※ヤキモキスの続きです。


悪いのは俺ではなく、こいつのはずなのに。俺はただちょっとだけこいつが反省すればいいと思っただけなのに、どうしてこうなるんだ。

「も…っ、いや…っつってんだろぉ…！」
「いやがることしてんだから当然」

ひふみは俺のことを後ろ抱きにし、その長い指でぐちゅぐちゅと穴の中を掻き混ぜた。先程注ぎ込まれた精液がどろどろに溢れ出し、ベッドの上を汚す。思わず目線を背けてしまうくらい、俺のそこは卑猥な様相を呈していた。

「ひうあぁっ、あぁ…ッん、う、んん！」

指の先がしつこいくらいに感じるポイントを擦り上げてくる。全身が跳ねるのを止められない。

「こら、脚閉じんな」
「うるさ…ぁっ」
「うるさい？どの口がそんなこと言ってんの？」
「んあ゛ぁぁ…っ、あ、あぁぁっ」

じゅぶっじゅぶっぐちゅぐちゅっ

音が立つくらいに激しく出し入れされ、俺はびくびくと太ももを引きつらせて悲鳴をあげた。勃ちあがった性器から新たな先走りが押し出される。まだ精液が出るかは自分でもわからない。出し尽くしたような気がする。

「はぁ…っ、はぁ、も、むりぃ…っむり、ほんと…っげんかい」

半分泣きながら息も絶え絶えに訴えかけた。ひふみが耳元で笑う。

「入れてほしい？」

当たり前だ。今更指だけで満足できるほど俺の身体はいい子じゃない。誰のせいかって、こいつのせいに決まってる。

こいつのせいで俺は、後ろに突っ込まれてぐちゃぐちゃにされたい、なんてとんでもないことを思うようになってしまった。

「これ、これ、はやく…っ」

先程から腰のあたりに押し付けられているひふみのそれを、後ろ手に軽く撫でる。こんなにバッキバキにしてるくせに、なに我慢してんだ。

「まだ、だめ」
「あ…ッ」

べろ、と首筋を生暖かい感触が這っていった。ぞくぞくとした快感が全身を駆けまわり、中に埋められた指を強く締め付けてしまう。

「えろすぎ」
「んぁ、あ…ばか、ばかぁっ、なん…で、我慢、できるんだよぉ…っ」
「俺、昔から我慢だけは得意だから」

それは嫌という程知っているけれど。でも今それを発揮されても困る。アホかこいつは。

「いやだ、ぁ、もう、がまんできな…ッいれて、いれろぉ、はやく」
「んー…」
「ひうぅっ、あ！あっ、あっ…あ、あぁぁぁっ！」

力を込めて前立腺を押し潰され、一瞬呼吸が止まりそうになった。目の前が白く光る。

「あと一回後ろだけでイけたら、いいよ」
「やだ、いや…あ゛――ッ、あ…やめ、そこぉ、押すなぁぁっ、あほっ、ばか、いやぁぁッ！！」
「すっげー声。あー指つりそう」

とめどなく流れてくる涙で頬を濡らして泣き叫ぶ俺に、ひふみは容赦なく指での愛撫を続けた。もう訳が分からない。自分が何を言っているかも聞き取れないくらい、頭の中がぐちゃぐちゃだ。

「んぐっ、う、はぁ、はぁっ、死ぬ、もう、しぬしぬしぬぅっ、しんじゃう、ひうあぁっ、でる、出るから、んぁあっ、あぁぁ――っ！！」

びくびくと腰をわななかせ、幾度目かの射精を迎えた。薄くなった精液が断続的に押し出されていく。

「はー…っはー…はぁ、は…」

――いや、もう無理だろ、これ…。本当死ぬぞ…。

ぐったりとひふみの身体にもたれかかり、息を整える。まるで全力疾走した後のような息苦しさと倦怠感だ。

「おい、平気か？」
「へいきな、わけ…ねーだろ…この変態…」
「元はと言えば自分が蒔いた種だろ」
「俺は…ここまで、してない…っ」
「人のこと縛ったり焦らしたりするからこうなるんだよ」
「もう二度としねぇ…」
「当然」

