【27. Decided to go to hell】



テレビの画面に映し出されている雪山に佇む大きなホテル。そのホテルでは怪奇な事が起き主人公は段々と豹変し自分の家族に襲い掛かっていた。物語もクライマックス。有名な映画だったが観たことはなかった。不気味なシーンが繰り広げられる度に横に座る名前を見るが彼女は怖がるどころか酒を飲みながらワクワクとした顔で映画を観ていた。


「はーーやっぱりこの映画好き!どうだった?」

「むう!雪山にあるホテルには行きたくなくなるな!」


映画が終わるとスッキリとした表情を浮かべ俺の方を見る名前。トラウマになる程ホラー映画が苦手なわけではないが、好んでは観ないし得意でもなかった。


「女性はこの手のものは苦手な人が多いと思っていたが、名前は得意なんだな!」

「怖いと思う映画もあるし観終わったあと家に一人だと少しだけドキドキしちゃったりするときもあるよ?けどなんか好きなんだよねー特に幽霊物の映画!」

「幽霊か…なぜだ?」

「もしも自分の大好きな人が突然死んじゃうとするでしょ。そしたらどうしても会いたくなると思うの。化てでも出てきてほしいって。だから幽霊が本当に居たらいいなって思ってる。」


手に持つグラスの中に残っている氷を指で突きながら少し寂しそうに笑いながら言う名前。その笑顔を見てなぜか胸がきゅっと苦しくなった。


「俺が死んだら化けて出てほしいか?」

「化けて出てきてほしいって思われる程私に好きになってもらえるといいね?」

「ははっそうだな!」


首を少し傾げながら挑発的に笑う名前が可愛くて思わず彼女の顔に両手を伸ばし頬を包めばリップ音を立てて唇を重ねる。


「俺は簡単に死んだりはしない。だからそんな寂しいことを言うな。」

「簡単に死んだりしたら許さないからね。地獄まで行って引きずり戻してやる。」

「俺は地獄行き決定なのか?」


天国とか地獄が本当にあるかはわからないが、地獄に落ちても俺を連れ戻しに来る君に会えるならそれでもいいかもしれないと思った。


〔Decided to go to hell/地獄に行こうか〕


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