【17. Teenager】



「つまり名前ちゃんはあんだけ突き放した男をホイホイ簡単に家に入れて、気を持たせて明日のデートの約束までしたってことか?」

「………はい。」


天元はお前なぁ…と呆れ顔で私を見た。土曜日の夜、梅ちゃんといつものクラブに顔を出して話していたところに顔馴染みの天元も来て、私と杏寿郎の話を一緒に聞いていた。天元が呆れるのもわかる。なんで私はあんなに杏寿郎を拒否しておいて、でも会えるきっかけがあれば浮かれ隣にいることを喜んでいるんだろうって思うもん。


「結局アンタはその男が好きなんじゃないの?まさか名前が恋する日が来るなんてね…。」

「俺には全くなびかないのにそんな男のどこがいいの?俺より派手に良い男なわけ?どこの誰だよ?名前は?」


グイグイと身体を近付けて来る天元を手で押し退けながら考え込む。どこがいい?そう聞かれてもわからない。深い仲にはなりたくないはずなのに彼に会いたい気持ちがある。彼にちょっかいを出して反応を楽しんでいる自分がいる。まさか、まさかこれって…。


「私あの人に恋してるの…?」

「だからそう言ってるじゃない。赤飯でも炊く?」


梅ちゃんのツッコミが胸に刺さる。大人になってからまだ寝てもいない相手にこんな風に気持ちが湧くなんて想像してなかった。私は10代の女子かっ。


「名前ちゃんがついに他の男との愛に目覚めたら俺泣いちゃう。行くなよ。」

「ちょっと名前から離れなさいよ!!」

「うるせぇよお前ちょっとは俺と名前ちゃんのこと応援しようとか思わないわけ?」

「思うわけないでしょドアホ!」

「なんだとバカ女!」


後ろから私を抱きしめ頭の上に自身の顎を置いてくる天元と梅ちゃんが言い合いをしているけど内容は全然頭に入ってこなかった。私が杏寿郎を好きかもしれない事実が衝撃的すぎてそれどころじゃない。


「明日やっぱり行くのやめようかな…」

「おうやめな俺と一緒にいろ。」

「ちょっとアンタは黙ってて!行きなさいよ!気持ちを確かめるためには相手と同じ時間を一緒に過ごしてみるべきよ。」


梅ちゃんの正論を聞いてそっか、そうだよね…と納得する。明日は彼と出かけて自分の気持ちを見極めよう。結果によっては彼にちゃんと好きと伝えるか、きっちり別れを告げるか…。


「ってことで私は明日デートなので終電で帰ります…。」

「今なんつった!?」

「名前が終電で家に帰る日が来るなんて…!」


天元の腕を解き雷に打たれたかの様に衝撃を受けている2人におやすみねと告げてクラブを出た。言っておくけどね、こんな私に一番驚いてるのは私なんだからね!!!



〔Teenager/ティーンエイジャー〕


[ 18/43 ]

[*prev] [StoryTop] [next#]




「#年下攻め」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -