【05.SHOT】



「みんな今日はありがとうねぇ〜私はまだ呑み足りないから遊びに行ってくる〜!」

「ダメだってアンタ珍しく悪酔いしてるじゃない!アタシが送っていく!」


謝花さんがそう言うと彼女を送っていくつもりだったらしい同僚ががっくししていた。ここは俺が一肌脱ごうじゃないか!!


「よし!俺が名前さんを送っていこう!」

「えーでもアンタもまぁまぁ酔ってるじゃない!」

「大丈夫だ帰るぐらいはできる!」


謝花さんはかなり疑う目で俺を見てきたが渋々納得してその場で解散となった。さてと、と彼女を見るとすぐ近くにある立ち飲みバーへフラフラと入っていくところだった。慌てて追いかけると彼女はもうドリンクを頼んでいた。


「れんこんさんは何飲む?」

「俺は煉獄だ!!同じ物を頼む!」


運ばれてきたセロリの差さるブラッディーマリーを見て驚いた。彼女はあの場で誰よりも強い酒をたくさん飲んでいたのにまだまだ強い酒が呑めるのか。確かに既にかなり酔っているが、あの量にしてはまともな状態だと思った。


「ブラッディマリーってね血まみれの女の人の名前なんだよ、確かどこかの女王様。はいっ女王様にカンパーイ!」

「よもやよもや…」


あまり聞きたくないことを聞いてしまった。赤いブラッディマリーと血を連想させてしまったがグラスに口を付ける。流し込むと喉が熱くなった。


「ところでなんでレンチンさんは付いてきたの?」

「煉獄だ!俺はレンジで温められん!君を送り届けることを謝花さんに託されたからだ!」

「え、梅ちゃん帰ったの?ひどい!私を置いていくなんて!こんな夜に一人にするなんて!」


芝居じみたように言えば残っていた酒を全て飲み切りセロリを一口齧った彼女の唇は少し赤くなっていた。先程まで血と連想し少し嫌に思った筈の赤が今はやけに色っぽく見える。見惚れているとその口からマティーニが頼まれた。


「そんなに呑んでしまっては倒れてしまうぞ!程々にしておいた方が」

「大丈夫大丈夫、確かに今日はちょっと嫌なことがあったし、私ってばなぁんか牢獄さんに苦手意識持っちゃって気を紛らわす様に呑みまくったけど、私はお酒を愛しているしお酒も私を愛しているから。」

「煉獄だ!俺は刑務所ではない!苦手なんて言わずに杏寿郎と呼んでくれ!ドヤ顔で言っていても飲み過ぎは良くない、次のを飲んだら送っていく!」

「じゃあさ杏寿郎?私より多くショットを飲めたらちゃんとお家に帰ってベッドでいい子に寝るって約束する。どう?」


眉を釣り上げ挑発的に微笑む彼女。そんな表情でも綺麗だななんて、酔いが強く回り始めた頭で思う。勝負事を仕掛けられると熱くなってしまう性分もあり、俺は彼女の挑発に乗ってしまった。
俺の返事を聞いた彼女はニヤリと笑うと手元に来たばかりのマティーニをきれいに飲み干し、バーテンにショットを頼む。



〔SHOT/ショット〕


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