【01】



「ハァッ…ハァッ…」


胸が苦しくて呼吸が上手くできない。履いている靴のヒールが高くて早く走れない。こんなはずじゃなかった…こんなはずじゃ…。
女の子なら一度くらいはドラマティックな人生を想像してみたり望んでみたりすることあったりしない?だけどこれは私が望んでいたドラマティックな展開とは違う。全っ然違うそういうことじゃない。

ウェディングドレスを捲くし上げて全力疾走で結婚式会場から逃げ出そうとしているドラマティックな展開は一度だって望んだことはない。


「名前ちゃんこっちよ!早く乗って!」


やっと式場の出入り口まで来ると通りでタクシーを呼び止めて手を振っている蜜璃ちゃんが見えた。言葉も交わさずにそのままタクシーに乗り込めば続いて蜜璃ちゃんも乗る。


「ハァハァ…ハァ…ありがとうっ蜜璃ちゃん…」

「大丈夫よ!名前ちゃんは私が守ってみせるわ!とりあえず安心な場所へ連れて行くからね!」

「〜〜〜ううありがとうっ」


涙を流せば私の汗ばんだ手をギュッと強くて握ってもう片方の手で優しく背中をさすってくれた。結婚式会場に残してしまったお父さんお母さん、友人たちには迷惑をかけてしまった。色んな考えが巡り涙が止まらない。



私は今日自分の結婚式から逃げ出しました。


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