【13】



「ねー村田ぁー不死川さんって彼女いるのかなー。」

「そんなの俺が知るわけないだろう、俺は別にここの人達とは特別親しいわけじゃないし…不死川さんなんてめちゃめちゃ怖いし…」

「親しくないのに勝手に怖いとか決めつけるな村田のバカ!不死川さんは家族思いの優しい人なんだから!」

「いて!どつくなよ!そんなの知るか!ってか苗字俺の扱い他の人達に比べて酷くないか!?」

「何か村田は腐れ縁の同級生感が否めない。あのハイスペックヒューマン達とは違って私と同じ地で生きてる感が安心する。」

「あーそうですか!どうせ俺は冴えない貧乏な大学生ですよ!!」


そうだそうだ村田は確か上京してきた大学生だったね。バイトしながら大学通ってるんだった。私と村田はリビングでお菓子をたくさん広げてダラダラとしながら映画を観ていた。平日だからみんなは仕事等に出ていて居なかった。いつもいる天元も今日は居ない。授業のない平日に私たちはたまにこうやって一緒にダラけたりする。もちろん私はやるべき仕事はきちんとしてからダラけているのでそこは誤解しないでほしい。
ここの住人は私のスイートエンジェルことキューティビューティ蜜璃ちゃんや、その他のグッドルッキングガイの方々。とてもハイレベルな人たちばかりだ。それに比べて私は平凡そのものだ。だからこそ村田には親近感が湧き親しみを込めてこうして接している。一応言っておくけどこれは決して悪口ではない。


「っていうかお前不死川さんのことまさか好きなのか…?」

「やっそんなっすすす好き、ちちち違くてっ、好きとかじゃなくて!!」

「お前可哀想なぐらいわかりやすいな…。俺はてっきり宇髄さんと良い感じなのかと思ってたぞ?」

「え!?天元!?ないない!2人とも家によく居るから仲良くなっただけだよ!あんな女の敵みたいな人彼氏だったらやだ!今日だって珍しく出かけると思ったらデートのはしごだって!それに不死川さんのことは好きとかじゃなくて、何となく気になるぐらいだよ…」

「へぇー…よくわかんないけどまぁ頑張れ。」

「めっちゃ投げやりじゃん。村田も大学生なんだから彼女ぐらい作りなよ。」

「俺だって彼女欲しいよ!!モテないんだよ俺!!!」

「うん、モテなそう。」

「うるせぇ!!!」




ーーーーーーーーーーーーーーー





晩ご飯を作り終えてたところでリビングのドアが開く。目を向ければそこには不死川さんが居た。おはぎをお披露目損ねてからあんまりまともに顔を合わせてなかった。何となく勝手に気まずくなって帰りの遅い不死川さんに会わないように早めに部屋に戻ったりしていた。


「しっ不死川さん!おかえりなさい!帰り早いですね!」

「おう…金曜日だし土日は休みだから久々にゆっくりしようと思って早く切り上げた。最近忙しすぎたからちっと疲れちまった…。」

「今週もお疲れさまでした!ご飯食べます?今日はインドカレー2種類作りました!」

「なんだそれうまそォだなァ…着替えてくる。」

「…はい!」


気になるだけと言っていたのは自分なのに久々に彼の顔を見てウキウキしてしまった。今夜は村田はバイトだし、他のみんなもそれぞれ実家に帰ったり遅くなると言っていたので次の日まで持ち越せるカレーを作った。今シェアハウスには私と不死川さんの2人だけだ。2人分のカレーとナンを用意してテーブルに並べ終わった頃不死川さんが戻ってきた。向かい合って座り一緒にカレーを食べ始める。


「あんまりインドカレーって食ったことないけどうまいなァ。緑の方は何だァ?」

「ほうれん草のカレーです!」

「先週末実家に泊まってたんだが、俺ん家はもっぱらりんごと蜂蜜のカレーだったよ。甘いやつ。俺はそのカレーが好きだがこういうカレーもたまにはいいなァ。」

「先週実家に泊まってんですね…!」

「それがどうしたァ?」

「いえ!何にも!あっナンのおかわりありますよ!」


そうかそうか、先週不死川さんは実家に泊まってたんだ。彼女のお家にお泊まりしてたわけではないんだ。それを聞いて私はここ1週間程抱えてたモヤモヤを晴らすことができた。ここで浮かれてきた私は思い切って不死川さんに彼女がいるのか聞いてみようとする。


「名前を見てるとなんとなく妹を思い出すんだ。宇髄にからかわれて怒ってるのに笑ってたり、何事にも頑張って取り組むところとか。それで先週妹達に会いたくなって帰っちまった。」

「………」


開きかけた私の口はしっかり閉じることにした。ついでに開きかけた恋の扉もガッチリと閉めた。意識されてないとかはなんとなく覚悟があったけど、まさかの妹ポジションで終了してしまった…。

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