50万打フリリク企画 | ナノ


▼ あまいあまい

新太は、とにかく俺に甘い。

なんていうか、昔はもっとトゲトゲしていたというか、無愛想だったというか…嫌われてるのかなって思っていたこともあるくらいで。

だけど、今…正確には「今」じゃなくて、恋人同士になってから…は全然違う。

「傑」

俺を見るときの瞳も、俺の名前を呼ぶ声も、全部全部優しい。そりゃあもうこっちが照れてしまうくらい。

「傑、こっち向いて」

人を好きになることの嬉しさも苦しさも知っているつもりだった。だけど、誰か一人が自分を大事にしてくれることがこんなにも恥ずかしいことだなんて、知らなかったんだ。

「あの」

ふにふにと唇を指でなぞられて、俺は落ち着かない気持ちで視線を彷徨わせる。困った。新太のことを直視できない。

「恥ずかしい?」
「あ、当たり前でしょ…」
「ちょっかいかけてきたのはそっちのくせに」
「だって、なんか、触り方が」

やらしい、と小さく呟くと、新太は声を上げて笑った。

「キスしたいって思いながら触ってるから、やらしいってのは正解かも」
「…してもいいよ?」
「傑がして」
「え」

戸惑う俺の前で、新太は静かに目を閉じた。えええ、ちょっと待ってよ何で今日こんなに甘えモードなんですか新太さん。

自分から甘えることに関しては抵抗はないけれど、彼の方からぐいぐい来られるとどう反応していいのかわからなくなってしまう。普段の新太はとてもじゃないが積極的とは言い難いので、尚更だ。

「はやく」
「う…、わ、わかった」

がしっと彼の肩を掴み、思い切って口付ける。ただ口と口をくっつけるだけの、単純なキスだ。

「それだけ?」

駄目だ。このままじゃ俺の心臓が持たない。

この劇的と言ってもいいほどの変化は何なんだ。新太って、こんな人だったっけ。いやいや違うでしょ。

「…前から思ってたけど」
「うん?」
「新太、なんか…キャラ違う」
「キャラ?」
「新太はもっとこう、冷たいっていうか…あ、悪い意味じゃなくてね。あんまり人とベタベタしないっていうか、距離を置いてるみたいな、そんな印象だったんだけど」

そう言うと、新太は少し嫌そうな顔をして口を閉じてしまう。気を悪くさせただろうかと慌てる俺に、違うよと首を振ってみせた。

「だって、傑は姉ちゃん姉ちゃんってうるさかったし。冷たくしたくもなるよ」
「え」
「我ながらみっともないけど、好きな人が別の人…しかも自分の姉のこと好きで、俺は二の次で…嫌でしょそんなの。こっち向け傑のバーカバーカっていっつも心の中で思ってた」
「う…二の次にしたつもりはないんだけど、ごめん」
「わかってるよ。俺が子どもなだけ」

今度は俺がぶんぶんと首を横に振る。

――嬉しいなんて言ったら、新太は怒るかな。

そんなに前からずっと俺のことを好きでいてくれたこと。今もずっとこうして俺を好きでいつづけてくれること。

「傑?」
「好きだよ」

ぎゅうときつくその身体を抱きしめる。

「好き。新太が好き。大好き」

誰かを好きになって、その人が自分を好きになってくれて、気持ちを返してくれることがこんなにも幸せなことだなんて知らなかった。この人とでなければ、知ることさえできなかった。

「…ん」
「大好きだよ。本当に。新太が一番だからね。新太だけが好きだから」
「わ、わかったから勘弁して。やめて。照れる」
「じゃあ塞いでよ」

笑いながらそうねだってみると、新太は少し頬を赤くしたまま甘い甘いキスをくれた。

「ん、んん…ぁ」

内側からゆっくりと解かれていくような口付けに、あっという間に力が抜けてしまう。おまけに服の裾から入り込んできた手のひらがいやらしく脇腹を撫でるものだから、変な声が出た。必死で奥歯を噛みしめていた俺に、新太が小さく囁く。

