シック・ラバー | ナノ


▼ ヤキモキス

今日バイト早く上がるけど、俺の家来る?

「…」

そうメールが来たのは朝のこと。だからわざわざバイト先まで迎えに来てやったのに。

のに!

「えぇーもう帰っちゃうの?」
「もっとお話ししようよ」
「はは、すいません…また来てください」

くっそ!くっそ!くそが!何が「はは」だよ!きめーんだよ爽やかに笑いやがって!

女の客と仲良く話をしているひふみの姿を見て、俺の機嫌は最悪である。端っこの席で苛々としていたら、ふと視線が合った。ひふみの口が動く。あ…ほ。

あほぉ!?あほだって!?俺が!?

「…まじでぶっ殺すあいつ…」

お前だって俺が別の奴と仲良くしてたら不機嫌になるくせに!



「…で、何のつもりだよこれは」
「うるせぇ!お前今日俺のことあほって言っただろ!」
「だって殺意を含んだ視線で見てくるから」
「お、女に囲まれてへらへらしてんじゃねーよ!」
「ふーん。ヤキモチ?」
「ぐ…っ!いいから手貸せ!」

ひふみの腰の上に座って、タオルでその両手首を固く縛る。ニヤニヤと下から見上げてくるのが腹立たしい。そんな余裕、これからなくなるんだからな!今に見てろよ!

「ほどくなよ!」
「お仕置きのつもり?」
「そっ、そうだ!」
「真っ赤な顔してるくせにそんなことできるんですかぁ?」
「うるさい!」

もう黙ってろ。そんな思いで唇を塞いだ。最初は軽く、それから段々深く。舌を潜り込ませようとすると、素直に口を開けてくれた。

「んっ、ふぁ…んん、ん」

ちゅく、と小さな水音が耳に響く。角度を変えて何度も口付けていると、次第に思考がぼんやりして何も考えられなくなった。その隙をついてか、軽く舌を吸われた。キスの主導権が向こうに移りそうになって、慌てて体を離す。

「だっ、だめ!だめだめだめ!」
「…なんで」
「駄目ったら駄目だ!これはお仕置きなんだから、お前がイイ思いしちゃ意味ないだろ!」

むっと眉間に皺を寄せて俺を睨む。ちょっと怖い。

「そ、そんな顔したって駄目なんだからな!今日は俺が優勢なんだ!」

ひふみの服を捲り上げて胸や腹にキスを落とせば、くすぐったい、と言われた。

「そこはいいから早くちんこしゃぶれよ」
「なんで命令するんだよ!」
「お前に任せてたらいつ終わるか分からん」
「う…だったらおねだりしろ」
「はぁ?」
「しゃぶってください瑞貴様って言え!」
「殺すぞ」
「言え!」
「っ、痛ぇよ馬鹿」

少し硬くなっていたひふみのちんこをズボンの上から握る。力を入れすぎたらしく怒られた。っていうか蹴られた。

「はぁ…シャブッテクダサイミズキサマ」
「棒読み!」
「十分だろ」
「…まぁ許してやる」

腰の上から一旦降りて下半身に顔を埋める。ズボンとパンツをずり下げ、ゆっくりと舌を這わせた。

「ん、う…」

ええと、こいつが好きなところはどこだっけ。以前の記憶を引っ張り出して必死に愛撫する。しばらく舐め続けていると、段々と熱く芯を持っていくそれ。先端からは透明な先走りが滲んだ。

「んん、ふ…ぷぁ、んっんっ」
「…っは…」

ちゅぷちゅぷとぐちゃぐちゃになりながら奉仕する俺の姿を、ひふみが興奮した様子で眺める。

その熱い視線に煽られて、手の中でビクビク跳ねるペニスを今度は喉の奥まで咥えこんだ。舐めるだけじゃなく頭を上下させて搾り取る。正直苦しいが、時折聞こえる堪えるような声が心地いいのでまぁそれくらいは我慢してやろう。もっと喘げばいいのに。

