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▼ こっちがそれであれがどっちで

付き合ってください、と言われた。唐突に。名前も知らない女の子に。

「あの、学部同じですよね。よく学部棟で見かけてて、それで…」

ゆるくパーマのかかった髪が綺麗な、まさに女子大学生って感じの子だった。一般的に見れば可愛い方…なのかな。よく分からない。ぶっちゃけ女の子なんてどれも同じに見える。

「あー…えっと…その…ごめん」
「…彼女いないんですよね?」

いや、確かにいないけど。つかどこ情報なんだそれ。怖いわ。

「彼女はいない」
「だったらあの…」
「ごめん。今恋人とか興味ないんだ」
「じゃあ、せめてお友達から…」

駄目だ。面倒くさい。そう思ってしまう自分は薄情なのか。

お友達とかそういうのも無理。変に期待持たせるとロクなことなさそうだし。そもそも俺女に興味ないし。

はぁ、と小さく溜息を吐く。あんまりこういうこと言いたくないのになぁ。この際仕方ない。

「彼女はいないけど、好きな奴ならいる」
「え…」
「世界で一番大事な奴なんだ。そいつじゃないと無理。他は興味ない」
「それって、夕月くんのこと?」

何を分かりきったことを。

「そうだよ」
「でも…」
「君の言いたいことは分かってる。でもね」

にこりと顔に笑みを貼り付けて、俺は言った。

「俺は生まれたときからずっと、夕月のことしか見てないから。ごめんね」



「朝日!遅いよ!今日俺も四限終わりだから一緒に帰ろうって言ったじゃん!」

家に帰ると開口一番怒られた。

怒っている顔も可愛い、なんて口に出したらきっともっと怒るに違いない。まぁ俺と夕月は双子だから、傍目には区別がつかないくらいそっくりなんだけど。俺は夕月の方が何百倍も可愛いと思う。見た目も中身も。

「ユヅ」
「朝日があんまり遅いから先帰ってきたし!」
「ユヅ」
「…なに、どしたの」

ぎゅう、と夕月の身体を抱きしめ擦り寄る。

「夕月、俺のこと好き?」
「うん」
「どんくらい?」
「そうだなー…朝日が俺のこと好きなのと同じくらい?」
「じゃあ俺がさっきまで女の子に告白されてたって言ったら、ヤキモチ妬く?」
「告白されてたの」
「断ったけどね」
「当然!」

夕月が怒りながら抱きついてきた。相変わらず力だけは強い。ちょっと痛かった。

「朝日ってモテるよね」
「この間夕月だって女の子にメアド聞かれてたじゃん」
「メアドと告白は違うし」
「そうだけど、でも俺はちょー妬いたよ」
「俺も今すごく妬いてるよ」

拗ねて口を尖らせているその姿に思わず笑みが漏れる。どうして夕月はこんなにも可愛いんだろう。

「ユヅは可愛いな」

思ったことをそのまま言葉に出した。

「朝日の方が可愛いよ」
「可愛いよりかっこいいの方が嬉しいんだけど」
「んー…でも、かっこいい朝日のことはみんな知ってるし。可愛い朝日のことは俺しか知らないだろうから、やっぱり可愛いの方がいい」
「それって俺のこと独占したいって意味?」

軽く頬にキスをすると、夕月は少しだけびっくりしたような表情をした後、嬉しそうに頷いた。



「ひぁっ、あ…だめ、そこ、ちがう…っ」
「ん、夕月も…っ、ちゃんとしてよ」
「やっ、ぁ…だって…」

俺が下。夕月が上。いわゆるシックスナインの体勢でお互いを愛撫する。セックスをするときは大体いつもこうなることが多い。舐めやすいし、よく見えるし。

「んぁ…っ!!!」

にゅるにゅるに蕩けた中を指で擦りあげた。夕月の好きなポイントをわざと外して弄ってやると、もどかしそうに腰が揺れる。

「あさひぃ…っも、やだぁ…ちゃんとして、俺もするから…!」
「じゃあ、俺の、くわえて」
「んんぅ…っ」

硬い昂りを熱くなった舌がなぞる。くびれの部分をぐりぐりと強く抉られて、耐えきれずに息を吐き出した。やばい。すごくいい。

夕月の気持ちいいとこは全部知っているし、俺の気持ちいいところは全部知られている。というか、なんとなく分かる。なんていうか身体の相性が物凄くいいんだと思う。

「あっ、ん、ん、夕月…もっと…」
「んぁっあ、あ、朝日…ッん、ん、ふ…」
「すっごい、じょーず…めちゃくちゃ、いいよ」
「ひううっ!や、今だめ…っ中、広げんな…!」
「広げなきゃ、俺の入んないでしょ」