「声出して」
「や、やだよ…」
「聞きたい」
「恥ずかしいものは恥ずかし…んっ」

くに、と指先で胸の先端を押され、咄嗟に口を手で覆った。目の前に見えるのは楽しそうに笑う新太の顔だ。

「ここ、気持ちいい?」
「…っ」

いやいやいやいや…何ですかその良い笑顔は。

「そ、そんなに楽しいの…?」
「楽しいっていうか、まぁ…うん。傑が可愛すぎてやばい」
「俺一応新太より年上なんだけど」
「年上の人がこんな風に俺に組み敷かれて照れてるっていうのがいいんでしょ」
「さっきまで自分も照れてたくせに…」
「今も照れてるよ。心臓爆発しそう」
「爆発って」

可愛いのは新太の方じゃないか、と思う。

困ったなぁ。嬉しいなぁ。なんでこんなに俺を大切にしてくれるんだろうなぁ。

「もういいから、触るよ」
「うん」

ズボンの上から股間を撫でられて、ピクリと身体が反応する。淡く息を吐く俺の耳に口を寄せながら、新太は何度も気持ちいいかと尋ねてきた。

「う、ん…んっ、きもちい、から…」
「どこが一番気持ちいいか教えて」
「わかんな…ッ、あ、ぁう、ン、んん」
「すぐる」
「あぁ…っん!!」

下着の中で兆しかけたモノを、手のひらや指で刺激される。窮屈なせいでゆるやかな愛撫になってしまっているのがもどかしくて、自分から腰を押し付けた。ぬるりとした感触にまた声が漏れる。

「かわいい」
「も、もういいから…っそういうの、いいから」
「から?」
「うしろ、触って」
「…」

先程からひくひくと疼いている場所への愛撫をねだると、新太はなんとも表現しがたい微妙な表情を浮かべた。

「あ、ご…ごめん、俺」

さすがに自分から言うのはまずかっただろうか。慌てて撤回しようと口を開く俺に、彼は違うよと首を横に振ってみせる。

「かわいすぎてちょっと…にやけるの抑えてた」
「にやける?」
「俺に後ろ触られるの、好き?」
「ん…っ」

指で軽く孔の縁をなぞられ、息を詰めた。この指が与えてくれる快感を、全身が覚えている。全身が欲している。

「う、ん…すき」
「そっか。…ちょっと待って」

ふっと柔らかく微笑んだ新太は、一旦手を止めてジェルのボトルを取り出す。

「っ、は…、ぁ、あ…ッ」

そしてたっぷりとそのジェルで指や俺のそこを濡らした後、そのままゆっくりと指を中に埋めた。直接内側を擦られる感覚に自然と声が出る。

「いっぱい気持ちよくしてあげる」

もう十分すぎるくらい気持ちいいのに、これ以上されたらおかしくなりそうだ。そう思うのに、もっともっと先を求めるかのごとく内側が指を締め付けた。

「ん、んっ、ぁ、んんっ」
「すっごい、ぬるぬるしてる…」
「んや、あ…ンっ、んは…!」

ぐしゅ、ぐしゅ、と液を塗り込めるように動かされ、その淫猥な音に俺だけではなく新太も興奮しているのがわかる。甘く熱っぽい瞳で見下ろされるのがたまらなくて、じわりと性器から蜜が零れた。

「あぁっ、あ、はぁ…っ、あらた、新太ぁ…っ」
「ん…?」

縋るように服を掴めば、俺のしてほしいことが伝わったらしく、少し荒っぽく口を塞がれる。

「ん、ふぁ、あ…んん、んぅ…ッ」

自ら差し込んだ舌を軽く噛まれ背筋が震えた。同時に指の動きが激しさを増して、びくびくと仰け反る。上も下もぐちゃぐちゃに掻き回されて、どこが気持ちいいのかも曖昧だ。

「慣らしてるのに、全然広がんない」

きゅうきゅうに締め付けてるよ、と新太が笑った。わかっているくせに、意地が悪い。

「も、ぉ…もお、いい、いぃ…」

手を伸ばして彼の下半身に触れ、硬く兆したモノをズボン越しに撫でる。もう十分だから、早くこれで擦って欲しい。そんなおねだりの意味を込めて。

「んー、でももうちょっとだけ。だめ?」
「だめじゃないけど、ちがくて、あの」
「うん?」
「も、もう、イきそうだから…指じゃなくて、新太ので、イきたい」

う、何を言ってるんだ俺は。ちょっと今の発言は性急すぎたかもしれない。がっついてるなんて思われてないかなと不安になるも、彼にとってはそのおねだりは及第点に値するものだったようだ。

