小ネタ | ナノ

ADD



21st Jul 2019

小ネタ

日曜日の朝。少し早く目が覚めたので、キッチンでコーヒーをいれてから部屋に戻る。

と、兄さんがベッドの中で号泣していた。

「兄さん」

大方夢見が悪かったのだろう。おまけに最悪な気分で目覚めたときに俺が隣にいないとくれば、そりゃ泣くのも当然だ。

「兄さん、ごめんね」

手に持っていたマグカップを机に置き、慌てて駆け寄る。

布団をめくると、静かに涙を零す兄さんの瞳と視線が合った。

息が止まるほど綺麗で、無垢で、純粋な目。俺を見て、さらに涙の量が増す。

「怖い夢?」
「……」

違うらしい。

「俺がいなかったから?」
「……」

これも、違うらしい。

「き、きのう」
「昨日?」

しゃくりあげながら懸命に話そうとする彼の姿が、悪いとは思いつつ可愛くてしかたない。もっと見ていたい、とさえ思う。

「したかった、のに、してくれなかった」
「……」
「なんで……?」
「……したかったって、セックスのこと?」
「ん……っ」

してくれなかったもなにも、俺が昨晩歯磨きを終えて部屋に戻った頃には、兄さんはすやすやと寝息を立てていたはずだ。いくら俺でも、わざわざ眠りに就いている彼を起こしてまで抱いたりはしない。

けど、兄さんにとってはそんなことは関係がない。俺が「してくれなかった」こと。それだけが事実なのだ。

「ごめんね」

濡れた頬にキスをすると、自分から唇を寄せてきた。誘われるがままに口付ける。

「ん……っ、んんっ、ん……」

舌で唇をノックすると、すぐにそれが開いて中に招き入れてくれた。

「はぁ……っん、ん、んん」

くち、くち、と舌の絡む音がする。兄さんの口の中は熱くて、期待されているのだということがありありと伺えた。

「たかゆき……っもっと」
「うん」

もう一度布団の中に潜って、華奢な身体ごときつく抱き締める。密着したおかげで互いの下半身が硬く熱を帯びているのがわかった。

「ん、ふ……ッ、……っ」

パンツの中に手を差し入れ、濡れ始めた性器に指で触れる。塞いだ唇からはひっきりなしにか細い喘ぎ声が漏れた。

「ぬるぬるしてきたね」
「……っ」
「入るかな」

ひたひたに濡れた指を後ろに這わせ、つぷりと中に先端を押し込む。腕の中の身体がびくっと一度大きく跳ねた。

「はぁ……っはぁ、あっ、中……っ」
「そう。入れちゃだめ?」
「や、して、して……ッ、奥して……」
「奥?」

ずぶずぶと滑らかに入っていく。押し込めば押し込むほど、そこは上手に俺の指を咥えこんでくれた。

「ん……っ、……っ、隆幸ぃ……」
「かわいい、兄さん…」
「あう……ッ」

少し引き抜いて、また強く押し込む。手のひらと尻臀のぶつかる音と、兄さんの甘ったるい声が興奮を煽る。

「あ……ッ、ぁあ……!!」
「しー」
「ご、ごめ……っ、なさ……ッ」

ぱちゅっぱちゅっと小刻みに指を叩きつけると、兄さんはもう喋ることすらままならないのか、歯を食いしばってしがみついてきた。

「……ッ、……っん、……っ!……ッぁあ……」
「気持ちいい?ここ好きでしょ?」
「たかゆき、たかゆきぃ……ッ、きもちいよぉ……っ」
「もうイく?」
「イく……ッ」
「お尻だけで、前触ってないのにイくの?エッチだね」
「え、っちなの、いやか……っ、?」
「まさか」

すっかり昂ってしまった下半身をぐりぐりと押し付ける。

「ひぁん……ッ」
「嫌だったらこんなにならない」
「や……っ」

泣きっぱなしで赤くなった目から、また涙が零れ落ちた。

「いや?何がいや?」
「指じゃない……っ、これがいい……ッ、これ入れて……!!」
「ん」
「はやく、も、がまんできな……っ」

脚を絡ませて強請ってくるのを宥め、ぐいと太股を開かせる。

「んんんん…………ッ!!」

ゆっくり挿入したつもりだったが、我慢できないというのは本当だったらしい。

「ん……ッ、ん……っ、っあぁ……ぁ…ッ、あ……っ、……っ!!」

奥まで入り切ってしまう前に絶頂を迎えたようだった。ビクビクと腰が浮き上がり、性器からは精液が噴き出している。

「あ゛……〜〜〜〜…ッ、ぁ、あ……っ」
「はぁ……っすごいね、兄さん、いっぱいイってる……?」
「イ……ってる、から、隆幸……っ!!」
「ん……?」
「そのままぐちゃぐちゃってして、早く……っ」

