▼ 04
身体も心も満ち足りた状態だ。このまま溶けあって、本当に一つになってしまってもいいくらい。むしろそうなればいいのに。
「ンぁっ」
「…そんな声出すなよ」
もう一回したくなるだろ、と尻の穴からちんこを引き抜きながら言う。し、仕方ないじゃんなんか変な感じなんだよ抜くとき…。
「気持ち良かった?」
「う、ん」
「俺も超気持ち良かった。想像よりずっと」
「想像ってなんだよ!」
「何回瑞貴のこと頭の中で犯したと思ってんだ」
「おか…っ!?」
火がついたように赤くなる俺の顔を見て、ふっと笑うひふみ。ちゅうっとまた唇を吸われた。
「ん、んん!?」
ぐちゅ、と今の今まで奴を受け入れていたそこに指が入ってきて、目を見開く。な、な、なんで…っ!?中に出された液体が尻を伝う感覚が気持ち悪い。ぴくりと背中が揺れた。
「ぷは、おま、なにしてんだよ!」
「何って…掻き出さないとお腹壊すだろ」
「じ、自分でやるからいいっ!どけって、あっ、痛えっ!?」
「ははっ」
逃げようとしてベッドの淵に頭をぶつけてしまった。
「馬鹿だなぁ」
「馬鹿って言うな!」
「風呂行くぞ。おら、立て」
「待っ…」
気がつけば汗やら精液やらでべとべとの身体。立ち上がった奴の後に続こうと慌ててベッドから降りようとする。
…が、しかし。
「あ、あれ?」
足に力が入らない。こんな感覚は初めてだ。
「な、なんで立てな…」
「ぶ…っ」
ぷるぷる震える俺に、耐え切れないといった様子で噴き出すひふみ。
「笑うんじゃねぇ!!!」
「だって…くは、だっせぇ」
「誰のせいだと思ってんだよ!!!」
これは絶対にお前のせいだろ!お前が、あんながつがつ突くから…っ!
「本当…かわいい」
「か…」
嬉しくねえ。
「ダイジョーブ。立てるようになるまで、俺がつきっきりで世話してやるから」
「お、おい…っちょ、降ろせ!」
「好きだよ」
「っんな!?」
「中気持ち悪いだろ?ぜーんぶ掻き出してやる」
所謂お姫様抱っこ、と呼ばれる体制で持ち上げられる。ふっ、ふざけんな!俺は女じゃない!必死にもがいて抵抗するものの、奴の顔を見た瞬間何もできなくなってしまった。
…くそ。そんな笑顔むけるんじゃねぇ。
とろけてしまいそうな甘い甘い笑み。その表情や仕草だけで好きだと言われているような気がして、ぐっと押し黙る。…お前、そんなキャラじゃないだろ。
「誰だよ…何キャラだよ…」
「んー」
「…本当に風呂だけだからな。もう何もしねぇからな」
「分かってる」
諦めてされるがままになる俺。落ちないように首にしがみ付く。
でも…まぁいいか、なんて。
「ひふみ」
「なに」
「…もう一回好きって言え」
ひふみが傍にいるのなら、それだけで幸せなのだ。そんな風に思ってるあたり、俺もこいつ同様相当末期なんだろう。
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