人差し指と中指。眼前にあった桃色の孔を二本の指で緩く拡げ、少しずつ慣らしていく。ガクガクと夕月の内腿が震えているのが見えた。きっと力が抜けそうになるのを必死で我慢しているのだろう。

「んっ、んぅっ、あぁ、あさ…っあさひぃ、これ、これ欲しいぃ」

唾液でぬらぬらに濡れた俺のモノを擦りながら夕月が言う。物欲しそうに甘えた声を出すのが可愛くて、思わず頬が緩んでしまう。

「ユヅ、こっち向いて。俺の上乗って」

他の人には絶対に聞かせられないような優しい声でそう言うと、腰の辺りにぽすんと座ってくれた。

「俺のちんこ、欲しいの?」
「うん、うん…ッ、ほしい」
「じゃあちゅーして」
「する…」

身体を前に倒した夕月は、ちゅっと軽い音を立てながら何度も口付けをくれる。しっとりと濡れた唇に吸い付かれる感触が気持ちいい。柔らかな髪を撫で、深いキスに酔いしれた。

「はぁ…っ、ん…もう、入れるよ」
「ん、ん…っ、うん、はやく入れて」

細い腰を両手で掴み、屹立した自身をお尻の間にあてがう。すでにどろどろに解れた入口が誘い込むようにヒクリと震えた。

「ひぁぁ…ッ!!」

ずちゅんっと大きな水音を立て、下から一気にねじ込む。夕月は背中を弓なりに反らし、甲高い声を上げた。

「…ッ」

もしかすると軽くイったのかもしれない。入れたばかりだというのにもうぎゅうぎゅうと搾り取ろうと不規則な動きを見せる内壁。早くも持っていかれそうで懸命に歯を食いしばる。

暫くの間、互いの呼吸が整うまではそのままだった。数分が経過した後、俺は夕月の名前を呼ぶ。

「ユヅ」
「ん…っ?なに…?」
「俺のお腹に手ついて、自分でイイトコ、当てて」
「え…っお、俺が、動くの?」
「だって俺は上に乗っかられてるからあんまり動けないし」
「わかっ、た…」

ぎこちない動きで少しずつ抽送が開始される。恥ずかしいのか顔が真っ赤だ。涙目になりながら腰を揺らす夕月の姿はそりゃあもう可愛くて、絶景だった。

「んっ、んくっ、んんっ、はぁっ、あ、あっ!あっ!」
「うん…ッ、そう、上手」
「…う、ぁあっ、は、んんっ、あ」

ぬちゅっぬちゅぐちゅっ

「んっ、んっ、あぁ…っ、これ、これ、奥までくる…!」
「ん…可愛いよ、夕月」

タガが外れてきたのか、段々と激しくなっていく腰の動き。必死で自分の感じるポイントを擦り上げようとしているのが分かって面白い。そして可愛い。

「朝日、いい、これぇ、すごい…ッ、んぁっ、あぁっん!!」
「うん…俺のちんこ、気持ちいい?」
「きもちいっ、好きっ、あっ、んんっ、朝日のちんこ、すきぃっ」
「ちんこだけ?」
「うぁぁっ、あ…ッ!あ、やぁぁっ!」

下から強く突き上げてやると、夕月はぶんぶんと首を振って涙を零した。いやだと泣くのはいつものことなので気にしない。過ぎた快感をどう発散していいか分からないだけだろう。

