▼ 05
「だ、大体じっくり抱きたいってなんなん…意味わからんし…」
恥ずかしさに耐えながらぼそぼそ呟いた。ひふみが少し首を傾ける。
「んー…なんか、思い出作りみたいな？」
「思い出？」
「お前の部屋で、こうしてセックスするのも最後かもしれない。だから記憶の中にとどめておきたくなった」
なんだそれは、である。
「ひふみって結構ロマンチストだよな」
「少なくとも瑞貴よりは」
「失礼極まりない！」
「はは」
でもまぁ、今回ばかりはこいつの言うことに乗っかってやってもいい。親元を離れ、初めて暮らした部屋。なんだかんだで愛着はある。
「…思い出、作るか」
ぎゅっと目の前の身体を抱きしめ、顔を見ないままそう言った。何故だか泣き出しそうになる。
ひふみはそんな俺の様子を全て見透かしているみたいに、優しく優しく抱きしめ返してくれた。とくんとくんと互いの鼓動が混ざり合う。
「不意打ちで可愛いこと言うな。めちゃくちゃにしたくなるだろーが」
「じっくり抱くんじゃねえのかよ」
「瑞貴はどっちがいい？」
「…そういうこと聞くか普通」
どっちでもいいよ。お前の好きな風にすればいい。俺はそれが一番嬉しい。お前と繋がることができるなら、どんな形でも構わない。
当然口には出さなかったが、きっとこいつは分かってる。
「ん、ん…」
自然に触れ合う唇。深い口付けに酔ってしまいそう。頭の芯が痺れ、一旦治まっていた快感がよみがえってきた。
「ふ、んぁ…っ？」
後頭部をがっちり掴んだまま、ひふみが後ろに倒れる。必然的に俺が覆いかぶさるような体制になった。いつもとは逆。
「ひふみ…？」
「今日は、瑞貴が上」
「は？」
「騎乗位」
言葉の意味を理解するのに数秒かかる。きっ、騎乗位って。無理無理無理無理。
ひふみはにやにやと笑い、ズボンから自身のちんこを取り出した。当然そこは勃起している。
「ほら、乗って。いれて」
「むり！できない！」
「手伝ってやるから」
腰を少し持ち上げられ、先端が穴に触れた。条件反射でヒクつく内壁。
「ちょ、待っ…う、ぁ」
「ひくひくしてる」
「やぁッむりだってぇ…！あ゛っ」
あ、やだ。うそうそうそ…！
意思とは反対に、体重のせいで身体が段々と下がって行く。ぐぷぐぷと熱い楔が打ち込まれ、全身が歓喜に震えた。
「く、うんん…あ、あ…入ってる、入ってる…っ」
「…は、イイな、これ」
「ああっふかいぃ、ふかいよぉ、ひふみ…！」
「気持ちいい、だろ？」
奥までずっぷりと突き刺さる。いつもは届かない部分にまで受け入れた衝撃は半端ではなく、俺はいつの間にか涙を零していた。
「んっん…あ、やぁ…」
「好きに動いていいから」
「無理ぃ、だめ…動けないぃ…」
気持ちよすぎて、どうすればいいのか分からない。これ以上の快感を与えられたら、死んでしまうんじゃないだろうか。
prev / next