「…ん。わかった」

カチャカチャとベルトを外す音がして、期待でまた瞳が潤む。早く、早く、と急く気持ちを落ち着けるため、深く息を吐き出した。

「あ…っ」

ふと新太がゴムの袋を手にしているのを見て慌ててしまう。新太はいつも俺に負担をかけまいと避妊具をつけることを選びたがるのだが、実はあんまりその感触が好きではない。

「い、いらない。それ、いらない」
「でも」
「生でして」

新太は動きを止めたかと思うと、しどろもどろになって焦りだした。

「ちょ、ちょっと、傑さん…その言い方は」
「だって」
「…生でしたら、俺中出ししない自信ないんだけど」
「中出しして」
「ちょっと!」

駄目だってそれは、と顔を真っ赤にしながら怒られる。何が駄目なのか。俺がいいって言ってるんだから、そんなに頑なに拒まなくても。身体のことなら心配しなくてもいい。こうみえて結構丈夫だし。

「たまには俺の希望も聞いてくれたっていいじゃん…そんなに直接俺の中に入るの嫌なの」
「違…っ」

わざと悲しそうな声を出すと、新太は観念したように肩を落としてこちらを見た。

「…本当のこと言っても笑わない?」
「笑わないよ。笑うわけない」
「生でしたら」
「生でしたら…?」
「多分、無理。もたない」
「え?」
「絶対傑のことイかせる前に俺の方がイく」
「…」

口から小さく息が漏れる。あ、やばい。笑っちゃった。

「…笑わないって言ったくせに…」
「ご、ごめん…馬鹿にしてるわけじゃなくて、かわいいなぁって思って」

なんだ。そんなこと。

「いいよ。先にイっても、その後またもう一回してくれるでしょ?」
「そうだけど…」

ちゅ、と軽くキスしてその頬を撫でてやると、新太は恨めしそうな顔のまま頷く。

「気にしなくていいよ。どうせ二人とも訳分かんなくなっちゃうんだし」
「いやでも男の沽券にかかわるっていうか」
「俺はむしろ嬉しいけどな。いっぱいイってくれた方が、いっぱい気持ちよくなってくれてるってことだし」
「…そういうもん?」
「そういうもん。…ね、だから」

早く入れて。耳朶を食みながらそう囁いた。早くこの人のもので、自分の中をいっぱいにしてほしい。

「…ん」

新太の手が持っていたゴムの袋を脇に置いて、代わりに俺の太ももを掴んでぐいと広げた。何度繰り返しても恥ずかしくて慣れない体勢に、視線を微妙に逸らすことで耐える。

「じゃあ、このまま…入れるよ」
「う、ん…っ」

返事をした瞬間、ぐぷぐぷと音を立てて濡れたものが押し入ってきた。熱い塊の感触が直に伝わってきて、先程十分すぎるほどに慣らされたこともあり、それだけでもうなんだか達してしまいそうである。結局先にイくのは俺の方になるんじゃないだろうか。

