すずむら | ナノ




『今日渋沢先輩たちと飲むんだけどなまえも来る?』


と竹巳に誘われ二つ返事で行った飲み会。

久々に見る生の武蔵森の皆にやっぱりイケメンだなあと思いつつ楽しく飲んでいた。

だけど数時間後、来たことを心底後悔することになる。




『みょうじおまえ全然飲んでねぇじゃねえかもっと飲め、ほら』


「いや私もう十分飲みましたから…!だから三上先輩もそろそろやめましょ?ね?」


『テメーこの俺が入れた酒が飲めねえって言うのか?あ?』


「そういう事じゃないですけど…!ああもうなんだこの人面倒くさい!普段とキャラ違いすぎでしょ!」


『三上先輩は武蔵森で一番酒癖悪いからね。なまえそれ貸して。俺飲むから。はい水』


「タク…ありがとう。にしてもこれは酷いでしょ…ファンの子たちが見たらみんな泣くよ…てゆうか相変わらず強いね…」


『俺ザルだからね。いつもみんなを介抱する羽目になるけど』


「あー…可哀想に…って、みんな?」


てことは後の2人も酒癖悪いの?
なんなんだ武蔵森。
みんな疲れてるから悪酔いするんじゃないの?

と考えを巡らせていると

どんっ

後ろから強めの衝撃。


うわっ、と声を漏らし後ろを振り向くとアルコールの匂いを振り撒く犬。
もとい藤代くんが満面の笑みで私を見ていた。



「藤代くん?なに?」


『へへ、なまえー


ちゅーしよっか!』


「は?!しないよ!いきなり何言い出すの!」


『えーいーじゃんけちー!減るもんじゃないっしょ一回ぐらいー!』


「減るよ!何かしら減るんだよばか!離れなさい!」


『おれのことばかって言ったから離れませーん ちゅーしてくれたら離れてもいーよ?』


『あ、誠二はキス魔だから気を付けてね。三上先輩、ビールとってください』


「言うの遅いよ!てゆうかまだ飲むの?!」


藤代くんは三上先輩とは違う意味で面倒くさい。てゆうか危険だ。

ここは元キャプテンの渋沢先輩に助けてもらおうと声をかけた。



「渋沢先輩、もうあの2人どうにか……あれ?渋沢先輩?」


さっきまで楽しそうに飲んでいたのに今は固まっていて微動だにしない。

寝てるのかな?と思い強めに肩を叩く。と、


『…ん?どうした、みょうじ』


いつもとは全く違う、とろけきった顔の渋沢先輩がいた。


「………いえ、なにも。それより先輩、大丈夫ですか?そろそろやめといたほうが…」


『いや、だいじょうぶだ。やさしいな、みょうじは。ありがとう』


と言って渋沢先輩は手をぽん、と私の頭に置いた。
その行為と私を見つめる目が優しすぎて思わず顔に熱が集まる。

そして先輩の頭がゆっくりと近付いて…私の膝に倒れ込んだ。


「…え、ちょ、渋沢先輩?」


『キャプテン寝ちゃった?一回寝るとなかなか起きないんだよね…誠二、そこのビールとって』


竹巳の声を耳に入れつつ気持ち良さそうに眠る先輩の顔を見る。
写真を撮って売ったら高値で売れるんだろうな、と思いつつ軽く頬をたたいた。



「はあ…帰りたい」


『なまえ帰るのー?さみしいなーもうちょっといなよー!』

『お前朝までいるってさっき言ってたろ。大人しく飲んどけ』

『…どんまい』

「…もう絶対来ないから」


翌朝、昨日の記憶がないと頭を抱える竹巳以外の3人にいらっとするのは、あと数時間後。



<酒は飲んでものまれるな>


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紫苑がツイッターで言ってたネタをいただきました^^
武蔵森と飲み会したい(^ω^)

ありがとうございました!