エゴイスティックマスター | ナノ


▼ きりがない

私の名前は伊原恵司。西園寺家にお仕えする執事です。しかし同時に次男である望様の妻でもあります。私は聡明で美しくて優しい望様がだーいすきで…

「ちょっと!変なモノローグをつけないでいただけますか!」
「嘘はついてないだろう」
「私はそんなこと言いません!」

伊原はくりくりとした瞳を吊り上げ怒っている…が、僕にとってはそんな表情も愛してやまない彼の魅力の一つである。

「伊原、ちょっとこっちに来なさい」
「や!です!」
「なんだその言い方は!!!可愛いじゃないか!!!」
「そもそも私は妻じゃありません。男です」
「結婚すると約束した!」
「別にどっちが女側とか男側とか決めなくたって良いでしょう。私にだって男の矜持というものが」

結婚するという言葉は否定しないのか。密かに嬉しくなってその腕を軽く引けば、簡単にもたれてくる身体。

「ひやあ!」

ぎゅっと強く尻を掴んだ。可愛らしい悲鳴が上がる。

「僕のペニスを入れられて気持ちよくなってるんだから、お前が女側だ。妻だ」
「そういう観点から決めるのはずるいです!大体貴方が…」

そこで不自然に言葉が切れた。不思議に思ってじっと彼の顔を見つめると、みるみるうちに紅が広がっていく。

「あ、貴方が…私をこんな身体にしたんじゃありませんか…」
「…」

…あぁもう、この男はどうしてそう煽るような真似を。

伊原。僕の伊原。

征服欲。独占欲。僕がどれだけお前を欲しているか分かるか。

飢えて渇いて仕方がない。出来るならば片時も離れることなく肌を重ね合わせていたい。

「伊原」
「ん、ぁ…やっ」

少し身をかがめてキスをした。恥ずかしさが拭えないのか、逃れようと顔を背ける伊原。だがそんなことは許さない。

「伊原、舌を出しなさい」
「坊ちゃ、っふ、ぁん、んんっ」

命令口調で低く囁けば、素直に赤くて小さな舌を覗かせる。あぁ、可愛い。可愛いったらありゃしない。

互いの唾液をぐちゃぐちゃに混ざり合わせるこの行為が好きだ。僕の唾液が彼の体内に入って、その身体の一部を形成しているのだと思うととても興奮する。

「んぅ、ふあっ、ん、ん」

すりすりと耳を指で擦りながら口付けを深めると、伊原は鼻にかかったような声を出した。薄目を開けて様子を窺えば、瞳が完全に溶けているのが分かる。

「…気持ちいいか」
「はあ、あ、は、はい…」
「伊原。僕の新妻。可愛いぞ」
「新妻では、ありません…」
「強情な!いい加減認めなさい!」
「…坊ちゃんは、私が女である方がいいのですか」
「いや正直どっちでもいい」
「まあ!このスケコマシ!穴が付いていればなんでもいいんですか!」
「うっ、伊原、穴なんてそんな卑猥な言葉を…興奮するじゃないか」
「性に目覚めた中学生じゃないんですから、そんな些細なことでいちいち息を荒げないでくださいよ」
「お前こそ変な勘違いをするのはやめろ」

怪訝な顔をする伊原を抱きしめ、僕は言う。

「性別などどうでもいい。僕はお前がお前ならなんでもいいんだよ」
「坊ちゃん…」
「お前が例え猫になっても、愛せる自信はあるよ。伊原と獣姦はぁはぁ」
「台無し!」

台無しとはなんだ。これ以上無い愛の言葉だろう。もう一度キスをする。

「ちょ…っと、まだ、続けるおつもり、ですか…んっ」
「そうだ。夫が妻を抱くのは当然だろう」

ドサリと彼をベッドに押し倒し、その可愛い顔を見下ろした。きょとんとした表情にまで欲情する。スーツのボタンを外しにかかったところで、伊原はようやく抵抗の意を示した。

「待ってください!あっ!」

無視してシャツの上から乳首を抓る。ぴくん、と大袈裟なほど跳ねる身体。

「ん、あっ、坊ちゃ、あ、ふ…んっんっ」
「なんだ、伊原」
「やぁ、やです、まだこんなに明るいのに、ふぁっ」
「気にするな。ほらシャツを脱いで」

首筋を舐めながら促すと、素直にシャツの袖から腕を抜いた。素直に、というよりは皺になるのが嫌なだけかもしれない。まぁ僕にとってはどっちでもいい。露わになった肌に何度も口付けを落とす。

「相も変わらず綺麗な身体だよ」
「み、見ないでください…ひぁっ、あぁ…!」
「いいじゃないか奥さん」
「奥さんはやめて!」
「何故だい奥さん」
「あっ、ん、駄目です…恥ずかしいから…」
「恥ずかしいと言いながら、ここをこんなにして」
「やっ!やだ!坊ちゃん、だめ!んんっんぁっ!」
「ふふふ…奥さん、いやらしい汁が溢れてますぜ」
「ふぁ、んっ…何のキャラですか!」
「団地妻を襲う見知らぬ男だ。気分が乗るかと思って」
「乗りませんよ!」

むぎゅっと赤い顔の伊原が抱き着いてきた。

「見知らぬ男になんか、抱かれたくありません…私は、望様じゃないと…」

自分の顔がだらしなく緩むのが分かる。全くこの男は平生素直でないくせに、こういうときばかり不意打ちを繰り出してくるものだからたまらない。僕にも心の準備というものは必要なんだぞ。

