【35.Can we stay in this dream like we are 17?】


「………杏寿郎?」


目が覚めて掠れた声で隣に居ると思っていた人の名前を呼ぶ。腕を伸ばして布団の中を弄っても杏寿郎は居なかった。身体の気怠さを強く感じたけどなんとか起き上がると、何も身に纏っていない身体から布団がするりと落ちる。ベッドから降りてクローゼットを開けて勝手にTシャツを拝借すればそれを下着も付けないまま着る。元々体格の良い杏寿郎のオーバーTシャツを着てみたらミニのワンピースみたくなって少し笑った。寝室を出てリビングに行ってもこのTシャツの持ち主は居なかった。
どこに行っちゃったんだろう…。冷蔵庫からミネラルウォーターのボトルを取り出し少し痛む腰を庇うようにゆっくりソファに座る。水を少し飲んで一息つく。昨日の夜床に放り出したバッグと脱ぎ捨てた服が畳まれてソファの端っこに丁寧に置かれていて杏寿郎の性格が出ていて口の端が緩む。それにしてもその本人はどこに行ったのかな…。バッグから携帯を取り出して時間を見たらお昼を過ぎていて驚いたけど、寝ついたのもすっかり朝だったかなって思い返す。杏寿郎に電話でもしてみようかと思ったら彼の携帯電話はテーブルの上に置かれていた。携帯を置いていくぐらいだからすぐに帰って来るかなと思って私も携帯をテーブルに置いた。そうしたときにちょうど玄関のドアが開く音がした。リビングのドアを開けて入ってきた彼に飛びつくと驚いた声を上げられた。


「むう!起きたのか!おはよう!」

「おはようって言うかこんにちはって時間だよね、それよりどこ行ってたの?汗びっしょりだね。」


私をしっかり抱きとめてくれる杏寿郎。身体をくっ付けたら彼のウェアがしっとりとしているのが伝わる。額にも汗を掻いていて汗の匂いもする。


「走ってきた!週末はなるべく走るようにしているんだ。汗臭いぞ?」


スンスンと胸元に鼻を寄せ匂いを嗅いでいたら杏寿郎が肩を押してきて慌てて引き離そうとする。


「けど昨日の夜の方が汗臭かったよね?」

「っ…君は本当に…」


顔を赤くし参ったみたいな顔するから思わず笑っちゃった。背伸びしてちゅっと軽くキスをすると首後ろに大きな手を添える様に回されて杏寿郎からもキスされる。啄むようにキスを繰り返していると彼の手が腰に下がって来る。


「ねぇ知ってる?」

「なんだ…?」

「私今ノーブラでノーパンなんだ。」


眉を上げてから腰にあった手をお尻に滑らせ確かめるように数回撫でる杏寿郎。うんうんと頷きながら「確かにそうだな」と言う。


「一緒にシャワーする?」

「シャワーだけか?」

「シャワーだけ。」


強くそう言い洗面所に先に行けばすぐに追いついて来た杏寿郎に唯一着ていたTシャツを脱がされて彼自身もあっという間に服を全部脱ぎお風呂場へ押し込まれて乱暴に唇を重ねられる。


「んんっ、シャワーだけでしょ?」

「ああシャワーだけだ、シャワーだけ…」


言いながらシャワーのレバーを回しお湯を出してから身体を撫で回してくる杏寿郎を熱っぽく見つめながらまた重ねられる唇が近づいて来て目を閉じた。



ーーーーーーーーーーーーーーー



「昨日から何回シた…?」

「帰ってきてすぐ、それで2回目、それから風呂に入って風呂場と出てから…」

「やっと寝て起きて今さっきお風呂で……」

「………」

「………」

「やだ、私たちセックスに狂ってる。」

「ハハッ!そうだな!」


二人して顔を見合わせれば声を出して笑う。身体は怠いしお腹も減ってるのにそんなのは後回しにして、セックスを覚えたての10代みたくがっついて求め合ってしまった。


「名前肩が冷えてきたな、服を着ようか。」

「着たら今日はもう脱がせないでね?」

「うーむ、約束はできないなぁ!」


シャワーから出たあとは身体の火照りが抜けなくてバスタオルを身体に巻き付けたままでいて、杏寿郎も腰にタオルを巻いているだけだった。その格好でソファで杏寿郎に膝枕をしてもらって話をしていたら身体が冷えてきたみたい。着替えを持ってきていない私は再び彼のTシャツを借りた。
人のことは言えないけど、杏寿郎の性欲には驚いた。この前梅ちゃんがふざけて絶倫とか言っていたけどまさか本当だったなんて…。昨日の夜帰ってきてから外が少し明るくなるまで何回も何回もシて、私がもう限界が来てしまって起きてられないって言わなかったらあの後もまだ続いていたんじゃないかと思う…。


「杏寿郎さ、性欲おばけって言われたことない?」

「ああよく言われた!!」


ははーんやっぱりねー!悪びれずキラッキラの笑顔でハキハキと答えやがった!


「だが流石に昨日は今までにない程に飛ばしすぎてしまった。無理をさせてしまってすまなかった。しかし君があまりにも魅力的過ぎて抑えが効かなくてな!」

「私も夢中になっちゃったし気にしないで。けど流石に身体はちょっと怠いね!」

「いや全く!むしろいつもより元気だ!!」

「体力もおばけなのかな??」

「腹が減らないか!!出前でも取るか!!」

「ねぇ私の話聞いてる?」


ワハハとか言いながら片手で頬を撫でてきてもう片手は携帯のデリバリーページを開いている杏寿郎。これから先私身体保つかなーなんて考えながら彼の伸びてきた手に擦り寄ってみた。



〔Can we stay in this dream like we are 17?/17歳の頃みたいな夢の中にいましょう?〕



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