探す



※名前変換ありません。(今回なまえさん出てきません)
 【出会う】の続きです。


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『しょうちゃん』が見つからないッス。

先日なんとなく授業をサボった時に偶然出会った女子生徒の『しょうちゃん』。
本名も学年も知らない彼女は、俺のことを全く知らなかった。
世間的にも結構有名だと思っていた俺はなかなかの衝撃を受けた。

『モデルの黄瀬』でも『キセキの黄瀬』でもなく『ただの男子生徒の1人』として接してくれた彼女ともう一度話しがしたくてあの日から俺は彼女を探している。
会ってから2週間は経った。でも会えない。

何となく見た感じから同じ学年かと思ったので、1年の別のクラスを探して見たのだがそれらしい子は居なかった。
この間の教室に行ってみたら扉に『生徒立ち入り禁止』と貼り紙がされていた。
ついでに鍵も閉められていた。


「図書準備室ってところだったんすねー。じゃあ話してた先生は図書の先生か…」


彼女との接点はこの教室しかない。
うーむ、困ったッスね…。

別に何か用事がある訳でもないし、あれっきりでも何も問題はない。
しかし見つからないとなると逆に会いたくなるってもので。
俺はちょっとムキになって彼女を探した。

部活後、着替えながら溜息をついて「何でどこにもいないんスかねー」と独り言を言ったら、隣にいた森山先輩が「何だ、悩み事か? 恋でもしたか?」と茶化してきた。


「そんなんじゃないッスよー。ニヤニヤしないで下さい」
「何だつまらん。じゃあ意味ありげに溜息吐くなよ」
「つまらんって…相談に乗ってくれないんスかー?」
「えー、お前の相談に乗っても俺に良いことないもん」
「酷いっすねー」


そこでふと気付いた。
森山先輩なら何か知ってるかもしれない。
森山先輩って女子生徒に詳しいし、可愛い子ならとりあえず声掛けて名前聞いてるし。
あの子も結構可愛い顔してたし。
ダメ元で聞いてみよう。


「あの、森山先輩」
「あー?」
「森山先輩、図書の先生と仲の良い『しょうちゃん』って子知ってます? 結構可愛い子なんスけど」
「なに、可愛い子だと」


興味なさそうに着替えを進めていた森山先輩が手を止めてこっちを見た。
そして真剣な顔をして「細かい特徴を話せ」と言ってきた。

外見など、自分が知ってる『しょうちゃん』のことを話す。
「あと、俺に興味がないみたいッス」と言ったら「何だその好物件」と真顔で言っていた。

一通り話したら森山先輩が「分かった」と言った。


「え、森山先輩今の情報だけで分かったんすか!」
「いや、分からん」
「何なんすかー」
「とりあえずこれからお前がすべきことは分かった」
「………なんスか…?」


何となく嫌な予感がしながらも、とりあえず聞いてみる。
そして森山先輩はとても良い笑顔で言った。


「俺にその子を紹介しろ」
「会えないって言ってんのに?!」


「あ、そういやそうだった。お前肝心なところで使えないなー」とか言われた。
さっきも思ったけどこの人ひでえ…。

結局なにも進展はなさそうだ、と項垂れる。
いつの間にか着替え終わっていた森山先輩が「『しょうちゃん』は知らねえけど、図書準備室が空いてる時間なら知ってるぞ」と思いがけない台詞を言った。


「え、本当ッスか!」
「ああ。教えてやろうか?その代わり…」
「分かってるッス!」
「よし、じゃあ教えてやろう。明日の昼休みに行ってみ。絶対開いてるから」


「じゃあな、お疲れ」と言いながら部室を出て行く森山先輩に「あざす!」と言って見送り、自分も帰り支度を進める。
明日の昼休みに行けば良いのか。
そこに彼女がいるかは分からないがとりあえず行ってみよう。
そんなことを考えながら部室を後にした。



【探す】

(しっかし、ホントに開いているんすかねー)

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続く。

Title by
確かに恋だった

2012/12/10


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