50万打フリリク企画 | ナノ


▼ 相思相愛お静かに

ある不良集団のトップに立つ赤城琉成には、因縁の相手とも呼べるべき人物が一人だけ、存在した。

「おい青野、今日という今日は決着つけようじゃねぇか」

琉成の言葉に、その因縁の相手である青野蓮治はふっと笑みを浮かべる。

「決着、な」
「笑ってんじゃねぇ!」

二人はもうずっと、何年もライバルだった。二人の率いる二つの不良チームも、必然的に対立関係だった。

「赤城はどうせ力じゃ俺に勝てないんだから、無駄なことはやめたほうがいい」
「てめぇ…」

余裕そうな顔の蓮治の後ろには何十人もの不良たちがいて、琉成を挑発する蓮治に同調するようににやにやと下卑た笑いを浮かべている。

「琉成さんを馬鹿にすんじゃねぇ!」
「ぶっ殺すぞ!」
「琉成さん、あんなやつら今すぐ半殺しにしてあげましょうよ!」
「やめろ、お前ら。黙っとけ」

同じく琉成の後ろにいたヤンキーたちは、挑発だとは理解しつつも血気盛んに騒ぎ立てた。それを琉成が強い口調で制し、さらにこんなことを提案する。

「じゃあ今日は、いつもと違うやり方で勝負するぞ」
「違うやり方?」
「こういうことだよ」

琉成は目の前に立つ蓮治の制服の襟を掴むと、勢いよくキスをした。

「りゅ…っ、琉成さん!?」
「おいアイツ蓮治さんに何やってんだ!?ホモか!?」

周りのどよめく声が心地いい。ふっと身を緩ませた琉成に、蓮治は逆に口付けを深くさせる。

「ん…っ」

ぐいと腰を引き寄せられ、熱い舌で唇をこじ開けられる。ぬるぬると口蓋を甘く擦られた琉成は、思わず甘く息を吐いてしまった。

「随分大胆だな」

蓮治が嬉しそうに耳元で囁く。――何を隠そうこの二人、お互い敵チームの総長でありながら、なんと恋人同士なのである。誰も知ることのないこの秘密の関係は、もう何年もずっと続いている。

琉成は恋人の甘い顔に内心くらくらしつつもぐっと堪え、周りに聞こえるように声を上げた。

「先にイったほうが負け、っていうのはどうだ!」

琉成の提案に、蓮治はまたひそひそと呟く。

「琉成…そんなに俺としたいのか?」
「…悪いかよ」

先にイった方が負け――つまり大勢が見守るこの中で、公開セックスをするということである。周りに知られないようにこっそり逢瀬を重ねてきた二人にとって、他人に見られながら交わるという行為はとても魅力的だった。

「悪くない」

琉成を溺愛している蓮治は、なりふり構わずとにかく自分を求めようとする琉成の様子に気をよくし、浮かべていた笑みを一層深いものにさせる。そして同じく辺りに聞こえるよう、大きな声で返事をした。

「わかった。先にイった方が負け…その勝負、乗った」

その返答に騒ぎ立てるのは、蓮治のチームの不良たちである。

「蓮治さん!そんな奴の言うことに従うんですか!」
「そうですよ!男にいきなりキスなんて、そいつおかしいですよ!」

安心しろ、と蓮治は言った。

「絶対勝つから。どんな勝負でも俺に敵う奴はいないってことを証明してやる」

蓮治の力強い言葉に、単純な不良たちは歓声を上げる。

「さすが蓮治さん!」
「赤城なんか目じゃないっすよね!」

悪い、と蓮治は心の中で仲間に詫びる。だが、誰にも怪しまれず堂々と琉成と抱き合える手段はこれしかない。このチャンスを逃すわけにはいかないのだ。

「ふん、俺が勝つに決まってるだろ」

その気持ちは琉成も同じのようで、口では蓮治を挑発しているような言葉を吐きながらも、その瞳にはありありと期待の色が浮かんでいる。

「いや、俺が勝つ」
「いや俺が…っんん」

言い終わる前に再び腰を引き寄せた。ねっとりと濃厚な口付けを開始させると、琉成は負けじと舌を絡めてくる。

「ん、んん…ぁっ、ふ…」

――馬鹿、声出てる。

耳をつく甘い嬌声に、蓮治はキスをしながら笑った。押し付けられた下半身も既に硬く兆し始めている。全く堪え性のない恋人だ。だが蓮治にとっては、琉成のそんなところが愛おしくてたまらなかった。

