▼ 03
「考えてるよ。いろいろ」
「なら、言ってみろ…っ」
ぴくぴくと与えられる刺激に反応しつつ尋ねる。
ひふみは手を止めないまま答えた。
「まず、この間も言ったけど…広めのリビングに、それぞれの個室がいる」
頬に口づけを一つ。
「バストイレは別で、独立洗面台はあったほうがいい」
Tシャツを完全に脱がされる。
「それから、周りに陽の光を遮る建物がない場所」
つうっと脇腹を撫ぜる指。
「キッチンは、洗い場ができるだけ大きい方がいいかも。コンロは二口かな」
そのまま手が段々と下に降りていく。
「あとはまぁ、基本的なことだけど。洗濯機が家の中に置けるとか、ネット回線が使えるとか。エアコンはなくても買えばいいし」
ふ、と優しい笑みを零す。
「でも一番重要なのは、そこにお前がいるってこと」
「…」
「ど?満足した?」
満足した…っていうか。お前が弄るから集中できなかったっていうか。
とにかく、俺の心臓は何故だかドキドキと脈打っていた。
「無言は肯定の証とみなす」
「ま、満足した、っけど、ちょっと待て!」
ズボンに手をかけられ、慌てて制する。
「まだ何か不満?」
「そうじゃなくて…その」
言いたいことが。
「俺…ひふみと一緒に暮らしたら、心臓もたないかも」
朝起きたら隣にお前がいて。同じご飯を食べて、同じものを飲む。例え働く場所は別々でも、帰ってくる家は一つ。夜寝るときまでずっとずっとひふみと繋がっていられる。
そんなの、幸せすぎて、どうしたらいいか分からない。
「…なに馬鹿なこと言ってんだ」
「だって」
「ほんとに瑞貴くんは俺のことが好きだなぁ」
「おっ、お前だって似たようなもんだろ!」
ひふみは俺の言葉を聞いてくすくすと笑い、ズボンを抜き取る。少し腰を浮かせて協力してやった。
下着の上から優しく尻を揉まれ、ひくりと喉が鳴る。
「確かにな」
「あっ」
「俺はいつまで経ってもお前に夢中だよ」
「ばかやろう…」
そんな嬉しいこと、言うんじゃねえ。
「ふ、ぅあ…っ、やっ」
「もう勃ってる」
「んっ、うるさい…いいから触れよぉ」
ふにふにと感触を確かめるような手付き。もどかしさに身を捩った。もっと、もっと刺激が欲しい。直接触って欲しい。
「パンツ脱ぐ?」
「ぬ、脱ぐ…」
そうしないと汚れてしまうから。口には出さない恥ずかしい理由も、きっとこいつにはばれてしまっているだろう。
するりと鮮やかな動作で下着が抜き取られ、俺は生まれたままの姿になった。
「うう…俺ばっかり…」
お前も脱げよ。
「はいはい」
ひふみは何のためらいもなくTシャツを脱ぎ捨てる。相変わらず生白くて不健康そうな肌だ。
「は、あっあ…んっ」
ひふみの指が、すでに勃ち上がっている俺のペニスを捉えた。待ち望んでいた快感に声が漏れる。
繊細な指づかいに翻弄され、暫くすればくちゅくちゅとした水音が聞こえてきた。恥ずかしい。
「濡れ濡れ。パンツ脱いで正解だったかも」
「言うな…っ」
性器の先端から次々と滲み出る透明な液体。とろりとサオを伝い、後ろの蕾にまで垂れていく。
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