ワイパーと缶コーヒー
「っ……寒い」


ふぶきの中片手に車用のワイパーをもち雪と格闘する私……


学校帰りに母の職場に夕食のお弁当を届けによったら
『暇なら車の雪落としてってょ』その母の一言でやらねばならなくなった…

「なんであたしが……」
ぶつぶつと言いつつも雪を下ろす…

ジャリ……ジャリ……


手袋の存在を忘れた冷たい手が風のせいでかじかんで余計に動かなくなる

白いコイツはなんでこんな冷たいの?

ジャリ……ジャリ……

とっとと終わらして帰りたい…



「なぁ…生足で寒くないの?」
ため息を吐いていると背後から声をかけられた

振り向くとマスクと帽子を深くまでかぶってマフラーをぐるぐる巻きにして完全防備の人が……

最近学校周辺におかしな人が出るって先生言ってたけど……ふ…不振者!?

「マフラーもしてないけど寒くないの?」
さらに質問を続ける…

「……寒いですよ」
恐る恐るに言ってみた


「マフラー貸そうか?」

「結構です」
本当は借りたいけど知らない人は信用するなって言うからさ…

「そぅ……」
不振な人だと思ってる?そう続けたので
「……」
私の心の声聞こえてるのかな?
とか思ってしまった

「……俺…寒がりだから防寒でこの格好してるんだ……」
照れくさそうに鼻をすすりあげ付け加えたかんたっぷりに「君のことも知ってるよ」と言っていた



どうやら学校が同じらしぃ
「……私は知らないです」

と素直に答えると彼は苦笑いをしていた


ジャリ……ジャリ…

「寒いね…」

「はぃ」

「上着もう一枚着てくればよかったゎ(ズズッ」


私が黙々と雪を片付けているなかぼーっと突っ立ってるだけの彼に雪の寒さも便乗して少し腹が立って嫌味口調で言ってしまった

「帰ればいいんじゃないんですか?風邪引きますよ」


「ん−っ……じゃそうするゎ」
彼はそそくさと足を速めて歩いて行ってしまった

アイツは何なんだったんだ?
私も早く帰りたいのに−っ
人の気も知らずに…ってか私が帰るよう言ったんだけど……


ガリッ…ガリッ…

車の上の雪はだでさえかきづらいのに…凍りはじめていた

後もう少しなのにな…

ガリッ…

すでに手はかじかんだのを通り越して痛めていた…



"ガリッ…"
やっと最後の雪が落ちた

「ふぅ…」
ため息混じりに手に息を吹き掛ける


冬を…雪を舐めていた…
寒過ぎるょ明日から手袋してこ




「終わった?」
息を少し切らしつつ駆け寄ってきたのは母ではなく彼だった


「あれ…帰ったんじゃ?」

「買い忘れた物あってさ…」
缶コーヒーを見せた


「ふーん…」



「明日も雪かな?」

「天気予報では晴れみたいです」

「雪って氷の結晶なのになんでこんな白くて綺麗なんだろうね」

彼は先ほど買ってきた缶コーヒーを飲みつつそう言う

雪を落としてたときは憎くて仕方なかった雪が確かに綺麗に見えた
少し雪が温かく感じた………
(…っくしゅん
やっぱり寒いかも
暖かいもの飲みたいな……

じっとりと彼の持っている缶コーヒーを見た

「飲む?」
そういって飲みかけのコーヒーを差しだす

「コーヒー嫌いです」
いゃじっとり見てたけど…今"はい"って言ったら間接ちゅうしちゃうじゃないですか


彼はくすりと笑った
「じゃあココアで我慢して」

そう言ってポケットからココアの缶を取り出す…

「何本買ってきたんですか?」

「コレで最後の1本だよ」


「ども…」

(カシュッ
温かくて
「甘い…」



ココアがこんな美味しく感じるなら雪下ろしもたまには良いかも…

「お疲れさま」

手袋を外した彼の暖かい手が触れていた










「なぁ…」

「何ですか?」

「俺んちこの近くなんだよね」

「へぇ……」






「……俺んちも雪下ろししてってよ」


やっぱさっきの前言撤回!!!
「もう勘弁…」


------------アトガキ------------

寒がりな男のコと薄着な女のコの話が書きたくなって書いてみました



実際に住んでるところがとても雪が多いので素足で雪落としとかしたら…(;-_-+
悲惨です
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