【25.Plan B】



『ごめんやっぱり今日会えなくなった。また連絡するね!』


金曜日。今日働けば名前と会えると仕事に励み昼休みに昼食を取っているときだった。彼女から来たメッセージを読み思わず眉間に皺を寄せ携帯の画面を見る。やはり原因は先週末の出来事か…。名前と晴れて恋人同士になった。付き合った日どころか知り合った日も浅いが、彼女が心を開き近くに来てくれたと思ったらすぐに心を閉ざし遠くへ行ってしまう様なところがあると感じていた。今もまさにそうだ。週末は2人で楽しく過ごそうと言ってた矢先にこれだ。だが何故そうなったのか検討がついた。先週自分がやらかしてしまった失態だ。今思い返しても情けない…。彼女はそのことで愛想を尽かせてしまったのか。いや、しかしそんなことで冷めてしまう様な心の持ち主ではないはずだ。ならばなぜ…。



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『俺だ!杏寿郎だ!今話せるか!』

『電話でも声デカッ!お疲れさま、どうしたの?』


一人で考えていても仕方がないので、仕事を終え帰宅してから彼女に電話で理由を聞くことにした。少し気が重いがこれから長く付き合っていくためにもギクシャクとした事は少しでも解消していきたい。


『週末何か予定でも入ったのか?』

『えっとううん、そういうわけじゃないんだけど…』

『…やはり先週のことが原因か?』

『あーー…先週のことには関係あるかなぁ…』

『場の雰囲気を見事に壊してしまって本当にっ』

『違う!違うの杏寿郎!そんなことで断ったわけじゃないの!』

『じゃあなぜ…』

『ハァ……』


電話越しに彼女が大きく溜息をつく。先週のことには関係しているがそれが理由ではないとは…?


『あのね予定より早く生理きちゃったの。だから杏寿郎のことがっかりさせちゃうなーって思って…』

『……君は何を言っているんだ。』

『だって楽しみにしてたでしょ?私は楽しみにしてたの。だからすごくがっかりしてる。』


自分の想像とは違う結末に安堵すると同時に彼女を愛しく感じた。彼女を求めている自分と自分を求めてくれる彼女。もちろん嬉しくないはずがない。彼女を抱きしめたい気持ちが込み上げいてもたっても居られなくなる。


『家にいるんだろう?行ってもいいか?』

『別にいいけど、セックスできないし今回の生理重いから出掛けるのもちょっと無理かもしれないし…』

『だから君は何を言っているんだ。俺が君を好きになり付き合っているのは何処かに出掛けるためか、ましてやセックスするためじゃない。わかるだろう?1時間程で向かう。待っていてくれ。』

『…ふふ、わかった。待ってるね。』


電話越しに笑った彼女の声に釣られて笑顔になり通話を終了させる。鞄を取り出し自分の着替えを適当に詰めれば車の鍵を持って家を出る。先週思っていた休みとは違うプランだが彼女に会えることには変わりがない。俺は機嫌良く車に乗り込んだ。



〔Plan B/プランB〕


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