【06. For real!?】



パチリと目が覚めれば知らない天井が見える。起き上がらないまま顔を横に向ければ知らない窓から差し込んでくる日差し。知らない布団を掛けている。そして私は真っ裸。うん、これは世間でよくあるパターンのやつだ、うん。

やっちゃったなぁ!と頭を抱える。昨日の夜のことを思い出そうとするけど、昨日は記憶を無くす程飲んだみたいでスペインバルのお店を出たことすら思い出せない。ワンナイトするときは酔っ払わらないでお泊まりは絶対にしないで帰ってくる私のポリシーはどこへ行った!!!っていうか相手は誰!?!?みんなと解散したあと一人でどこかフラついたのかな…

一人で悩んでいてもしょうがない。とりあえず起きてこの家に居るであろう一夜を共に過ごした相手と話をしなければ……。ベッドの周りを見ても自分が着ていた服も持っていた物も何一つない。ベッドサイドテーブルに着てくれと言わんばかりにTシャツとハーフパンツが置いてあった。はぁ、とため息をつきTシャツを着て、ハーフパンツはショーツも履いてないしTシャツの丈が膝上ワンピースみたくなっているので履かなくていいやと置いていく。

寝室のドアを恐る恐る開けリビングであろう部屋に一歩踏み込むとどこからか突然現れた人物に肩がビクッと跳ね上がった。


「起きたか!おはよう!気分はどうだ!!」


お、お前かぁああーーーーー!!!!れんこんさん、じゃないえっと、煉獄さん!!昨日と変わらぬ声量とカッと開いた大きな目で見つめられクラクラして思わず壁に寄り掛かった。


「やはり二日酔いか!?」

「いや二日酔いはしてないですぅ!」

「よもや!!あんなに飲んでおいて二日酔いなしとは恐ろしい子だな!!」


ワハハと笑う煉獄さんの声は二日酔いじゃないけど寝起きの頭に響いた。あのぉ…と昨日なんでこんなことになったかを聞こうとしたところで煉獄さんが私の下半身を見て固まっていることに気付く。


「え…な、なにか?」

「よもやとは思うがその、下には何にも…」

「あー、履いてない、下着もなかったしとりあえずこれでいいかと思って…」


バッと私から目を逸らしたかと思えば口元を片手で多い顔を真っ赤にする煉獄さん。昨夜もっと恥ずかしいことをしたであろうに、こんなことでなぜ照れるの…。


「名前さんの服は訳あって洗濯して今乾燥機にかけているところだ、その、その間に風呂へ入ったらどうだろうか、昨日のままだと汗も掻いてるであろう…」

「確かに身体ベタついて気持ち悪いし…シャワー借りてもいいかな?」

「もちろんだ、廊下を出て右手に風呂場がある、タオルも洗面所にあるので自由に使ってくれ…」


モゴモゴと抑えた手の中で話す煉獄さんの声は小さかった。小さい声でも話せるんだ!なんて驚いてしまった。この格好でいると煉獄さんを困らせてしまうようなのでじゃあシャワー借ります〜と言いながらお風呂場へ向かった。はぁ…まさかの相手すぎて自分に驚愕。お酒少しは控えようかな?なんて絶対そんなことできるはずもないのに頭の隅の方で考えてみた。



〔For real!?/マジで!?〕


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