「あ、ぁ…ッ、あらた、あらた…」

乱れた呼吸のままそう呟いて視線を上げると、新太は何かに耐えるかのごとく眉を寄せてこっちを見ていた。

…え、エロい。かわいい。

自分の身体なんかで気持ちよくなってくれていることが嬉しくて、きゅうとぬかるんだそこが反応する。

「ちょ…なに…っきつ」
「だって、新太…かわいい」
「くそ、もう、ほんとやばい…っ」
「あう…ッ!!」

突然強く腰を送り込まれて、びくんと足を引きつらせる。つながったところから快感が弾けて、全身に広がっていった。

「や、ぁっ、ああっあっ、ん、ふ…はぁっ、はぁ…っ!!」

自分からいいところを探るように身を捩ると、新太が少し笑いながら腰を揺する。

「…っはぁ、ここ…?」
「あぁぁ…っ!うん、んっ、そこ、そこいい…ッぁ、んっ、んんっ、ん」

がつがつと奥まで一気に突かれる度、自分のそこが悦んでいやらしく蠢いた。精液を搾り取ろうとするかのような内壁の動きに、新太が上擦った息を吐き出す。

「あぁもう、締めないでってば…っ」
「ひぁぁぁっ!!」

張り出した部分を入口に引っ掛けるように抜き差しされ、悲鳴のような喘ぎが溢れ出た。

「やぁ…っ、あ、やだ、やだぁ…っ!!」

がくがくと浮き上がる腰を新太の手がベッドの上に押さえつけ、容赦なく責め立ててくる。目の前が涙で潤んで、見えるものすべてが歪んでいった。

「あ――ッ、い、く、いく、あらたぁ、そんな、しないで…いくぅ…いくからぁっあ、あはぁ…っ、ん、んぅ、うっ!」

うそ。うそだ。先にイくなんて言ってたくせに。うそつき。ずるい。いじわる。そんな罵倒にもならない言葉を思いつくままに浴びせかける。

「ん…っいいよ、イって、はやく…」

初めてしたときも気持ち良かったけど、新太とのセックスは回数を重ねる度にどんどん快感が増していく。身体が慣れたとかお互い行為に関しての技術を身に着けたとか、勿論そういう理由もあると思う。

だけどやっぱり一番は、互いが互いを思い合ってることを実感できるからだ。だからこそこんなに気持ちいい。

好きで好きでたまらなくて、一緒にいるだけじゃ足りない。もっと奥深い所で繋がって、どろどろになるまで溶けあいたい。自分の中にこんなやらしい感情があるだなんて知らなかった。

「はぁ、っもっかい、んっ、ん、して、さっきの…ッ、して」

ぬちゅぬちゅと突き上げのたびに響く音。それがジェルなのかそれとも互いの体液なのかはもはやわからない。腹につくほど勃起したペニスは鈴口からぬめった液を吐き出し続け、どろどろに濡れそぼっている。

「さっきのって、これ…?」
「―――っ!!」

太い部分でわざと孔の縁を押し広げるように擦る、その動きをもう一度繰り返され、声も無く仰け反った。貪るように収縮する腸の中で、新太のそれがぐっと硬度を増す。

「あぁ、もう…ごめ、出る…!」
「んんっ、ぅん、して、汚して、出して…ッ」
「…っ、出す、出すよ、中…」

小さく声を漏らしながら、新太が腰を震わせる。同時に内側があたたかい液体で充たされていくのを感じて、嬉しさで口元が緩んだ。

「なに、笑ってんの…っ」
「あぁっ、ん、だって、かわいい、新太」

そんな俺の様子を見て新太は悔しそうに眉を顰め、一層激しく責め立ててくる。

「くそ…、次こそ、イかせるから」
「ちょ、っや…、やだ」

一度達したことで幾分か余裕ができたらしく、俺の抵抗などお構いなしだ。膝裏に差し込まれた手によって強い力で押さえつけられ、つながった部分を必然的に上方に晒してしまう、とんでもなく恥ずかしい格好をとらされた。

「や、いや…っ、あらた、これ…っ見えちゃう、から、はずかしいってばぁ…!!」
「うん、俺のが出たり入ったりしてるの、丸見え」
「あぁ…ぅ、ん、み、見ないで、見ないで、んぁっ、あ、あっ」

