明日晴れるかな(日常編) | ナノ

 ツナ暗殺計画(5/5)



「…………」

「……葵?」

「…………」

「……もー!葵ってば!元気だしなって〜」



みんなが帰ってからも葵は戻らず小さいままで、暗殺者の件があってから元気がなくズーンと落ち込んでいた。
珍しく落ち込む葵にツナは明るく声をかけていたのだが――



「……オレ何も出来なかった。それどころかツナや…京子ちゃんにも迷惑かけて……」



思い出すと葵は更にズーンと落ち込んでしまった。



「(め、めっちゃ凹んでるー!)」



体操座りをして顔を埋める葵にツナは小さくため息を吐くと口を開いた。



「今回は仕方ないよ。身体も縮んでた訳だし――イーピンやリボーンがなんとかしてくれたんだから結果オーライだよ」

「…………」

「葵はなんでも出来ちゃうからあれかもだけど…こんな風に助け合いも大切だよ。ほら、獄寺君だって山本の力を借りてたわけだし!それに――」

「?」

「オレに至っては今回も何も出来てないし…」



獄寺達はともかく、京子ちゃんですら暗殺者に立ち向かって言ったのに自分は何もしてないと励ますはずが逆にツナも自分の不甲斐なさを実感し、落ち込んでいってしまった。

だんだんと語尾が消えていくツナが気になり、葵は顔を上げると、先程の自分のように体操座りで負のオーラをまといながら俯くツナの姿があった。



「つ、ツナ!?」

「オレなんて…やっぱりダメツナだ……」

「そんなことないよ!ツナがあの時、オレを受け止めてくれてなかったら――」



葵の言葉でツナもゆっくり顔を上げる。
すると2人の目が合い、ツナはニコッと笑った。



「やっと目が合った」

「!」

「……まあ、落ち込んでるのは本当なんけどね」



少し目を逸らしつつ乾いた笑いを漏らすと、また葵の方をじっと見つめながら優しく笑う。



「落ち込んでるなんてらしくないよ。葵は――やっぱり笑顔が1番だって!」

「ツナ……」



ツナの優しさに少し胸が熱くなる中、葵は一瞬顔しかめた後、不器用に笑った。
まだ、自分の中で今回のことは整理出来ていないが、ツナの言う通り落ち込んでばかりはいられないと。



「ごめんね。オレ、もっと強くなるから……!今度は絶対みんなを護るから……!!」

「う、うん(やべーオレが言えた立場じゃないんだよな…)」

「こうしちゃいられない!とりあえず走り込みにでも行くか――」



やる気満々に立ち上がる葵をツナは慌てて止める。



「まだ小さいままだから!せめて元に戻ってからにしよう!」

「はっ!わ、忘れてた……」



ちなみに小さくなった身体はなかなか元に戻らず、少しの間葵はもどかしい思いをしていたのはここだけの話。







「……リボーン」

「どうした?」

「……さっきのやつらが言ってた“猫”ってなんの事?お前、口ぶりからすると知ってるよな?」



ボンゴレ10代目と一緒にいる。
女の子である京子ちゃんにも過剰に反応していた。

もしかして――とある事が頭をよぎったけど、確信ではなかったからその考えは頭から排除して、リボーンを問い詰めているわけだが、一筋縄で行く訳もなく…



「さーな」

「なっ!?しらばっくれんなよ!」

「仮に知ってたとしても今のお前じゃどうすることも出来ないぞ、ダメツナ」

「!」



いつも色んな人から言われてる4文字が、今日はやけに重くのしかかった。
確かにオレは他のみんなに比べても何もできてないし、成長すらしてない。
死ぬ気弾があればなんとなることも多いけど、きっとそれだけじゃダメなんだ。
現に死ぬ気弾を撃ってくれるリボーンがいなければ手も足も出なかったわけで――



「……」



マフィアのボスになるとかならないとかそんなのは関係なくて、



「ツナ!」



大切な人を護るにはダメツナのままじゃダメなんだ。





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