「れんじ…」
「…ん?」

うっとりと惚けた声で名前を呼ばれ、蓮治は優しく微笑む。平生切れ者と恐れられている蓮治が唯一恋人に対して向ける特別な笑みに、琉成はじわりと瞳を潤ませた。

「そんなんで、勝つつもりかよ…」

もっと触って欲しいとばかりに、琉成は自ら服のボタンを外してみせる。露わになる白い胸に、周囲は息を呑んだ。

「…なんかエロいな」
「あぁやって青野の奴を誘ってるんだよ。琉成さんの作戦だ」

琉成の様子を見た彼の仲間たちの言葉に、蓮治は今すぐ琉成の身体を覆い隠したくなる気持ちを押し殺す。

いくら琉成と同じチームの奴だとはいえ、この身体をいやらしい目で見る輩を野放しにしておくわけにはいかない。顔を覚えておこう。後で処刑だな、と蓮治は内心物騒な考えを抱く。

「赤城の野郎、色白くね…?」
「蓮治さん、動じてないな。さすがだぜ」

動じるか。何度見たと思っている。というかお前らまで琉成をエロい目で見るな。と次は自らのチームの言葉に眉を顰める蓮治。

「ほら、触れよ」

そんな蓮治の胸中など露知らず、琉成は自身の唇を舐め、蓮治を見つめた。蓮治は誘われるがままに手を伸ばすが、露わになった上半身ではなく俄に尻を掴んでやる。びくりと腕の中で琉成が身体を強張らせた。

「おま…っ、いきなりそっち…」
「早く入れたい」

耳に口を寄せて囁きながらゆったりと尻を揉むと、琉成は小さく喘ぎ声を漏らしてしがみ付いてくる。

「可愛いな、琉成」
「ん…っ触り方、まどろっこしい…っつの」
「気持ちいいだろ?」
「足りねぇよ、バカ」

ちゅう、と琉成の唇が蓮治の首筋を這う。キスマークをつけているのだ、とわかった瞬間、蓮治の背筋にぞくぞくしたものが走った。煽られている。煽りだと知っていてもまんまと引っかかって興奮してしまう。

「はぁ…蓮治の、硬くなった…」

琉成は抱き着いたまますりすりと手のひらで蓮治の下半身をさすった。ズボンを押し上げる硬い感触に微笑み、「早くちょうだい」と蓮治にしか聞こえない声で強請る。

「ベルト外せ」
「ん…」

少し乱暴な口調になってしまったが、琉成は一層悦に入った表情で素直にベルトを緩めた。蓮治は一度自分の指を舐めて濡らし、その隙間から手を突っ込み尻孔に直接触れる。

「あ…っ、ぁ、あっ」

まずは一本、と中指を埋めていくと思ったよりもすんなり飲み込んでいくので、間髪入れずに薬指も追加した。ぶるりと琉成の身体が震える。

「琉成…」

腕の中で蕩けている琉成の姿に、蓮治は堪え切れずに口付けた。好きだ、という言葉を飲み込む代わりに何度も唇を貪る。

「ん、んぅ、ふ…ぁっ、れん、んん…っ!!」

口の中を舌で嬲られ、なおかつ後ろには指を出し入れされ、琉成はその場に崩れ落ちてしまいそうだった。快感に融け濡れた瞳で蓮治を見上げ、もう無理だと首を振って小声で訴えた。

「イ、く、イくから、このままだと、終わっちゃうから」
「…終わってほしくない?」
「あ、当たり前だろ…っ」

先にイったほうが負け――ということは、どちらかが射精を迎えてしまうと勝負はそこで終了してしまう。中途半端で投げ出されるなんて我慢できない。

「じ…焦らしてるつもりかよ、青野…いいからさっさと入れろって」

琉成は蓮治の身体を突っぱね、焚き付けるようにわざと大きな声で言う。周りに悟られないようにするためとはいえ、大袈裟すぎておかしい。笑う蓮治を琉成は睨み付けた。

「何笑ってんだ」
「別に。そういう赤城こそ、すぐバテるなよ」
「誰がバテるか。勝つのは俺だからな」
「その強気な態度もいつまで持つか見物だな。…ほら、下脱げ」
「…ん」

ストンと床に落ちる琉成のズボンとパンツ。彼が今身に着けているのは上半身の肌蹴たシャツと靴下のみであり、なんとも官能的な姿だ。周りが琉成の一挙一動を食い入るように見つめているのがわかる。