「伊原。僕の伊原。僕は伊原の何?」
「…お、夫、です…」
「うん。そう。いい子だ」
「んっ」

ちゅうちゅうとその唇に齧りつきながら、再びベッドになだれ込む。スラックスと下着を一気に脱がして屹立する性器に触れると、伊原は一層大きく跳ねた。

「あぁっん、坊ちゃん、そんな…いきなり…」
「坊ちゃんじゃない。夫のことを坊ちゃんなんて呼ぶな」
「う、あ…だ、旦那様…?」
「それは僕の父だろ!こんなときに他の男の名前を呼んで!」
「お、怒らないでください…じゃあ、じゃあ…」

うううう、と唸り声がする。僕に愛撫されながら悩んでいる彼の色香たるや、なんだかもう見ているだけで達しそうである。

「じゃあ…望、さん…」
「!!」
「駄目でしょうか…」

駄目じゃない!駄目じゃないよ!むしろ大正解だ!

「あぁぁっ、あっ…!待って、やぁぁっ!」

ご褒美とばかりに扱く手を激しくする。伊原はシーツを掴み、足を引きつらせて叫んだ。

「あ…ッ、やぁ、だめ、望さん、いっちゃう、いっちゃうから…!」
「はぁ、伊原、可愛いぞ。もっと僕の名前を呼べ」
「望さ、んっ、あぁっあっ…は、うぅっ、望さん、あぁいくっ」

びゅる、と掌へ白濁が放出される。

僕は彼のイキ顔が好きだ。快感に支配されたいやらしく艶めかしい表情。それをじっと余すことなく見つめることで、彼が僕のものだということを実感する。

「伊原。僕の伊原」
「ん、望さん…う、ぁ」
「見ろ。お前のおまんこに僕の指が入っていく」
「やっやだ!おまんこなんかじゃ…あっ見せないで…ぇっ、あぁっ!」
「柔らかいな。それにウネウネしていて、気持ちよさそうだ」
「くふぅぅっ、あぁっあっあっん!は、ぁぁ…っ」

羞恥に耐えかねたのか、伊原は両手で顔を覆い隠してしまった。

「伊原。手を退けろ」
「やっ!あぁっ!ん、やだっあううっ」
「僕の言うことが聞けないなら、もうしない」
「えっ…」

にゅぽん、と指を抜くとあからさまに残念そうな声が上がる。眼前に晒された蕾は赤く色づき、ヒクヒクと物足りなさを訴えかけていた。…我慢だ。我慢するんだ僕。

「のっ、望さん…」
「そんな可愛い声を出しても駄目だからな!手を退けなさい!」
「やぁ…やです…恥ずかしい」
「僕は恥ずかしいお前を見たい。愛でたい。分かるだろ?」
「…」
「伊原!」

決死の呼びかけにより、恐る恐るといった緩慢な動きで手が退けられる。その下に隠れていた顔は、快感による涙でぐしょぐしょに濡れていた。

「も、お願いです…入れて、入れてくださ…」
「どこに?」
「お尻の、中…」
「お尻じゃないだろ」
「…っいじわる」

ぐううっ、可愛いなお前は!!でもちゃんと言わないと入れてやらない!!

伊原はふるふる唇を震わせ、真っ赤な顔で呟く。

「私の…お、お、おっ…おまんこの、中…」
「よし入れてやろう。全くなんて淫乱な奥さんなんだ!」
「もうやだ…誰のせいでこんな…っひゃあぁぁっん!」
「うっ、これは大変だ…締め付けが凄すぎるぞ、すぐに出る」
「あっあっ、ばかぁっ!そぉろー!」
「なんだその舌っ足らずな罵りは!可愛いな!もっと言え!」
「駄目亭主!能無し!タダ飯食らいの五味屑!」
「そっ…そういう精神的にクるのはちょっと…それに僕はきっといい夫になるはずだ!」
「なら、あっ、こんなこと、してないで…っふ、あ、ちゃんと、お勉強してくださ…!」
「してるだろ。保健体育の勉強だ」
「言うと思いました…っあぁ!まっ、ちょ、だめ!みみっだめぇ!」

激しく中を掻き混ぜつつ、かぷりと耳を噛んだ。過ぎた快楽にぐすぐす泣き出す彼にまた興奮し、抉るような突き上げで執拗に攻める。

「はぁ、伊原…ハネムーンはどこに行こうか…?」
「んっんっ、気が早い…っひ、あぁっあう!んっふ、はぁん!」
「うっ、痛っ…いい、あっもう出る」

抗議するように彼の爪が背中を掻きむしった。その痛みが心地よく、ぶるりと腰が痙攣する。

「んぁっあっ!あぁっあっあっ…いく、いっ…ん―――ッ!」
「あぁっ」
「あっ、もう、中に出さないで…!やだぁ…!」
「もう出した」
「うううう…」
「ふふ…僕の子、孕んでくれるんだろ?」
「そんな約束してません!大体物理的に不可能です!」
「不可能じゃない。証明してみせる」
「ちょ、まだ致すおつもりで…やぁん!」
「僕の精液でお前を必ず妊娠させてみせる」

この僕に不可能なことなんてない。泣きながら抵抗する彼の中を、再びぐちゃぐちゃに掻き混ぜる。

「ばかぁっ!無理に決まってるでしょう!もういやぁぁっ!」

その後も延々と交わり合った結果、僕を待っていたのは数時間にも及ぶ伊原の説教であった。

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