!」

「?」



その提案に五十嵐はニヤッと笑うとアリだなと呟く。
すると取り巻き達も葵を取り囲むように移動していく。



「調子乗っちゃったなーお前。無傷で帰れると思うなよ」







場所は変わって並盛町内。
雲雀はいつものようにバイクに乗って見回りをしており、群れている人間がいれば咬み殺していた。
そろそろ並中に戻るかと言った時、自身の携帯が鳴る。風紀委員のメンバーからのようだ。



「なに」

《い、委員長!校内でまた五十嵐達が暴れていて――》

「……それだけ?」

《いえ!そこに葵が……》

「!」

《止めたのですが、3階から飛び降りて――》



雲雀は呆れつつ大きなため息を吐くと、すぐに戻ると一言告げると電話を切る。
そしてバイクに乗ると猛スピードで並中へと向かった。



「……正真正銘のバカなのかもね」



雲雀は前にもこんな事があったなとその時の事を思い出すとまたため息を吐いた。

こんなにも誰かに振り回された事はないなと思いつつ、だけど何故か葵の事を放っておけない自分に少しもやっとしていた。
人と群れることを嫌って、孤高の存在として生きていた雲雀にとって葵は良いおもちゃであると同時に、今まで生きてきた自分と矛盾した感情が生じるなんとも説明しがたい存在だった。



「(ちょっとムカつく…)」



学校付近だったのもあり、5分くらいに学校に到着するとそこから現場に急いで向かうが、近づくにつれて物音がよく聞こえてくる。
どうやらまだ葵は無事だと言うことをとりあえず確認しつつ、トンファーを構える。
そして角を曲がって現場に着くや否や、1番近くにいた五十嵐の仲間の1人に殴り掛かりのしていく。



「!」

「何群れてるの。咬み殺すよ」

「ヒバリさん!」



雲雀の姿を見るや否や葵はぱあっと笑顔になる反面、五十嵐達はまずいと眉をひそめた。
雲雀は葵に怪我がないことを確認すると肩を掴みぐいっと自身の後ろへと下げさせた。



「!」

「邪魔だから下がってて」



そういうと次々と雲雀は敵をトンファーで叩きのめしていく。
先程まで余裕そうだった五十嵐もその光景を目にし、このままでは自分もやられると感じたのか両手を上げて降参!と声を上げた。

だが雲雀は容赦なくそんな五十嵐にもトンファーを振るおうとしたが、それを葵が割って入って止めた。



「ヒバリさん、ストップ!」

「……邪魔」

「助けていただいた手前ですけど、五十嵐さんも反省してるみたいですし……もう止めときましょう?」



困ったように葵は笑いながら雲雀に笑いかける。
そんな葵に免じてここまでにするかと構えていたトンファーを下ろそうとした時だった。



「!」



葵の背後にいた五十嵐が隠し持っていたのであろうナイフを取り出すと葵目掛けて襲いかかってきたのだ。
一瞬気を抜いていたのもあり葵は避けきれず腕にナイフが掠ってしまう。
手を出さずにいた葵だが、さすがに危ないとナイフを持つ手を蹴りあげ、手放させる。
そんな葵に続いて雲雀はトンファーを構え直し五十嵐に思いっきり殴りかかると完全に気を失ってしまい倒れ込んだ。





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