さっちゃんは僕が作り出した存在だと聞いた。壊れそうになった心を守るために生まれたのだと。だから、さっちゃんは僕で、僕はさっちゃんなのだと。けれど僕には到底、信じることが出来ませんでした。四ノ宮那月の影だなんて、嘘だ。さっちゃんは僕よりも強くて、優しくて、僕なんて足元にも及ばない存在だ。どうして自分自身だと言えよう。きっと、僕が影なんだ、って。そんなことを思い始めていた。存在を知れば知る程、みんなが求めていたのはさっちゃんなのではないかと、疑ってしまう。僕には出来ないことを、例えば人と意見を交わすのも、さっちゃんは出来た。次第にみんなと上手く付き合っていたのも、僕ではなく、さっちゃんがいたからなのではと思って。
ああ、消えてしまえばいいのに。


「ダメだ」


重力に従って落ちていく体を誰かが掴んだ。気付けば僕はまだ生きていた。周りには誰もいない。自然と涙が溢れ出て止まらなかった。

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