シック・ラバー | ナノ


▼ 01

「あぁっ、ひッあああっ」
「瑞貴…んっ」
「ふっ、ふ、んはァんっ、ひふ、ひふみぃっ」
「っ締めすぎだって…食いちぎる気、か、よ…うぁ」
「だっ、てぇン、あ、ひふみのちんこ、ちんこもっとぉ」

ぐぽっぐぽっ。ちゅぷちゅぷ。ひふみが腰を動かすたびに、果実がつぶれたような音が響く。

俺の馬鹿ちんぽはとろとろに溶けてしまっていて、我慢汁なのか精液なのか区別もつかない液体を垂らし続けていた。

「はぁ、ん、ちゅっ、ちゅーしてっ、ひふみっ、ちゅう!」
「この、欲張りが…っ」
「ん、ふ、ちゅ、んぅ」

ゆさゆさ揺さぶられながら唇を貪る。

余裕のないひふみの顔が近くに見えて、きゅんと胸が切なくなった。あ、ひふみ、も、気持ちいいんだ。

「あはぁぁん、イく、イくぅっ」
「ん、くぁ…瑞貴、瑞貴、好きだよ…」
「あ、おれも、おれも好きぃっ、うあぁぁッ」



「…」

チュンチュン。外で雀の鳴く声がする。

外は快晴。春の陽気がたちこめる、何ともすがすがしい朝。

そんな中、俺は絶望に満ちた気持ちで目が覚めた。

…何だ今の夢は。

何がちんこもっとぉ、だよ。ちゅーしてっ、じゃねぇよ。気持ち悪い声出すな夢の中の俺。

普段は夢の内容なんて覚えていないのに、今日に限っては脳裏に焼き付いて離れないその光景。っていうか、なんで俺が突っ込まれてんだよ!ナチュラルにおかしいだろ!ケツの穴はうんこの出口であってちんぽの入口じゃねぇ!

それに…

『瑞貴、好きだよ』

夢の中で囁かれた言葉を反芻した瞬間、ぼふっと全身が熱くなるのが分かった。両手で顔を覆い、枕に頭を打ち付ける。なんだあのえっろい声。そもそもあいつがそんな台詞を言うはずがない。

だってきもいとか死ねとか殺すぞとか。そんな暴言しか吐かれたことないし。俺のこと好きなわけないだろ。

ひふみが俺にキスをしたり、ちんこを弄りまわしたりするのはこう…あれだ。オナニーの延長みたいなもんだろ。俺相手なら今更恥ずかしがることもないし、一人でするより気持ちよくなれちゃうし、みたいな。一石二鳥、ってやつ?

俺もあいつに触られるのは気持ちいいし、まぁ友達同士で興味本位に扱き合いとか許容範囲許容範囲。うん。

…いや、今朝の夢はいくらなんでも酷い。セックスはさすがに洒落にならない。

「死のう…」

どうなってんだ俺の頭は。受験で疲れてついにイカレたか。



「おはよーっす…って、何か顔すげぇ疲れてんね」
「はよ…」
「寝不足?」
「まぁ…夢見が非常によろしくないっていうか…」
「大丈夫か?」

鈴島が隣に座るのを横目に見ながら、溜息を吐く。心配してくれるのはありがたいが、こんなこと誰にも言えない。

幼馴染にちんこ突っ込まれる夢見ちゃったー…うん。ありえんありえん。いくら夢でもドン引きだろ。

もし俺が鈴島の立場だったら、即友達をやめるレベルできもい。

「あんまり無理しないできつかったら休めよ。代返くらいなら遠慮しないで頼んでくれていいし」
「や、ただ悪夢を見ただけだから体調的には問題ないんだよ」
「悪夢かー。たまにあるよな」

俺の言う悪夢とお前の言う悪夢には、多分天と地ほどの差があるけどな。

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