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12th Dec 2020

小ネタ

週末はどこにも行かず、二人で過ごしたい。そう誘ったのは小山からだった。

「ほら小山、起きて。まだ終わってないよ」
「う……ぁ……ッ」

後ろから腕を引かれ、飛びそうな意識を強制的に戻される。

「……っぁあ……」

ずるずると中に入ったものが引き抜かれていく感覚に、小山は堪らず声を漏らした。敏感になった身体が反応し、性器からはぼたぼたと先走りが垂れる。

「乗って」

小山は言われた通り、仰向けになった津々見の上に跨る。屹立した津々見のペニスを孔にあてがうと、そこが吸い付くように先端を飲み込もうとするのがわかった。

「ん……っ、ん……っ、ん……ッ」

ゆっくり腰を落としながら、自分の中にそれを挿入していく。太く硬いものが内側を擦る感覚に、小山は涙を零しながら身体を震わせた。

「はぁ……っ、はぁ、津々見さ……」
「……」

津々見の指が小山のペニスに伸びる。

「止まらないね、これ」

透明な液を零し続ける先端を指の腹で触り、ぴたぴたと弾いた。粘り気のあるそれが糸を引き、指と先端を繋ぐ。

「イってるの?ちょっと濁ってる」
「わ、わかんない、ずっと」

ずっと気持ちいい。言おうとしてまた大きな波に飲み込まれる。

「あ゛……っ、ぁあ、……っ、はぁ、あ……ッ!!」

背中を丸め、びくびくと腰を跳ねさせて絶頂する小山に、津々見は少し顔を顰めた。

「……っそんなに締めないで」

気持ちよさそうな声。自分にしか聞くことのできないその声が鼓膜に届いた瞬間、内側が狂ったように収縮し始める。

「イく、またイくぅ……ッ!!」
「駄目」
「や……ッ」

我慢なんてできるはずがない。そう思うのに、小山は今にも届きそうな快楽の頂点から慌てて手を引いた。命令されているみたいだ。

「やっぱり、こっち」

津々見が今度は小山の身体を押し倒す。そしてすぐに容赦なく腰を叩きつけ始めた。

「あ゛ッ、あ……っ、あう……ッ、う…っ 」
「まだ、イったら、駄目だよ」

ぐじゅぐじゅと音がするほど中をかき混ぜられ、目の前が白む。

「ぃやあ……ッ、あっ、あっ、っ、ッあ……!!」
「いや、って言った?今」
「ちが……ッ」

津々見は小山の跳ねる腰を押さえつけ、ひたすらピストンを繰り返した。肌のぶつかる音とともに、ギシギシとベッドの軋む音がする。

「きもち、ぃ、いい、だめ、ッよすぎ、むり、ぃ……っ!!」
「ん……小山のここ、俺のすごい吸ってくるね、わかる?」

抜こうとする度、小山の中はそれを離すまいとくっついてくるので、腰から下が溶けてしまいそうだと津々見は思う。濡れそぼったペニスが出し入れされる様子が一層興奮を煽った。

「ぁは……ッ、は……っ、ぁ、あッ、あ゛、だめ……っ!!」

イく、と呟いた小山の耳元で津々見が囁く。

「だから、イったら駄目なんだって。我慢して」

快楽を享受することを許してくれない、その彼の一言がさらなる快楽を連れてくる。

「ひ……──ッ、むり、……できな……っ、ぁう、ッあぁ……!!」

涙を零して身を捩るものの、津々見の動きは止まらない。

腹に付くほど勃起した小山の性器はびしょ濡れで、先端から涎のように糸を引く液体が滴っていた。

「止まって、止まってぇ……ッお願い……っします、おねが……」
「止まるわけ、ないでしょ」

くちゅんくちゅんと抜き差しを続けながら、津々見は小さく笑う。

「あ゛ぁ……ッ!!あ、ッ、はぁ……!あ、ぅう……〜〜〜〜〜……ッ!!」
「イきそう?突く度出てるよ」
「……っ、まだ、イって、ない……ぃ……」
「我慢してるの?偉いね」

そう言う津々見もあまり余裕はない。奥の柔らかい襞で裏筋を擦られる度、先走りが滲み出しているのがわかった。その証拠に、中を掻き混ぜる音がじゅぷじゅぷとどんどん水っぽくなってきている。

「小山、見て、ちゃんと」

膝の裏に手を入れて押さえつけ、上から突き落とすような動きで攻めると、小山は声もなくシーツを握りしめた。

「……ッ、……っ、……──っ、!!」

必死に射精を堪えているのか、中がこれ以上動くなとばかりに津々見のものに吸い付いてくる。

ちゅうちゅうと強請るようにまとわりついてくる肉襞に、耐えきれず精液が管を上がってくるのを感じた。

「っ、つつみ、さ……、も、俺……ッ」
「だめ」
「むり……っ我慢、できない……ッ、イっちゃ……────ッ!!!」

小山の身体が激しく痙攣する。吐精はしていないが、見たところ確実に中だけでイったはずだ。

「駄目って言ったのに、イっちゃった?」
「ごめ……ッ、なさ、……っ、っあ、ぁ……」

開いた唇から、つと涎が垂れるのが見えた。余程気持ちがいいのか、小山はそれを拭うこともせず、代わりに自らの性器を握りこんだ。

「……っ、だめ、……出る、だめなのに、止まって、ぇ……ッ」

津々見の突き上げに合わせて、先端からこぷこぷと新たな液体が溢れ出している。止まって、というのは津々見の動きではなくこれのことらしい。見たところ精液ではないようだが、尋常じゃない量だ。