――少し気に入らないが、まぁいい。どうせ琉成に触れるのは俺だけなのだ。精々俺たちのセックスを見て興奮すればいい。

蓮治もベルトを外し、勃起したモノを何度か自分で擦り上げたあとひょいと琉成を抱き上げる。

抱き上げられた琉成がごくりと息を呑んだ。まずい。まさか入れられただけでイくなんてことはないだろう、とも言い切れなくなるほど気分も身体も高まっている。

二人きりでセックスしているのなら全く構わないのだが、今この場には大勢の観客――蓮治のチームの奴らと、自分のチームの奴ら――がいるのだ。恥も外聞もなく喘いでいる自分の姿を見せるわけにはいかない。

我慢、できるだろうか。琉成はふと心配になる。

「…琉成」

そんな琉成の胸中を見透かした蓮治は、「大丈夫だから」と小さく言った。

「ゆっくり入れる。イきそうになったら止めるから、ちゃんと言え」
「…駅弁ですんの?」
「いいだろ。好きなんだよ」
「いいけど…まじで俺、すぐイくかも」
「わかってる」

ひそひそと会話を交わした後、周囲が見ている中とうとう挿入を開始させる。

「…っ、あ、は…」

もどかしい程ゆっくりと押し入ってくるペニスの質量に、琉成はぎゅうと蓮治の首に抱き着いた。気持ちいいのを必死で堪えている琉成を愛おしく感じた蓮治は琉成の身体を抱きしめ返し、耳元でつつめく。

「すっげぇ気持ちいい」
「…っバカ、今そういうこと、言うな…」
「琉成が俺のものにされてるとこ、皆が見てる」
「だからぁ…ッ、言うなって…あぁう…っ!!」

とうとう最奥まで届いてしまった。琉成の目からぼろりと涙が零れ落ちるのを見て、咄嗟に蓮治がキスで見えないように覆い隠す。いくら快感による生理的なものであっても、総長である琉成の涙を周りに見られるわけにはいかないのだ。

「泣くな、琉成」
「う…わ、悪い、でも、これやべぇ、やばい…っ、お前の、いつもよりでけぇんだよ…っ」

仕方ない。人前でやるという背徳感が少なからず興奮に繋がっているのだ。蓮治も琉成も。

「動くぞ」
「ん…ッ」

ぬるぬると控えめに腰を打ち付ける。

「うわ、すげぇ…っ、まじで入ってる」
「男同士でもできるんだな…琉成さん、痛くねぇのかな…」
「痛ぇだろ!ケツの穴に勃起ちんこ入ってんだぞ」
「でもちょっとよさそうじゃね?」

何だかんだで興味津々な奴らの言葉を聞き流し、蓮治は琉成の顔を見る。唇を噛み締めて耐える琉成の頬は真っ赤に上気しており、思わず息を詰めた。――エロすぎる。

「れんじ…?」

とろんとした瞳が蓮治を不思議そうに覗き込む。先程威勢よく喧嘩を挑んできた奴と同一の人間とは思えない色気だ。

「はぁぁ…ッ、あ、ぁ―――!!」

激しくピストンしてしまいたい衝動を抑え、とにかく丁寧に、ぐずぐずに融けた内側をねっとりと味わうかのような動きで何度も何度も腰を送り込む。

「あ…っ、あっ…、あっ、んんっ、深…ッ、ぁ」

ずるるっと大きく腰を引きそれをまた内壁を擦りながら奥まで戻していくと、琉成は感じすぎてびくびくと背を反らし、甘えるような声を漏らした。

「…感じすぎ」

にやりと笑う蓮治に、琉成は慌てて辺りの様子を窺う。

「…っ」

自分のチームの人間も相手チームの人間も食い入るようにこちらを見つめているのがわかり、ぎゅうぎゅうと蓮治のものを締め付けた。そんな琉成の様子に蓮治はますます相好を崩す。

「これは勝負なんだから、感じるわけないよな?赤城」
「な…っ、か、感じてなんか…」
「こんなことしても、気持ちよくなんかないだろ?」
「ぁ―――…ッ」

体位のせいでいつもより深く突き刺さったペニス。大きく張った先端が、奥底の、入ってきてはいけないような場所をごりごりと押し潰す。全身に鳥肌の立つような快感が走り、琉成は小さく悲鳴を上げた。

