犬派?猫派?


「なあなあ、犬派?猫派?」


体育館の端でテツヤ2号を撫でて遊んでいたら小金井先輩がこちらを覗き込んで聞いてきた。
練習が始まるまでまだ時間があるようだ。


「んー…どっちもですかね?」


と答えたら、通りがかった日向先輩に「ポリシーは無いのか!」と怒られた。
だって犬と猫の魅力って全く違うものじゃないですか。
犬は素直で人懐っこい子が多くて可愛いし、猫は気ままで時々甘えてくる感じが可愛いし。
そんなの決められる訳ないじゃないですか。

目の前にいた2号を見ると「何か?」とキョトンとした表情でこっちを見てきた。うん、可愛い。
良し良しと2号の頭を撫でながら「強いて言うならどっち派だろうなー」と考えていたら、私の隣に座った小金井先輩が「やっぱ決めらんねえよなー」と言った。


「さっきさー、俺も日向に同じ質問されて。すっごい困って、未だに答えが出ないんだよなー」
「犬も猫も可愛いですもんねー」
「前は猫派って答えてたかもしんないけど、2号と一緒にいるとなー。犬も良いよなーって思うわけでして」


そう言いながら小金井先輩は「うりゃーっ」と2号のお腹を撫で回す。
2号は特に抵抗するでもなく、なすがままになっている。

楽しそうに2号を撫でている小金井先輩を見る。
先輩は猫みたいな見た目だよな。でも小金井先輩って顔は猫に似てるけど、性格はどう考えても犬だよなぁ。
ってことは小金井先輩は犬っぽい猫? おお、一粒で二度美味しい感じ。
良いな、犬っぽい猫。今度から「犬っぽい猫派」って答えようかな。
あー…でも長いか。しかも狡い答えだよなぁ。

ジッと小金井先輩を見ていたことに先輩が気付いて「どうかした?」と聞いてくる。
視線を2号に移して、さっきまで先輩がやっていたようにお腹をモフモフと撫で回しながら考えたことを言った。


「色々考えて自分が『犬っぽい猫』が好きってことで結論が出そうなんですが、それだと狡いって言われちゃうかなぁって」
「あー、確かに美味しいとこ取りだな。んー…その『犬っぽい猫』のモデルになった子っているの?」
「はい、いますね」
「じゃあその子の名前出して『この子派』って言えば?」
「なるほど。

 じゃあ私は『コガ派』ですね」


「………え?」
「『犬っぽい猫』のモデル、小金井先輩ですから」


そう言うと小金井先輩は急に立ち上がり「お、おお、オレっ!れっ、練習しないとっ!」と言いながらコートの方へ走って行ってしまった。
体育館の端に2人残されてしまった私と2号は顔を見合わせ首を傾げた。

特に深く考えずに言った言葉だったが、相当な爆弾発言だったのだと、リコ先輩に言われてやっと気付いた。
そ、そういう意味じゃないんです!!


【犬派?猫派?】

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9月の拍手でした。
コガちゃん可愛いですよね。

2012/09 拍手 2012/10/23 収納


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