きらきらと輝く太陽の影、光があるからこその存在。那月が純粋に笑えるのは、容易く他人を信じても傷付かないのは、砂月が人間を見極めて無意識下で働きかけるからだ。しかしそれも線引きをして付き合うならば、の話ではあるが。那月が信じているのは砂月だけ。そして砂月が信じているのも那月だけ。依存し合っている対の人格。どちらも四ノ宮那月の一面に過ぎない。二人で一人の人間を成している。じゃあ、一人で一人の人間ならばどうなるのだろう。


「那月はより心を開かなくなるだろうな」
「今だって、言うほど心を開いてないだろ」
「当たり前だろう?お前だって、いずれ那月を裏切る」


ソファに背を預けたまま砂月はぱちんぱちんと爪を切っていく。その姿を見て翔は溜息を吐いた。


「まったくお前ら二人して…」


俺はどちらも信じているのに、どうやったら伝わるものか。

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