忠「こら、何見てんの」ひょいっ
環「あ」
忠「バイト雑誌?駄目駄目。タマはそんなことしなくていい」
環「でも、生活費とか」
忠「俺が養うって言っただろ」
環「学費もかかるし…」
忠「心配しなくても大学まできっちり出してやる」
環「えっ、違う。高校のだよ。俺大学行くつもりないし」
忠「駄目。行きなさい」
環「…」
忠「お金のことは気にするな。浪人したっていい。俺はタマにちゃんと楽しい学生時代ってものを経験してほしいんだよ。いろんな人と出会って、いろんな世界を知ってほしい」
環「…でも」
忠「でもじゃない。それが俺の楽しみなの」
環「俺、忠太に何も返せない…」
忠「嫁になりなさい」
環「え?」
忠「俺の奥さんになってくれたらそれでいい」
環「お、奥さん…?」
忠「タマを大事に大事に愛して、手をかけて、俺好みの奥さんに育て上げる…それが俺の夢なんだ。だからその夢を叶えられることが俺は一番嬉しい」
環「(忠太ってときどき発想が変態親父くさいよなぁ)」
*
忠「(トイレ行きたい)」むく
環「zzz…」
忠「ふー…ん?」
環「…?」さわさわ
忠「(手が俺の寝てた場所を探ってる…)」
環「…んん…」ぱち
忠「(あ、起きた)」
環「忠太…?」
忠「はいはい。ごめんな一人にして」もそもそ
環「忠太」
忠「はい。ここにいるよ」
環「ん…」むぎゅ
忠「(はぁ…可愛い…幸せ…)」
*
忠「疲れた」
環「まだ始めて1時間も経ってないだろ」
忠「もう書きたくない。書けない。今日は終わり」
環「もー…また怒られても知らないからな」
忠「タマが俺を甘やかしてくれたらやる気が出るかも」
環「えー」
忠「…」じっ
環「…わかったよ。ん、どうぞ」
忠「よしきた」さっ
環「男にひざまくらされて嬉しいのか…」
忠「タマにされるのが嬉しい」
環「…耳かきとかしてあげようか?」
忠「ぜひ」
環「じゃあ綿棒とってくるからどいて」
忠「えぇ…やだ…」
環「なんなの」
*
環「ただいまー」
忠「おかえり」
環「あれ?今日スーツの日?」
忠「ちょっと仕事で出かけたから。俺も今帰ってきたところ」
環「…」
忠「タマ?」
環「忠太、俺を迎えに来てくれたときもスーツ着てた」
忠「大事な人を迎えに行くからって気合い入れたんだよ」
環「…ありがとう」
忠「いいえ。似合う?」
環「うん」
忠「かっこいい?スーツ好き?」
環「かっこいい。好き」
忠「やった」むぎゅ
環「忠太はちゃんとすればかっこいいよ」
忠「ちゃんとすればって」
環「いつもは割とだらしないし。髭とか」
忠「だらしない俺は駄目でしょうか」
環「全然。俺は忠太だったらなんでもいいから」
忠「俺もタマだったらどんなに太っててもどんなにハゲてても愛せるよ」
環「いやその心配は忠太のが先。俺まだ現役高校生だし」
忠「高校生か…いけないことしてる感が増して興奮する響きだな」
環「今そういう話じゃなかっただろ」
*
完全な偏見だと思うけど、個人的に小説家って変態度高そうなイメージです。