【02.T.G.I.F】



「飲み会ー?あんまり乗り気しないなぁ今週疲れたしー」

「女子が1人来れなくなったから人数合わせなきゃなんだもん、アタシたち美女2人が並べばお持ち帰りできない男はいないじゃん!」

「あはは、それ逆逆!」


金曜日の仕事のお昼休み中。誰もいない給湯室で私は親友の梅ちゃんから電話越しにお願いだから飲み会に来てと強く言われている。


「けど今週さぁお局上司からハードに使われてほんとに疲れてるんだよねぇ、男お持ち帰りする元気ないかも。」

「んっんん。」

「!?」


誰かの咳払いにビクッと肩を震わせて振り向けばなんとご本人登場。お局上司が険しい顔で立っていた。ごめん梅ちゃんもう切るねっと梅ちゃんの受け答えを聞く前に通話終了ボタンを押す。


「あ、お、お疲れさまでぇす!」


汗を掻きながらぎこちない笑顔をお局上司に向ける。絶対聞かれてたよねこれ…。


「お疲れさまです苗字さん、そこにある電子レンジを使いたいんだけどいいかしら?」

「も、もちろんでございますぅ!」


ササっと逃げようと思ったところで「苗字さん」と強めに名前を呼ばれ足を止めてしまった。


「貴女がプライベートで何をしていようと関係ないけれど、社内を乱すような行動は謹んで頂けますか?はしたないですよ。」

「はっはしたっなっ!」


衝撃的な言葉に思わずあんぐり口を開けてしまった。お局上司は言うだけ言うと涼しい顔でレンジを使い始めた。私は開いた口を閉じられないまま給湯室を後にする。
別に社内の男にちょっかいを出しているわけじゃないし、プライベートと仕事はきちんと分けているから自分の遊びの都合で遅刻するとか欠勤するとかも今までない。なのになぜたかが上司にそこまで言われないといけないんだろ。はしたないなんて誰にも言われたことない!腹立つーーーー!このお局上司は入社時から私のことが嫌いで何かとぐちぐちと言ってくることがよくあった。だからって勝手に立ち聞きしたプライベートの電話に文句言ってこないでよね!けどまぁ確かにワンナイト自体は褒められた遊び方じゃないけど…。


気持ちを落ち着かせて仕事しなければと深呼吸してからデスクに戻る。そしてこの後いつもより当たりの強い上司にこれでもかと仕事を押し付けられて帰りが遅くなった。ち、ちくしょー!このモヤモヤを抱えて金曜の夜を迎えてなるものか…!
飲み会には行けないと返信していた梅ちゃんへやっぱり行くとメッセージを送り急いで帰宅する。軽くシャワーを浴びてから仕事用のメイクを濃いめに直して髪も緩く巻く。オフィスカジュアルの服を脱げばクローゼットからミディアム丈で胸元がV字のオフホワイトのシャツワンピースを出して着ればウェスト部分に細いベルトを巻く。小さめのバッグを持ち最近買ったばかりのお気に入りのオープントゥのヒールを履けば既に始まって1時間以上は経つ飲み会へ向かう。

待ってろフライデーナイト。みっともなくても楽しんだもの勝ちなんだからね。



〔T.G.I.F/神様ありがとう金曜日だ!〕


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