興奮のあまり息がつまりそうになった。

「……わかった」

エロい。エロすぎる。

「んふ……ッ、ん、んぁっ、ぁあ…ッ」

音が聞こえてしまうといけないので、そんなに激しい動きはできない。その代わり、たくさん気持ちよくなってもらうために小刻みに奥を叩く。

「ん……っ、ん……っ、んん……っ、はぁ……っ」

兄さんは顔を真っ赤にして喘ぎ、何度も背を仰け反らせた。細い身体がびくびくと波打つ。

「たか……ッ、ゆきぃ……っ、だめぇぇ……っ!!」

浮き上がる腰を押さえつけて腰をつき入れると、一層甘えた声が漏れ出る。

「だめ?」
「だめ……っ、声、出ちゃ……ッ」
「我慢は?」
「できないぃ……っ」
「うーん……でも俺、こんな気持ちよくて、かわいくて、やめてあげられないんだけど」
「おれも、やめたく、ないっ」

はぁ、はぁ、と荒い呼吸をしながら、兄さんは俺の背中をかき抱いた。少し伸びた爪が皮膚に食い込む感触がして、その痛みにぞくぞくした快感が全身を走る。

「幸広、ゆきひろ……っ、もっと、爪」
「やぁ……ッ、そんな、痛、い、から」
「いい、痛くていい、もっと」

爪の先がさらに肌に突き立てられ、たまらず声が漏れた。

「あ゛……ッ、あっ、あうっ、はぁ……っ、激し……ッ、隆幸、ぁあ゛……ッ!!」
「……ッ、はぁ、はぁ……っ」

一番奥、内側の壁に先端をごちゅごちゅとぶつける。涙を零して必死にそれを受け止めようとする兄さんに、愛しさが溢れて止まらなくなりそうだ。

「兄さん、ごめ……っ、もう出る……っ」
「あ゛…………ッ、ぁああ……っ!!」

ずる、と一気に引き抜いた瞬間、先端から白濁が零れ落ちた。

「……ッ、……ん……っ、ん……っ、んん……っ!!」

抜いたときの刺激で達したのか、陸に上がった魚のようにびくびく跳ねる兄さんの身体。その上に俺の精液が滴り落ち、白い肌を濡らす。

「ぁ……っ、あ……っは、ひ、うう……ッ」

腹の上に落ちたその精液ごと塗りこめるように、兄さんは自分の性器を緩く握った。

「……兄さん、なに、してるの」
「ん……ッ、ぁ、はぁ……っぜんぶ、出すぅ……っ」

くちくちという粘着音とともに上下する白い手。僅かに残った精液が先端から溢れてくるのが見える。

「今俺とセックスしたばっかりなのに、オナニーするの?」
「ちが……っ、オナニーじゃ、な……ッ」

否定してはいるものの手は止まらない。

「でも、気持ちいいんでしょ?兄さんの、ずっと出てるよ」
「んっ……きもちい、っ、きもち……っ」

目の前で痴態を見せられて、また下半身に熱が集まるのを感じた。

「……兄さん」
「やぁ……っ!!」
「兄さん」
「だめ……ッ、耳、やめ……っ」

ふう、と耳元で息を吹きかけるように囁くと、兄さんの身体が一際大きく震えた。

「兄さん」
「……隆幸……んむ」

啄むようなキス。柔らかな唇に夢中になって吸い付く。もっと。もっと。何時間こうしてたって飽きることは無い。

「たかゆき……」
「……ん」

兄さんの指が、今度は俺のペニスを這う。

「ぁ……ッく」

先端から滲む液を掬うようになぞられて、腰がビクついた。

「兄さん……お願い」
「……うん」
「入れたい。入れていい?」

こくん、と頷いた兄さんの頭にキスをする。前髪が汗で額に張り付いていて、そこがまたかわいい。

「ね、さっきのもう一回やって」
「さっきのって、なんだ」
「オナニーして」
「し、しない」
「なんで?さっき見せてくれたのに」
「もう終わり」
「えぇ……」
「しない!」

それから、ご機嫌とりのように彼の好きなところをたくさん攻めてあげたものの、結局もう一度彼の痴態を見ることは叶わなかった。残念。

あと、コーヒーは冷めていた。まぁでもこれは別に残念じゃないけど。
BACK


PREVNEXT
TOP