「く、ぁ、ちょ、待て…」
「ふ、う、う、んん」
「も…出るから…う…っ」
「らぁめ」

ぎゅっと根本を押さえつけ、口を離す。唾液やら我慢汁やらいろんな液体が俺の唇とひふみのちんこを繋いだ。べっとべとだ。

「イかせない」
「てめ…っ、ふざけんな」
「お仕置きだっつってんだろ」

寸止めしたせいで辛いのか、ふーふーと歯を食いしばって俺を睨むひふみ。汗で前髪が額に張り付いている。

いい眺めだ、と思いながら服を脱ぐ。そして再びひふみの腰の上に跨って、足を開いた。

「な、にを…」
「お前ばっか、ずるいからな…っ、俺も…んぁっ」

見せつけるようにちんこを扱きながら、片方の手を尻の方へ。つぷつぷとゆっくり自身の指を挿入していく。興奮と快感で腰が戦慄いた。

「は、ぁ…っ、あぁぁっ、ん、ふ、はぁ…っ!」
「エロすぎんだろ…」
「あぁッあっあっ、ひふみ、ひふみぃ…っ」
「っ、瑞貴…」
「んっ、ふぁぁっ、あ、きもち…!」

ぎちゅぎちゅ音を立てて前を擦り、後ろも気持ちいいところを手加減なしで弄る。性器の裏にある前立腺に指を突き立てれば、チカチカと目の前に星が飛んだ。

「瑞貴っ、早く、もう…入れろ」
「ふは、もー入れてえのかよ…んっ、俺ん中、そんなに気持ちよさそ…?」
「うるさい…いいからさっさとしろ」

仕方ない、と言いつつ俺ももう限界だった。早くこの硬いので奥を突いてほしい。しかしそんな気持ちを表に出すわけにもいかないので、焦らすように緩慢な動きで奴のちんこを尻にあてがう。

「なぁ、入れたいの…?」
「っ、調子、のんな…!」
「言わなきゃ入れさせない」

お互い汗だくで息を荒げながらの攻防戦。先に音を上げたのはひふみの方だった。やはり先程の寸止めが効いたのだろう。

「はぁ…っく、入れたい、入れたいから…」
「ふ…いーよ。入れさせてやる」

ゆっくりと腰を落としていく。ごりごりとナカを擦られる感触がたまらない。唇を噛み締めてイってしまいそうになるのを必死にこらえた。

「締め、すぎ…」

そのせいで穴に力がこもっているのか、ひふみは辛そうに眉根を寄せる。これだ、これ。俺が望んでたのはこういう展開。

「もういいだろ…手、ほどけ」
「やぁだね」
「はぁ?いい加減に…ッちょ、待てって」
「んっん、だめ、俺がイかせるんだから、お前は縛られたまんまでいーの…あッ」

薄い腹に手をついて、上下に腰を揺らした。程よく快感を得られるような、だけど決してイかないような、そんな速度で。

「瑞貴っ!焦らすな!早く動けっ」
「ふぁ、ん、だめだって言ってんだろっ、あぁ、んっ!あっんっああっ…!」
「…く…まじで、ムカつくお前…!」
「ああっあっ、う、はぁ…っふ、ひふみが、女にへらへらしてるから、悪いんだ…」
「へらへらなんてしてない…っあ!」
「してたぁ…っ、お、俺には見せないような、顔で、笑ってたし…んくぅっ」

ずるい、と呟く。ひふみがふっと笑みを零した。女の子に向けた笑顔とは違う、優しくない笑み。だけど俺の心臓はそれだけできゅんと切なくなる。

「っとにお前は…救いようのない馬鹿だな…」
「馬鹿じゃ、ねぇ…ッ」
「妬く必要なんてないんだよ…っ、俺は、お前しか見てないんだから」
「なら、好きって言え…あぁっ、言えよぉっ」

俺だけは特別だって、実感させて。ヤキモチなんか妬く隙間もないくらい、お前でいっぱいにして。

泣きそうになりながらひふみを見つめると、その口が「すき」と動いたのが分かって、ぼろりと涙が零れた。

「なに泣いてんの…」
「だって、だって、俺…ひゃあ!」

俺も好き、と言おうとした刹那。視界が一気に反転した。一瞬何が起こったか分からず固まっていると、ひふみがにやりと嫌な顔で笑う。その手には先程縛っていたタオルが握られている。

「縛るときはもうちょっとちゃんと縛った方がいいと思うよ、瑞貴くん」
「…あ、う、うそ…」
「さて…散々好き勝手やってくれた仕返しをしないとなぁ?」

青ざめる俺。逃げようと身を捩るが、簡単に押さえ込まれてしまった。ちゅう、とそのまま軽く口付けられる。

「いい加減分かれよ。どんだけ俺がお前のこと好きか」
「い、言われないと分かんない…」
「じゃあ身体に覚えこませてやる」
「あの、て、手加減して…、あぁぁぁっん!」
「やぁだね。言っとくけど煽ったのお前だから。よくも寸止めとか生意気な真似してくれたな」
「ひ…!やっ、ごめん、うそ、謝るから…!」

…その後散々焦らされ声が出なくなるまで攻められた俺は、ベッドの中でぐすぐすと泣きながら、もう二度とこんなことはしないと誓ったのだった。

end.




名無しさんへ

拗ねた瑞貴がひふみを縛って襲い受け、最後は形勢逆転でお仕置きR18、というリクエストでした。
攻めが受けに焦らされてるの好きです。瑞貴もひふみも互いにヤキモチ妬きだと思います。

リクエストありがとうございました!楽しんでいただければ幸いです!

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