【33. Are you ready for this?】



「てーんげん!」

「宇髄!」

「何でわざわざカップルでクラブに来るんだよ!」

「最近はこういう楽しみ方もありでしょ!」


名前の家に泊まった次の週末にクラブに行かないかと彼女に誘われた。俺は今までそういった場所に出向いたこともなければ興味もなかったが、名前が普段遊びに行く場所が如何わしくないところだとわかってくれたらいいなと言うので行くと返事をした。それに美人で内面も愛らしい彼女の事だ。きっと色んな男に言い寄られているに違いない。どんは無謀な奴らが寄り付くのかも気になっていた。ついでに古い友人の宇髄もいるしな!


「煉獄はクラブなんか来るキャラじゃねぇだろ。」

「そうだな!しかし名前が普段遊びに行く場所を知っておきたかったんだ!」

「とか言いつつ偵察だろ?」

「ワハハ!よもやだ!」


感の鋭い宇髄のことだどうやら俺の考えがお見通しのようだ。酒を取ってくると俺たちから離れバーカウンターらしきところへ行く彼女を目で追う。飲み物が出てくるのを待っている彼女にものの数秒で男が声を掛けに行く。止めに行こうと足を一歩踏み出したところで宇髄が俺の肩に手を置く。


「まぁ落ち着けって、見てろよ。」


今すぐ止めに入りたい気持ちが強かったが宇髄に言われた通り黙って名前を見ていれば彼女は男に顔を向ける事もなく何かを言い近くに寄る男を手で制する。


「名前ちゃんなんか今までうんざりする程声掛けられてっから、断り方も避け方も心得てるんだよ。俺も派手にアピールしてきたがどスルーされた。」

「どスルーか!!」

「嬉しそうに言うんじゃねえよ!」

「杏寿郎お待たせっはいドリンク!」

「ありがとう名前!」


グラスを受け取り乾杯し酒を飲む。彼女に任せて頼んだ酒は強い物で流し込めば喉が熱くなる。それを彼女は涼しい顔をして飲んでいたので流石だと思った。やってられねぇと言いフロアへ踊りに行こうと言う宇髄の誘いを名前はさらっと断る。


「行かなくてよかったのか?」

「うん、杏寿郎はダンスとかあまり好きじゃないでしょ?」

「実はそうだ!俺が人前で踊るなど考えられん!」

「あははそうだと思ったんだ!それに今日は杏寿郎に私は心配になるような遊び方しないよってわかってほしかったの。」

「わざわざ連れて来なくても君がそう言うなら信じる。」

「だけど一応ね!天元の顔も見たかったかなって思って!」


そう言ってクイっとグラスの残りの酒を飲み干してグラスをテーブルに置けば俺の手を取り出口へと歩き始める名前。俺も慌てて酒を飲み干してグラスを近場のテーブルの上に置く。


「何処へ行くんだ?」

「杏寿郎の家に帰るの!」

「俺の家?」

「だって今夜はもっと大事なことがあるから。」


クラブの色が付いたライトに照らされた彼女が振り返って妖艶に微笑む。その姿がとても綺麗で今夜起こることを想像して俺は喉を鳴らして唾を飲んだ。



〔Are you ready for this?/覚悟はできているか?〕


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