まずは片目を潰した、櫂が僕だけを見るように。
次に片足を折った、櫂が僕の下から離れないように。
そして片腕を折った、櫂が僕なしでは何も出来ないように。
櫂は我儘で気分屋で寂しがり屋だから、すぐにふらふらと知らない誰かのところに行ってしまう。僕は櫂のせいで、櫂がいないと死んでしまう体になったのに。不公平です。だから櫂が勝手に消えないように、片方ずつ消しました。二つもあると片方が僕を見ている間に、片方が誰かを見てしまうかもしれませんから。最初は暴れて泣き叫んで、世話をするのが大変でした。でも、今はちゃんと僕だけを見てくれる。僕だけを愛してくれる。以前に、櫂にずるいと言われました。僕は両方あるじゃないかと。これまた我儘な話です。僕が櫂以外を見るわけがないというのに。


「僕を信じてはくれないんですか?」
「信じている、けど、俺には何もないのに」


レンのことしか知らない、見えない、なのに、レンは俺以外を覚えているじゃないか。

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