ねた | ナノ





◎カラメリゼとイヴァン (01/20 00:54)





主人が死んだ。

死因は生き物ならば皆当たり前に訪れるあれ。寿命ってやつ。前の主人の死因は寿命ではなく事故だった。その前も事故。それよりも前は、…考えていても仕方がないので、寿命で逝った主人に別れを告げて土をかける。本当にしわがれてしまって、歳をとりましたね、さようならさようなら。65年と4ヶ月、ありがとうございました。主人だった死体が見えなくなるまでせっせと土を。見えなくなったら僕は砂漠をふらふらと、新しい主人を見つけるまで、僕を傍に置いてくれる誰かを見つけるまで、ひたすら歩く。定められたルート。広い砂漠も狭く感じる。65年と4ヶ月ぶりに歩くルートには城がある。けれどあくまで通り道。入ったことはない。…誰かいるだろうか。定められた、ルート。主人。少しくらい造られた本能に逆らってみようか。一歩、城への入り口へと足を。「どなたです?」少女らしい声に振り向いた。

「わたくしの家に何かご用があるの?」
「そういうわけでは、ないの、ですが」
「…あなたシンボラー、ですか?」
「はい。主人が死にました」
「…それは、悲しいことでしょう」

目を伏せて、この城で大切に育てられたであろうメラルバの少女は呟く。悲しい、のか。「拾ってはくださいませんか」「わたくしが?」「はい」「あなたを?」「はい」「…あなた他に何か話せませんか?」「…貴女より知識は豊富だと思います」「そうですよね、って失礼な!」だって話せませんかって言うものだから。

「…そうですね、なかなか面白いことですものね、目的をなくしたシンボラーを拾うだなんて」
「? はあ」
「ねえあなた」
「はい」
「お名前、教えてくださらない?」
「イヴァン、と申します」
「それじゃあイヴァン。わたくしは珠玉と言います」
「珠玉さま」
「あなたを、わたくしが助けてあげる」

自信満々に珠玉さま、という新しい主人が宣言した。いや、まあ、確かに僕は助けられているのかもしれませんけれど。

「珠玉さま」
「なんですか?」
「あなた、賢いのに馬鹿なタイプの人間ですよね」
「…ば、ばかにしてますか?」
「いいえ?」






…わ、わかんなくなった…!
メラルバなメリゼちゃんもデザインしてみたいなあ



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