ぐちゅんぐちゅんと上から突き落とすように掻き混ぜられ、俺は縋るものを必死で探す。だめ。気持ち良すぎる。何かに縋っていないと、おかしくなりそうだ。

「傑、ちゃんと見て」
「やだ、や、あぁぁっ、ん、んく、はぁ、う…っ、はずかしい、もう、もうしないで」

妖しく濡れたものが何度も何度も抜き差しされる光景は、とてつもなくいやらしいくて恥ずかしい。だけど目を逸らすことができない。

「いっぱいしてって言ったの、傑でしょ…ほら、自分で脚持って、俺に見せて」
「あ…ッ」

過ぎた快感に半ば泣きそうになりながら、俺は何故か素直に言われた通り自分で膝を抱えた。

「ふふ、えろ…」
「いや、言わないで…っ」

新太は溜息混じりにそう呟き、ゆるゆると腰を回す。先程出された白濁が溢れ出し、つながった縁をさらに汚していった。

「さっきからいやいやばっかり。ほんとにいや?」

ぶんぶんと首を横に振る。嫌なわけない。新太にされて嫌なことなんて、あるわけない。

「や、じゃない…ッ」
「どうされたい?」

今日の新太はやっぱり意地悪だ。

だけど、目の前に差し出される甘い意地悪は俺の奥底の被虐的な部分をじくじくと刺激して、自分が彼にいいようにされている、ということにたまらなく興奮した。

「いっ、いっぱい…」
「いっぱい?」
「新太ので、いっぱい擦って、いっぱい濡らして、いっぱい、イかせて」

消え入りそうな小さな声で自分の願望を吐き出す。恥ずかしい、けど、恥ずかしいことは気持ちがいい。俺はそのことを知っている。

「…かわいすぎて死にそう」
「んん…ッ」

再開された律動に鼻にかかったような息を吐くと、新太はもういいよと抱え上げた脚を元に戻すことを許してくれた。代わりに自由になった手のひらを、シーツの上で優しく絡めとられる。

「ふぁ…っ、んっ、んっ、あぁ、う…あらた、あらたぁ」
「かわいい、傑。俺も大好き」

耳元で囁かれるのは、先ほど自分が彼に向けて発した言葉への返事だった。そのことに気がつき、快楽の波に飲み込まれそうになりながらも何度も頷く。

「あ、はぁ…っ、あ、いく、いく、いかせて」
「ん…ここ?」
「あぁ…ッうん、ん、そこ、強く擦って、んんっ、ん―――ッ!!」

ごりごりと強く中のしこりを押し潰され、目の前に白い光が飛んだ。だめ、いく。そう思ったときにはもう遅くて、性器からはだらだらと力なく精液が零れだす。

「…イった?」
「はぁ…っ、はぁ、あっ、あ…うん、でも、ぁ、待って、待って…!!」
「待たない」

射精はしたはずなのに、絶頂感が消えてくれない。訳が分からなくて戸惑っている俺を余所に、新太はまた強く腰を送り込んできた。

「やぁぁっ、新太、や…っ待って、って、イってる、イってる」
「は…っ、うん、中、ぐねぐねしてる…」
「ちが、う…そ、じゃなくてぇ…止まって、ッ、イきっぱなし、なるからぁ」
「いいよ、イきっぱなし、なって」
「あ、んんっ、は、ぁあ、そんな…っあぁもう…、もう、すごい…!」

ぎゅうぎゅうに狭くなった中を掻き分け、太く昂ったものがねじ込まれてはまた抜けていく。繋いだ手をきつく握り締め視線を上げると、愉悦に蕩けた表情の新太がいた。かわいい。うれしい。そんな思いで胸がいっぱいになる。

「またいく、いく…ッ」
「っおれも…また、出すから」
「んはぁぁ…―――!!」
「あ…っう…く」

がくがくと仰け反って二度目の絶頂を迎え、埋められたものを食い締めた。新太も堪え切れないといったように息を漏らし、再度俺の中でたっぷりと精を吐き出す。

「…」
「…ん、ん」

お互い肩で呼吸をしながら、そのまま自然と唇を合わせた。はぁはぁという荒い息と、湿ったリップ音だけが部屋で響く。

――なんだか、ものすごいセックスをしてしまった。



あれだけ激しい運動をすれば、普段活動的とは言い難い俺の体力はものの見事に使い果たされてしまうわけで。

シャワーを浴びてさっぱりした後ベッドに寝転ぶと、うとうとと眠気が襲ってくる。同じくシャワーを終えた新太が戻ってくる頃には、俺は完全に眠る体制に入っていた。

「あっ、ダメだってちゃんと髪乾かさないと」

ベッドの淵に腰掛けた新太が、そっと頬を撫でてくれる。その感触が気持ち良くて、さらに一層眠気が増していった。

「んー…もうこのまま寝る」
「傑!風邪ひくから!」
「じゃあ新太がやってよ」
「もー…わかったからとりあえず起きて。ドライヤー持ってくる」
「やだ。ここにいて、もっと撫でてて」