――イく。だめ。ちがう。もっと。あぁこれは言っちゃだめだ。そうじゃなくて。

「き、気持ちよく、ない…ッ」
「嘘つき」
「嘘じゃな…っへたくそ、バカ、ぁう…!!」

ぴき、と蓮治の頬が引き攣る。本当は気持ち良くてたまらないけれど、皆の手前素直になるわけにはいかない。琉成の言葉の意図は重々理解している。

だが――へたくそ、はないだろう琉成。めちゃくちゃチンコおっ勃ててるくせに。

「んぁあっ、あっ、ちょ、ばか、駄目、激し…っあぁ、うっ、はぁっ、あ!あっ…!」

腹いせのようにぐちゅぐちゅ激しく奥を突くと、琉成はいやいやと首を横に振った。もうイきそうなのだろう。搾り取ろうとするかのような締め付けに蓮治は眉根を寄せる。

「は…っ、くっそ、キツい…」
「あっ、違う、ちが…っ、よくない、よくないぃ…っ」
「ぎゅうぎゅうに、してるくせに…なにがよくないんだよ…っ」

汗を浮かべて感じ入っている蓮治に、琉成は胸の奥をときめかせた。いつも凛とした精悍な顔が、今はほんのりと紅く色気を放っている。

「っ、れんじ…」
「…ん、どうした…?」

すきだ、と琉成の唇が音無く動く。蓮治は一瞬目を見開き、それからひどく嬉しそうに瞳を細めて琉成の背中を抱き寄せる。

「…俺も」

自然と二人の唇が重なった。唾液が零れるのも構わず舌を絡め、深く深く混じり合わせる。

「んっ、ん゛ッ、んん、ぅ…」
「ん…」
「ふぁ、んんっ!んっ!ん!」

琉成の嬌声は蓮治の喉の奥へと消えていく。ぱんぱんと肌のぶつかる音が辺りに響き、不良たちの視線は夢中で互いを貪る二人の姿に釘づけだ。

「なんか…AV見てるみてぇ…」
「やばい、俺勃った。赤城エロくね?」
「バカ、んなこと言ったらあとで蓮治さんにボコられんぞ!なに敵にヨクジョーしてんだよ!」
「じゃあお前あれエロくないって言えんのかよ」
「いやエロいけどさ…」

こそこそと好き勝手にいろんなことを喋る周りの声は、蓮治と琉成にはもう届いていない。

「れ…っじ、れんじ、だめ、そこやぁ…っ、きもちい、だめ、あっ、んんっ、だめぇ…っ!!」
「だめ?いい、の間違いだろ…っ」

ほんの欠片ほど残った理性のおかげで、気持ちいいと喘ぐ琉成の声は小さいままだ。仲間たちにはきっと聞こえてはいないだろう。

「っ、琉成、イくぞ」
「んっ、俺も、俺ももう…ッ蓮治、蓮治…!!」

欲望の全てをぶつけるような荒々しい抽送に、琉成はがくがく震え出す。今にも破裂しそうなほど硬い塊で何度も貫かれ、精液がすぐそこまでせり上がってきているのがわかった。

「いく、いく、いくぅ、い…ッんんんん――…!!」
「琉成…ッ」

びゅる、と勢いよく精液が出る――蓮治と琉成、ほぼ同時で絶頂を迎えたのだ。みっちりとペニスが埋まった琉成の孔からは、蓮治の出した白濁が流れ落ちていく。

「あれ…!?今の、どっちが先だ?」
「琉成さんだ!」
「いや蓮治さんに決まってんだろ!」

――そうだった、これは勝負だった。

射精に浸りながらはぁはぁと仲良く息を整えている二人は、ようやくこの行為の趣旨を思い出す。

そして。

「…わ、わかんねぇから、もう一回、な」
「あぁ。もう一回だ」
「次は、絶対勝つ、から」
「それはこっちの台詞だ」

その後暫く、二人の間では勝負と称した公開セックスが流行ったことは言うまでもない。

end.




たなかさんリクエストで「溺愛総長×淫乱総長でとろ甘」でした。総長、という設定を書いたことがなかったのですが、「不良集団の頭」的なニュアンスで大丈夫でしょうか…ご期待にそえていなかったら申し訳ないです。精進します。
感じてはいけない場面でどうしようもなく気持ちよくなってしまう、という描写が好きなので、今回は公開プレイにチャレンジしてみました。人前でのセックスをテーマに書いたのは何気に初めてだったりします。楽しかったです。

素敵なリクエストをありがとうございました!楽しんでいただけますように!

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