【08】



元彼に見つかることなく無事にシェアハウスに帰って来た私と宇髄さん。リビングから自室に戻る途中の不死川さんに出会して、彼も荷物を部屋まで運ぶのを手伝ってくれた。2人ともとっても力持ちのおかげで一回で荷物を運び切ってしまった。


「すみません不死川さん、ありがとうございました!」

「別に大丈夫だァ。また何かあれば言えよ。」

「はいありがとうございます!」


自室に入る所を廊下で見送って私も自分の部屋へ戻る。宇髄さんが荷物を邪魔にならないところに並べてくれていた。


「もう大丈夫ですよ宇髄さん、後は自分で片付けられます。突然ここにやって来て初対面なのにこんなに助けて貰っちゃって、本当にごめんなさい。」

「お前さ、それやめろ。」

「それ?すみません私の顔の偏差値なんて元々こんなもんで…」

「そうじゃねぇよ、ごめんなさいごめんなさいってずっと謝ってばかりじゃねぇか。これからここでみんなと生活していくんだからそんなんじゃ疲れるぞ?変に気遣うのもそれから敬語もやめろって。それにこういうときはありがとうだろ?」

「…あ、ありがとう?」

「いいってことよ、俺は神だからな助けてやって当然だ。」

「神……?」

「あー悪い悪いおいやめろ、睨むな悪かったって。」


宇髄さんが地雷ワードをまた言うもんだから思わずけわしい顔で睨んでしまった、いけないいけない。


「新しい生活にもここの連中にも徐々に慣れていくといいな。」

「うんそうだね。ありがとう宇髄さん。」

「天元様って呼んでもいいんだぜ名前?」

「あーはいはい天元。今日は本当にありがとうね!また明日にでも!おやすみー!」

「お前気遣わないとそんな雑な扱いしてくるわけ!?」


やんやん言う天元の背中を押しておやすみーと部屋から追い出す。彼には本当に助けられたなぁ。一人になって大きく深呼吸すれば肩の力が抜けて疲労がどっと押し寄せる。備え付けの掛け布団も何もないベッドに倒れ込めば瞼が重くなっていく。私の新しい人生はここで始まるんだ。そう思いながら意識を飛ばした。

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