「みょうじ、少しいいか」
「ん?いいよ、どうしたの?」
「…」
「福富?」
「みょうじ」
「はい…?」
「俺はおまえが好きだ。付き合ってくれないか」
「……え」
人間は本当にびっくりした時、
何も考えられなくなるんだと知った。
部活が終わりさあ帰るぞ、と立ち上がると主将である福富に呼び止められ、告白された。
状況は理解したが受け止められない。
なぜ今なのか。
そもそもいつから私のことを気にかけてくれていたのか。
何か聞こうにも出てこない。
「…1年の時から、支えてくれていただろう」
私が何も言えないでいると
沈黙に耐えきれなくなったのか
福富が話し始めた。
「いつでも明るく、元気な姿に惹かれていった。
2年のインターハイ後、塞ぎ込んでいた俺に大丈夫だと声をかけてくれたな」
「マネージャーとしての仕事の一環だったのかもしれんが、救われた。
本当に何もかもが大丈夫だと思えた」
「レース前に笑って送ってくれるみょうじの笑顔が好きだ」
「その笑顔が、俺だけのものになればいいのにと思うようになった」
「ちょ、ちょっとストップ福富」
ロードのこと以外でここまで一気に喋る福富はレアだ。
というか恥ずかしい。誉め殺しでもされるんだろうか私は。
熱くなっているであろう頬を抑えながら改めて福富の顔を見る、と、
「…そんなに顔真っ赤になるくらいなら言わなきゃいいのに…」
「…何か言わねばと思ってな」
顔を真っ赤にした福富がまっすぐこっちを見ていた。
こんな時でも目を逸らさないというのがなんとも福富らしい。
そんなどこまでもまっすぐな彼を愛しいと思う自分がいた。
「ありがとう福富。
ロード一筋な福富が
私のことそこまで考えてくれて嬉しい。
私も、福富ときちんと向き合いたいから…
その、少し待っててくれます、か…?」
彼がまっすぐこちらを見て思いを伝えてくれたので私も見習ってみたが
途中で恥ずかしくなりしどろもどろになってしまった。
それでもなんとか伝えると、いつもは滅多に動かない彼の顔が少し和らいだように見えた。
私から思いを伝え直す日もそう遠くないな、と感じた。
<まっすぐすぎるあなたがすき!>
−−−−
書いちゃいましたpdl\(^o^)/
巻ちゃんを書こうと思ったら福ちゃんが出来上がってました。
おかしいなあ
お読みいただきありがとうございました!
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