「ああ、また負けちゃいました」 半ば諦めた顔でレンは手に持っていたカードを置いた。このところ頻繁にデッキの入れ替えをしているらしく、時には別のクランでファイトを申し込まれる。PSYクオリアという力を手に入れたと話すレンは以前と変化が見られないが、その言葉に何か嫌悪してしまい、彼も察したのかあまり話を振らなくなった。とは言え、強くなったのなら勝負がしたい。毎日のように俺が誘い、レンが誘い、飽きることなくファイトをしていた。 「いい加減にゴールドパラディンを使え、これで何日目だ」 「…まあ、気に入っているんですけどね」 じっとデッキを見つめる瞳に見覚えのある光が見えた。閉ざされた記憶の断片が垣間見える。いつだったのだろう、分からないけれど。あれに恐怖した事実だけは確かに心が覚えていた。 |