【26. Unexpected tonight】



車を発進させる前に携帯で調べ物をした。女性が月のものに苦しんでいるときにどうしてあげればいいか。失礼がない様にどう支えるか。ネットの情報にはカフェインレスのハーブティーにおいしい食べ物とあったので、その通りにハーブティーやたくさんの菓子やアイスクリームを購入した。家でゆっくり映画を観れる様に映画配信サービスに登録をし、念のためドラッグストアで鎮痛剤も手に入れた。足らない物があればまた買い物に行こう。準備万端で彼女の家のチャイムを鳴らせばインターホンから声が聞こえることなくドアが開く。


「杏寿郎!」

「相手を確認しないでドアを開けるのは危険だ名前。」

「ちゃんと覗き穴で確認したもん!入って!」


本気で忠告しているのにヘラヘラと笑う名前。危なっかしいな、後で再度忠告しなければ…。1週間ぶりに会う彼女を玄関先で何も言わずに抱きしめた。突然腕を引き抱きしめたから名前は「わっ」と声を出していたが構わずに抱きしめ続けた。


「身体は辛くないか?」

「ははっ病気じゃないんだから大丈夫だよ。」

「病気じゃないんだから気を付けなきゃダメだろう。ゆっくり過ごそう。差し入れを持ってきた!」

「わお食料たくさん!黙示録が来ても大丈夫そう。」


俺の持っている袋のうちのひとつを手に取り中身を覗いて楽しそうに言う名前。もう風呂に入ったのであろう、メイクをしていない彼女はいつもより少し幼く見え、菓子を見て笑う姿はとても可愛らしかった。


「君の好きなことをして過ごそう。好きな映画を観たり好きなだけ好きな物を食べたり…好きなだけ寝るのもいい!」

「付き合って1週間でもう理解のある彼氏面してるの?…なんてね嬉しいありがとう!」


ちょっとした皮肉を言って俺の頬にキスをひとつ落とせばささっとリビングへと行ってしまう。ああ、この先彼女には一生敵わないんじゃないかと思ってしまった。
彼女の後を追ってリビングに入りテーブルの上を見ればぎっしりと並べられた酒、酒、酒。そしてファストフードの袋。確かこの時期にアルコールは避けた方がいいとあったがこれは…。


「私の生理のモヤモヤイライラを吹っ飛ばすためにはね、大量のアルコールにジャンクフードにアイスクリーム、ぶっ飛びアクション映画にホラー映画が必要なの!!いっしょに飲んでいっしょに映画観よ!!」


にっこりとキラキラ笑顔で言う名前。ああ彼女は綺麗だな。そしてやはり彼女にはきっと一生敵うことがなさそうだ。



〔Unexpected tonight/予期せぬ夜〕


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