3rd May 2016
小ネタ
望「そういえば兄上はどんな方だったんだ?」
伊「そうですね…」
*
伊「兄さん、今度保護者面談があるんですが」
伊兄「あぁ、はい。じゃあ支度しますね」
伊「いや、今度って言いましたよね。今からじゃないです」
伊兄「そうですか。いつです?」
伊「今月の最後の一週間のうち、都合のいい日時に」
伊兄「いつでもいいとお伝えください」
伊「はい」
伊兄「手土産は何が良いですかね。菓子折り?」
伊「いらないです」
伊兄「恵司の担任の先生は、洋菓子派ですか?和菓子派ですか?」
伊「人の話を聞いてください。いりませんから」
伊兄「そうですか…」
*
伊兄「ただいま」
伊「おかえりなさ…ど、どどどうしたんですか!?傷だらけじゃないですか!?」
伊兄「ちょっと近所の子と遊んでいただけですよ」
伊「どんなバイオレンスな遊びを!?」
伊兄「相撲です」
伊「相撲!?相撲でそんなに怪我します!?」
伊兄「最近の子は力が強いですね」
伊「…負けたんですか」
伊兄「今日の夕飯は何ですか?」
伊「負けたんですね」
伊兄「風呂に入ってこようかなぁ」
伊「(認めたくない程悔しいのか)」
*
伊「…みたいな感じです」
望「…そうか。中々面白い方だったのだな」
伊「気を遣ってくださらなくて大丈夫ですよ。我が兄ながら変な人だったと思っていますから」
望「いや、僕は好きだぞ。気が合いそうな予感がする」
伊「そうですね。少し坊ちゃんに似ているかもしれません」
望「それは嬉しいな」
伊「人の話を聞かないところとか、突拍子もない行動をするところとか」
望「…」
伊「人に心配をかけてばかりのところとか、グリンピースが嫌いなところとか、寝起きがよくないところとか…」
望「…分かった。その辺にしておこう。そんなに怒った顔をするな」
伊「すみません。日頃の鬱憤が」
望「というかお前も兄上も敬語で会話するんだな」
伊「そうですね。小さい頃からそうでした。私は多分兄の真似をしただけだと思うんですが」
望「ちょっと今試しにため口で喋ってみろ」
伊「そんな、できません」
望「いいから。僕がお前にいつも話している感じで」
伊「…」
望「…」
伊「…ぼ…っ」
望「ぼ?」
伊「僕は、へ、変態だ…?」
望「待て、何故その台詞を選んだんだ」
伊「いつもおっしゃっているではありませんか」
望「それだと僕が本当の変態みたいじゃないか」
伊「違うんですか?」
望「…違わないな」
違わないです。