「ずっと出てる」
「ちがう、ちがうぅ……ッ、やだぁっ、なんで……っ、出てない、出したいぃ……っ」
「一旦動くのやめようか」
「や……ッ、だ、まだ、もっと」
「でもまたイくでしょ?」

ごちゅ、と奥にはめ込んだまま、ぐりぐりと腰を回す。

「うあ゛ぁ……ッ!あ……っ!あ……ッ!!」

小山は首を仰け反らせて悶え、薄くなった精液を力なく吐き出した。

「イったら駄目って言わなかった?」
「ごめんなさ……いぃ……っ、ぁう、う……う……〜〜〜!!イ……ッ……ぁぁあ……ッ!!」

一突き、また一突き、と深いピストンで攻め立てると、その度に小山は絶頂を迎えた。今まで堪えていた分が一気に押し寄せて来ているようだ。

「ぁう……ッ、きもちいい……っ、いい……ッ、あ゛……ッ、あ゛……っ!!またイく、イ……っくう……!!」

涙をいっぱいに溜めた瞳。そうさせているのが他でもない自分だと思うと、胸の奥が満たされていく。津々見はその目尻に口付け、溢れそうな涙を唇で掬った。

「嘘。ごめんね。たくさんイっていいよ」

やっと許されたその瞬間、握りこまれた小山の性器からごぷりとまた精液が押し出される。

「あ……っ、ぁあ……ッ、あ゛……──!!」
「すごいね、まだ出るの」

とめどなく溢れだしてくる液体が、竿を伝って二人が繋がっている部分をしとどに濡らした。身体中の水分が枯れてしまうのではないか、と津々見はいらぬ心配をした。

「ごめ、なさ……ッ、へん、身体、変になった……」
「変じゃないよ。かわいい」

ほんと、と確かめるように聞き返してくる。小山が可愛いという言葉を素直に受け止められるようになったのは、間違いなく自分がそう言い続けたおかげだと津々見は思う。

「俺も、出すよ」

津々見が腰を動かすスピードをあげて、抜いては差し、抜いては差しを繰り返した。

「う、ぁ゛あ゛あ……〜〜〜〜ッ!!」

奥へ奥へと先端を押し付けてやれば、小山は涎を垂らして喘ぐ。

「っ、出る……」
「だめ……ッ」

引き抜こうとした腰を、小山の脚が阻んだ。収縮する穴の縁がカリを引っかけてくる。おまけにそこを締め付けて刺激してくるので、津々見は堪らず腰を痙攣させながら射精した。

「……っ、……」

びゅく、びゅく、と精液が飛び出していくのがわかる。射精しながらもう一度深く奥に突き入れると、小山はそれでまた絶頂を迎えたらしく、中がうねるように蠢いた。

「は……っ、はぁ……ッ、げほ……っ」
「大丈夫?いっぱいイけたね」

荒い呼吸のまま震えている小山が、津々見の腕を掴む。

「……っ、死ぬかと、思った……」

その言葉に津々見は少し笑ってから、顔を寄せて口付けた。

小山は唇による柔らかな愛撫を受けながら、再び快楽を享受しようとしてしまいそうな身体を必死に宥める。

「……抜くよ」

隙間から溢れてくる白濁。ごぷ、と空気の抜けるような音に、小山の白い頬が赤く染まった。

「音、嫌だ……」
「俺が沢山出したから。ごめんね」
「いえ……」

小山は少し迷うような素振りを見せた後、意を決して津々見に腕を伸ばす。

──沢山、嬉しい。

消え入りそうな声で呟かれた一言に、津々見は微笑んだ。

「小山が喜んでくれて、俺も嬉しい」

愛されることを拒んだ人間が、今はこんなにも、愛されることに慣れている。

それもこれも全て、自分でなければ成しえなかったことだ。

「……」
「眠い?」
「少し」
「いいよ。寝て」

泣きすぎたのか腫れぼったくなっている瞼に口付けてやると、小山は許しを得たとばかりにうとうとと微睡み始める。

「……さ、どうするかなこれ」

目の前に広がるのは、すっかり夢中になってぐちゃぐちゃに荒れたベッドとその周りだった。さすがにこれを放置して一緒に眠る勇気はない。

まずはこのベタついたお互いの身体を何とかしなければ。

浴室に向かおうと立ち上がると、ぴりりとした痛みが背中と二の腕に走る。

「……」

小山がつけた傷だろう。随分無茶をした自覚はあるし、最中に爪を立てられた記憶もある。

この傷が痛む度、滲みる度、今日のことを思い出す。そしてこれから先も、こうして何度も傷をつけられていくのだろう。

「……痛いな」

それを幸せだと言わずしてなんと言うのか、津々見は知らない。
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