「………三、番隊」
各隊に届ける書類の届け先を確認して、思わず呟きが漏れた。護廷十三隊のひとつ、三番隊。隊長の市丸ギンが雅は苦手である。苦手というか生理的に受け付けないのだ。
理由は至極簡単なものなのだろうけど、雅自身理由がよくわかっていない。わかることといえば市丸ギンが何時も浮かべているあの食えない笑みに酷く吐き気を覚えること。自分を見る瞳に言いようのない嫌悪感を覚えることくらい。
そんな理由から、雅は三番隊隊長という人物が好きではない。けれども仕事だから、苦手だからという理由で拒否するなどという真似は許されない。雅自身が許さない。
腹を括るしかないようだと、自然と漏れそうになる溜め息を堪えて、足を進める。恐らく胃痛で苦しんでいるであろう三番隊副隊長の姿が脳裏を掠めて、自然と書類を持つ手に力が籠もった。
変わらず感じる霊圧に異常がないことに知らず、安堵しながら。