そのまま瞼を閉じしばらく動かないでいると、ぺしりとひふみの手が額を叩いた。

「こら、寝るな」
「えー…もう、眠い…」
「てめぇ…自分だけイっといて…」
「俺は何回も入れろって言ったのに、入れなかったお前が悪い」
「今入れたい」

我侭か。

尻の間にいきり立ったモノを押し付けられ、深い溜息を吐く。もう無理だっつってんだろ。ふざけんな。

「なぁ」
「…」

だめ？と甘えたような声で尋ねられて、にやつきたくなるのを必死で堪えた。

くっそ！くっそ！可愛いとか思ってんじゃねーよ俺！いや可愛いけど！ここであっさり許したら負けな気がする！

「入れたい」
「…」
「瑞貴くん」

ここでくん付けはずるい。俺のポイントを的確に突いてきやがる。

「…俺の言うこと聞く？」

仕方なく渋々といったフリをして問いかけた。本当はそこまで嫌じゃないのは内緒だ。

「多分」
「多分ってなんだよ」
「内容による」
「…ゆっくりしろ。今激しくされたら死ぬ。お前のせいで死にそうになってんだから、多分じゃなくて絶対守れよ」
「わかった」
「ん…っ」

ひふみの手が腰を掴む。それだけで甘い声が漏れ、自分がどれだけ期待しているのかを知る。

「んじゃあ、瑞貴の好きなバックで。少しは楽だろ」

ボスンとベットの上にうつぶせにさせられた。そのまま腰だけを高く上げた格好をとらされ、羞恥で顔が熱くなる。きっとひふみには全部が見えてしまっているのだろう。

「す、すきじゃねぇ…」
「うそ。前一番きもちいいって言ってた」
「〜〜〜ッ、ぁ…！！」

ずちゅうう、とナカに大きな塊を押し込まれていく。長い行為のおかげで研ぎ澄まされた内側の感覚が、貪欲に快楽を拾おうと勝手に蠢いた。枕に顔を埋めて歯を食いしばる。

「…あんなに指で広げたのに、なんでこんな…っきついわけ？」

きゅうきゅうと締め付けて離さない孔の縁をなぞりながら、ひふみが囁いた。掠れ切った声に胸が苦しくなる。知らねぇよ。なんでこんなんなってるのか、俺が一番知りたい。

「あ、あ、あぁ、んっ、んっ…ぅ、はぁ、う…っ」

にゅる、にゅる、と濡れたモノを引き抜かれる度、背中を反らして喘いだ。全身に鳥肌が立つ。

くそ、気持ちいい。気持ちいい。ずるい。

「はぁ…っ、すげ、瑞貴…」
「んぁ、あっ、ア…っいい、きもちい、ひふみぃっ、いい、あぁ、うそ…っ」

開きっぱなしの口から涎が零れていくのが分かった。どこもかしこもべたべただ。気持ち良すぎて視界が定まらない。

「あ、ぁ…っく」

後ろから聞こえる堪えたような声も快感を助長させる。俺の身体で気持ちよさそうに息を吐くひふみが、好きで好きでたまらないと思った。

「はっ、はぁっ、んっんっ…ふ、ぁっ」

ぱちゅんぱちゅんと次第に勢いを増していく腰の動き。反りかえったペニスを何度も出し入れされて、俺は髪を振り乱して抗議する。

「あぁぁっ、ちょ、ゆ、ゆっくり、してって、言ったのにぃ…ッあは、あ…！あっ、あぁっん、つよ、ばか、つよいっ…いぃ、んぅっ」
「ゆっくり、だと、もの足んない、くせに…っん」
「ひ…ッ、あ、むり、も、腰立たな…あぁぁッ、ひうっ」
「おい、ふざ…っけんな」
「あ゛―――ッ！あ――っ、あ、やめ、やめひぇぇ…ッ！うそぉぉっ…」