「ね、夕月…っ、俺、質問してるよ?」
「あぅ、まっ、んんっ、待って、あぁっあっ、答える、からぁっ」
「ん…?」

ぐりぐりと中を掻き混ぜながら続きを促す。夕月の性器からはとめどない先走りが溢れ、俺の下生えをぐしょぐしょに濡らした。

「すきぃっ、あさひが、好き、だいすき、あさひぃ…っ」
「うん」
「すきすき、朝日、すき、好きっ!」
「俺も夕月のこと大好き…っ」

きゅう、と中の締め付けが増す。抜き差しをする度に少しずつ射精感が高まっていった。

「あぁぁっ!あっ、だめ、だめだっ、出る、出そうぅっ、んんぁぁっ」

あぁ俺愛されてるなぁ、なんてことを実感するのはこんなときだ。

俺を好きだと泣く夕月。俺に好きだと言われて喜ぶ夕月。ずっと昔から変わらないし、これから先も変わらない。変えさせない。

夕月に一番近いところにいるのは俺だし、俺の一番近いところにいるのは夕月だ。他の誰にもこの距離を譲るつもりは無い。

恋人と呼ぶにはちょっと違う。そんな言葉で一括りに出来るもんじゃない。もっともっと深いところで繋がっている特別な存在。

つまり俺は、生まれたときから夕月に夢中なんだ。

「あさひっ、いく、いっていい?いかせてっ、あぁっもう、んっ、いく、いくいく…っだめ、いく」
「ん…っま、って、もうちょい、俺も一緒にいくから」

硬く張りつめた先端で内側を抉る。濡れた襞が吸い付いてくるのがものすごく気持ちいい。まるで離れていくなと言われているかのような動きだ。

「やだぁぁっ、はやくして、がまんできない、あさひぃ…!!」

夕月は泣きじゃくりながら自分のペニスの根元を握る。そうしないと射精してしまいそうだったんだろう。その証拠に握られたモノの先端からぼたぼたと濁った液体が垂れていった。

「はあ…ッ、夕月、いきそうだから、その手、外して、イっていいよ」
「ひうっ、んっ、いい?もう…っあ、あん、も…っもういい?いく?」
「うん、いくいくいく…っ!!」

ずぶちゅんっと奥の奥まで叩き込んだその瞬間、目の前が真っ白になるほどの快感が弾ける。

「あぁ―――ッ!!あっ、あっ、あぁぁ…っ!!」
「夕月…っ」

尿道口から精子が吐き出され、中を白く汚していく。夕月も全身をガクガク震わせて白濁を吐き出した。



「俺ばっかり好きって言わされた…」

夕月が怒っている。というか拗ねている。

「えー?俺も言ったじゃん」
「一回しか言ってない!俺は何回も言ったのに!」
「言ってほしいの?」
「…」

裸のままベッドの中で夕月を抱きしめる。先程の余韻でまだお互い身体はほんのりと熱を帯びていて心地が良い。

「…朝日っていつもいつも俺に言わせるよね。自分は言わないくせに」
「そうかな」
「そうだよ」

ずるい、と不貞腐れた声。

「どのくらい言ってほしい?」
「…いっぱい。一日中。ずっと」
「大学でも?」
「うん」
「みんながいる場でも?」
「うん。別に他の人とか関係ないし」
「そんな可愛いこと言ってたら、本当にみんなの前でちゅーするよ」
「いいよ」
「えっ」

さすがに駄目だろうと思っていたのに、あっさりと許可されてしまった。びっくりして固まっている俺に、夕月はぎゅうっときつく抱き着いてくる。

「朝日のこと、一日中独占したい。他の子なんかにあげない。俺のものだってみんなに言いふらしたい」
「…馬鹿だなぁ」

それ、俺もおんなじこと考えてるって知ってる?

end.




伊織さんリクエストで、「大学でモテモテだけど片割れが好きすぎて周りの人間に興味が無く、 身体の相性が良すぎるラブラブな双子R18」でした。
べったべた甘々な双子とか兄弟ものすごく好きです…!近親相姦的な背徳感で切ない話は勿論ですが、そんなの関係ないよだって好きなんだもん!っていう底抜けに明るいのも好き…つまりなんでも好きです…。
ちなみに一応朝日が弟で夕月が兄です。

素敵なリクエストをありがとうございました!楽しんでいただけますように!


[ topmokuji ]



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