【23. and, Are you gonna be my boy?】



「君が好きだ名前。」


唇を離せばお互いの額をくっつけたまま杏寿郎は言った。その言葉に自分の鼓動が早くなるのを感じた。


「俺と付き合ってほしい。」

「ふふっ、普通付き合ってほしいって言って良い返事をもらったらキスするんじゃないの?」

「あぁほんとだな、それから付き合ってくれるなら連絡先も教えてほしい。」

「順番めちゃくちゃ!」


思わず2人で声を出して笑ってしまった。額を離して彼を見ればあまりにも自分のことを愛しそうに見つめてくるから思わず首に抱きつき自ら唇を重ねる。彼は驚いていたみたいだけどすぐに私の背中と腰に手を回し受け止めてくれる。


「私ものすごくわがままだし、手懐けるの難しいよ。」

「そこが可愛いんじゃないか。」

「世の男たちがいかにも好きそうな、背が小さくて色白で華奢で守ってあげたい女の子ってタイプでもない。」

「背が高くスタイルが良くて健康的な肌色で、気が強い君は俺にはすごく魅力的だ。」

「ものすごい酒豪だよ。」

「あぁよく知っている。」

「それに誰かをものすごく大切にしてあげられたことないの……杏寿郎のこと今までと同じくそんな風に扱っちゃうんじゃないかって不安。」

「そう考えてくれているってことは、君はすでに俺のことを大切に想ってくれていることになる。」

「杏寿郎のこと壊したくない。」

「言っただろう俺はちょっとやそっとじゃ壊れないって。それで名前、返事は?」


彼のひとつひとつ返してくれる言葉に不安が消えていき好きの気持ちが溢れ出てくる。心が温かくなって堪らなくなってまたキスをしようとすれば杏寿郎にコラコラと止められる。


「なんで止めるの。」

「君の返事を聞くまではもうくれてやらないぞ。」

「杏寿郎のくせにおあずけするなんて生意気。」

「君が正直に気持ちを伝えてくれればいいだけだ。」


私も意地っ張りな女だけど、彼もなかなかの強者だと思った。だけどもう自分の気持ちを隠すには無理がある。迷いがあった私の気持ちは確信に変わった。


「私も杏寿郎が好き、私を彼女にして。」


彼の顔を両手で包み込み爪先立ちをしキスすれば今度は拒まれずに受け入れてもらえる。唇を離して角度を変えてまた重ねるのを繰り返す。


「んん、名前、もうダメだ。」

「っん、なんで…?」

「抑えが効かなくなる…」

「…じゃあ早く帰ろ?」


そう言えば杏寿郎は返事もせずに私の手を取り早歩きし出すので負けじと彼を追い越し先を走り彼の手を強く引いた。


「踵が高い靴なんだから危ないぞ!」

「私ヒールでも全力で走れるの!それに早く帰って杏寿郎とイチャイチャしたいの!」

「よもや!!!」


そう言えば杏寿郎はヒョイっと私を肩に担ぎ階段を目にも留まらぬものすごいスピードで階段を降り始めてめちゃくちゃ怖かったので車に着いてからものすごく叱った。



〔and, Are you gonna be my boy?/そして私の彼氏になって?〕


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