力が抜けてへにゃりとベッドに沈み込んだ俺の腰を抱え上げ、ひふみはなおもピストンを続けた。チカチカと瞳の奥に星が飛ぶ。

「んぎっ、あ、ぁっ、あっ、うそ、あっ、やだ、やだ、っあぁ、ううぅっ」

待って、なんか、変だ。

「あっ、あっ、あうっ、ま、まって、へん、へん、ひふみ、とまって、とまればかぁぁっ」
「むり…ッ、あ、もう…すぐだから」

こっちのが無理だっつの！！

「や、や、やだぁぁっ、やだ、ぁ、ひ、こわい、やめて、あ゛っ、あっ、なんか、ちが…っこわいぃ」

泣きじゃくりながら死に物狂いで快感を発散させようとするも、奥底から湧いてくる得体の知れない感覚は治まってくれなかった。びくびくと全身が震えだす。

――あ、もう駄目。

「〜〜〜〜〜〜ッ！！」

そう思った瞬間、何かが弾けた。

「ちょ、何…っ」

ぎゅううう、と内側が強くひふみのモノを食い締める。あまりの締め付けに驚いたのか、後ろで呻く声がした。

「…あ、あ―――ぁっ…あ、あっ…」

身体の震えが止まらない。ずっとイき続けているみたいだ。浅く激しい呼吸を繰り返す。

「だ、大丈夫か…？」

ひふみが心配そうな声で問いかけてきた。大丈夫なわけねーだろ。ふるふると首を横に振り、強い絶頂感を必死でやり過ごす。部屋には暫く俺の荒い息の音だけが響いた。

「はー…っ、はっ、はぁ…っ」

どれくらいそうしていただろうか。

徐々にその妙な感覚が引いていき、俺はぐったりとベットの上に四肢を投げ出す。

「瑞貴…？」

ひふみの心配そうな顔が視界に飛び込んできて、ようやく孔を満たしていたものが抜けているのを感じ取った。あれ、いつの間に抜いたんだこいつ。

「大丈夫？きつくない？ちゃんと息できる？」

確かめるような手付きで背中をさすられる。相変わらず冷たい手のひらだが、暑く火照った身体には丁度いい温度だった。

「し、死ぬかと…思った…」
「俺も超焦った」
「なに今の…」
「気持ちよかった？」
「いや、なんか…よすぎて、やばかった。ずっとイってるみたいな」

頭の中が真っ白で、あんまりよく思い出せない。

「…そう」

びっしょりと汗で濡れた額。はりついた髪をひふみの長い指がそっとよける。

「じゃあ、ドライオーガってやつだろ。お前射精してないみたいだし」
「どらい…」

聞いたことはある、ような。でもまさかこんなにすごいものだとは思わなかった。

「ちょっとやりすぎたかも。ごめん」
「う…そーだよお前！人が止まれっつってんのに！」
「だってすげー気持ちよさそうにしてたから、いいかなって」
「いいわけねーだろ！」
「はは、全然痛くねー」

ぽすん、と力のない拳になってしまった。ひふみがそれを見て笑う。誰のせいで力が入んないと思ってんだ。

「そんなよかったんだ。へろへろになるくらい」
「…うるせぇ」

身も蓋も無くよがった自分の姿を思い出して恥ずかしくなる。今更恥ずかしいとかどうせ通用しないんだろうけど。

「風呂沸かすけど。動ける？」
「無理。全身だるい」
「そ。なら洗ってやるから、もう今日は大人しくしとけ」
「ん…」

ちゅ、と軽く額に口付けて風呂場に向かおうとするひふみ。咄嗟にその腕を掴む。

「なに、どうかした？」
「…お前は、もーいいのかよ」
「なにが？」
「俺はイったけど、お前イってないだろ」
「あーごめん。普通に中出しした」
「えっ」

いつの間に。

「お前すごい締め付けてくるんだもん。無理だってあんなの」
「そ、そうか…ならいいけど…」
「気付かなかった？」
「…おう」

にまり、とひふみが微笑んだ。

「かぁわいい瑞貴くん」
「うっせぇ！！」

――次の日、当然の如く声をからしおまけに全身バキバキになった俺は、もう余計な真似は二度とするまいと深く心に刻んだ。ヤキモチなんて、ロクなもんじゃない。妬くまいと思って止められるものではないが、極力無用な嫉妬を抱くのはもうやめにしよう。

でも、まぁ。

「瑞貴」
「…？」
「瑞貴、好きだよ」
「！！」

好きって言え、と俺が泣いたのをひふみはしっかりと覚えていたらしく。

「好き」
「…っわがっだがら、もうだまれ…！」
「お前が言えって言ったんだろ。つーか声かれてんのに騒ぐなよ」
「〜〜っ！！」

普段絶対に言ってくれないような言葉が聞けたので、それはそれで良かった、かもしれない。

「あー昨日の瑞貴くん可愛かったなー。ドライでイくとかほんとすけべ」
「…！！！」
「何言ってるかわかんねーって」

…いや全然良くない。良くない。前言撤回。

「はは、ぶっさいく。目腫れてるし。泣きすぎたんじゃね」
「…」
「いてぇよ。殴んな」

全部てめーのせいじゃボケェ！！

end.


＊

名無しさんリクエストで「ヤキモキスで、ひふみくんがどんな風に瑞貴君を焦らしたのか」でした。カットしたエロ部分ですね。シックラバーの丸々一本エロは久々でした。
エロって毎回毎回マンネリな描写になりがちなので苦労しているのですが、どうでしょう…今回は瑞貴にドライオーガさせるぞ！！と頑張って書きました。エロいのをエロく書く才能が欲しいです。エロエロうるさくてすいません。
ちなみに瑞貴がバックが好きって言ってたのはこのときでした。

素敵なリクエストをどうもありがとうございました！楽しんでいただけますように！

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