明日晴れるかな(日常編) | ナノ

 標的02 体育祭(4/5)



借り物競争の結果が出るまでの間、獄寺は借り物競争のお題として来てもらった葵と共に並んで待機していた。

その間、気に食わなそうにムスッとしていた獄寺に葵は小さく笑いながら話しかける。



「獄寺がこっちに走ってきた時はびっくりしちゃった。すごい迫力だったよ」

「うるせーな……お前しかいなかったんだよ」

「そういえばお題なんだった?」

「…………」



無邪気に笑う葵がなんとなく気に入らなくて獄寺はあえてこういった。



「チビなやつ」

「ん?」

「確かチビなやつだったわ、お題」

「チビって……オレ、そんなに小さいか!?」

「誰がどう見てもチビだろーが」

「獄寺が大きいだけで、オレは標準ですー。それにツナもオレとあんまり変わらないからなー」

「んなっ!?」



やってやったと得意げに葵は笑う。
そんな葵に少し照れながらも、また気に食わなそうな表情を浮かべるとぷいっとそっぽを向く。

するとそのタイミングで最終走者がゴールした。
1位はなんと獄寺達のチームで大きな歓声が響く。



「獄寺のチームが勝ったって!やったな!」

「あんまりはしゃぐなっつーの……」

「獄寺、獄寺」

「あ?」

「いえーい」



葵は片手を出して、獄寺からのハイタッチを待つ。



「……するわけねーだろ」

「えー……」

「…………」



だが獄寺は1度めんどくさいと無視するが、なかなかその手をしまわない葵に折れて、その手に軽くタッチする。

そんな獄寺にニッと笑った。



「こんなところにいたんだ!」

「ツナに――山本!」

「ん?獄寺、お前やけに嬉しそうなのな」

「はぁ!?何変なこと言ってやがる野球バカ!」

「1位になったのが嬉しいんだよな!」

「ちげーよ!お前も黙れチビ!!」

「ちょ、獄寺君やめなよ!」



暴れる獄寺をツナが静止する。
賑やかなその様子に葵も思わず笑みが零れた。

が、楽しかった雰囲気もある出来事によって大きく変わっていく。



「おいーっ!B組の押切先輩とC組の高田先輩がトイレで襲われたらしいぞー!!」

「なっ!!?」

「…ツナ、押切先輩と高田先輩って…?」

「二人とも各団の総大将なんだ、何でこんなこと…」

「どうやら、二人ともA組の総大将の沢田綱吉に命令されたヤツにやられたらしいぞ!!」

「へー…沢田綱吉に……ん?」



3人の視線がツナに集まり。
少しの沈黙の後、頭を抱えながら叫んだ。



「沢田綱吉って――――オレじゃん!!!」



それを聞いた周りの人々がツナをちらちらと見ながらひそひそと非難する。

話だけ聞くと圧倒的にツナは悪者で……居心地が悪くなり、逃げ出したいと強く思っていた。
そんなツナを心配して葵は声をかけるが――



「ツナ、大丈夫か?」

「10代目……流石っス!!」



それとは対照的に獄寺はガッツポーズをしながらニカッと笑った。



「こんな策略考えつきませんでした!」

「策略じゃないよ!!」

「本当はやってないんだよな?」

「やってないよ!目撃者でもいるのかよ……」

「こほん」



わざとらしく咳払いをする1人の老人。
山本の話によるとこの人がB・C組の総大将を襲った人を目撃したらしい。

だがこの老人を見てツナはすぐに察する。



「リボーンだろ!」

「B組とC組の総大将を襲ったヤツはA組総大将の沢田綱吉の命令で襲ったらしいぞ」

「もしかして本当にツナが――」

「違うよ!葵も変な嘘を信じないで!」



自分の白を訴える中、ツナの名前を呼びながらツナたちの1つ上の先輩、笹川了平が走ってきた。
どうやら了平は先程のリボーンの目撃証言を聞いてツナの元へと来たらしい。

わなわなと震える了平に怒られるとツナは目に涙を溜めていると、その肩にがっしり手を置かれる。



「思ったより勝利に貪欲だな、見直したぞ沢田!!」

「ナイス策略っス!!」

「違うーーーーーーーーーっ!!!」



ツナの叫び声がグラウンド中に響いた。





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