矛盾した我侭を言ってしがみついたまま離れない俺に、新太は呆れたように笑う。

「傑って、意外とベタベタしてくるよね」
「え?」
「さっき俺に言ってたけどさ、傑の方こそ触ったり触られたりとかあんまり興味なさそうだよ。見てるだけで満足できるーってタイプだと思ってた」
「んー…そう、かなぁ…?」

言われて気付く。確かに、姉さんのときはそんな感じだったかもしれない。好きだからこそ、簡単には触れられないと思っていた。触れたら全て壊れてしまいそうな気さえしていた。

「そうだと思ってたの。なのにいっつも俺の膝乗ってきたりするじゃん。テレビ見てるときも脚の間に挟まろうとするし、今もなんか抱き着いてるし」
「それは…えぇと、新太の甘えさせ方がうまいっていうか」
「甘えさせ方?」

甘え上手じゃなくて、甘えられ上手っていうか。

「俺一人っ子だし、父さん母さんも小さいころから仕事であんまりいなかったし、甘えられる人って今までいなかったんだよね」
「あー…うん」

かといって、そのことを寂しいだとか悲しいだとか感じたことは別にない。それが当たり前だったのだ。

「新太って基本、俺のこと構うでしょ。傑はほっとくと危ないからって。んで俺は、そんな風に構ってくれるのが嬉しくて仕方ないわけ」

髪を乾かせとか、ご飯をちゃんと食べろとか、小言を向けられるのも嬉しい。

「…つまり、傑は本当は甘えたい人?」
「新太限定でね」

ふふ、と声を出して笑うと、新太は腰にしがみ付いたままの俺の頭に軽くキスをした。

「じゃあ俺は、これからもいっぱい傑のこと甘やかす」
「うん。甘やかして」
「とりあえず今は髪の毛乾かそう。ほら離して」
「言ったそばから早速引きはがそうとする!ひどい」

わざと拗ねた口調で一層強くしがみ付く。こうして何気なくじゃれることができるのも、楽しくてたまらない。

「終わったら一緒に寝てあげるから」
「え、でも…」

時刻は夕方。今一緒に寝てしまったら、家に帰る時間が遅くなるのではないだろうか。大学生になったとはいえ、新太はまだ未成年だ。

それに、家がすぐ近くだということを理由にして夜遅くまで引き留めておくのは気が引ける。いくら気心知れた幼馴染みでも、節度を持った付き合い方は大事だ。

「今日、このまま泊まってっちゃダメ?」

本音と建前の間で悩んでいる俺に、新太は少し首を傾けながらそう問いかけてきた。

「…ダメなんて、言うと思う?」

――新太はやっぱり俺に甘い。

質問に質問で返すのはルール違反だっけ、と思いつつ、一緒にいたいという気持ちは同じなのかもしれない、と俺はでれでれした笑みを浮かべたのだった。

end.




名無しさんリクで、「俺にしとけば?の二人のほのぼの激甘えっち」でした!
エロをとにかく濃く甘く頑張りました…いかがでしょうか…。
初期の新太と今の新太の態度が違いすぎて、これもはや別人レベルでは…という気がしていたのでそのへんのネタも盛り込んでみました。事あるごとに姉を敵視していますが、姉弟仲はかなり良い方です。
傑は普段ぽやぽやしてるけど、エロに関しては結構積極的だと(新太が)おいしいなと思います。新太はむっつりだと(私が)楽しいなと思います。

大変お待たせいたしましたが、どうか楽しんでいただけますように!素敵なリクエストありがとうございました!

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