すずむら | ナノ



※色々捏造



最初にその人を見かけた時

なんだかついてない人なんだな

と思った。


なにやら大きくていかつい人たちに囲まれている気弱そうな人。

きっとあの一番大きい人かその次に大きい人に目をつけられて以来パシリにされてるんだ、と勝手に妄想し勝手に憐れんでいた。


数日後、その時の話を隣の席の作並くんに話すと
あの人達は彼自身も所属しているバレー部で、私が気弱そうだと言っていた人はキャプテンのモニワさんだと苦笑しながら教えてくれた。

面識ないとは言え先輩、しかも3年生になんてことをと申し訳なくなり、とりあえず作並くんに謝罪をした。


それから校内のどこかでモニワさんや彼を含むバレー部の人たちを見つけては目で追うおかしな癖がついてしまった。

目で追いつつ考えることは
腰が低そうだなとか
怒っても怖くなさそう、いや逆に怖いかもなとか
どうしてキャプテンになったのかな
などと失礼なことばかりだったが
目敏く見つけては凝視してしまうという不思議な日が続いた。



それからしばらく経ったある日。
私は途方に暮れていた。


「音楽室ってどこだ…」


物覚えの悪い私は
入学から1ヶ月半ほど経った今でも
教室の場所を把握しきれずにいた。
いつもは友達に付いていくので迷うことはないけれど、今日は用事があったので先に行ってもらった。
さすがにもう1人でも大丈夫だろうと思ったのだが甘かった。

授業が始まるまであと5分もない。
とりあえず引き返そうと踵を返したところで誰かに呼び止められた。



「あ、えっと…1年生…だよな。どうかした?」


「…あ」



呼び止めたのは(私の中で)話題のモニワさんだった。



「ん?」


「いや…音楽室ってどこでしたっけ?」


「音楽室は…こっちと逆だけど」


「え」



もう自分の記憶力のなさに笑うしかない。
顔が赤くなるのを感じつつ
お礼を言おうと頭を下げた、瞬間。


がちゃん、バラバラバラ…


私の身体と教科書の隙間にあった筆箱が滑り落ちた。
おまけにファスナーが開いていたようでペンが廊下に散らばる。



「おお…大丈夫?」


「…ほんとすいません」



穴があったら入りたいというのを身を持って痛感した。
アホなやつだと思ってるだろうなと思いつつ再度頭を下げた。



「すいません、ありがとうございました」


「どういたしまして。まだ入って日浅いもんなー、仕方ない!」


「モニワさんのおかげで覚えました。…失礼します」



もう本当に時間がない。そう思い走りだしたところでモニワさんが「あっ!」と大声を出した。

ペンでも拾い忘れたかなと思い振り返ると



「気を付けてなー!」



と言われた。
予想してなかった言葉に驚きつつ「…はい」と返事をして今度こそ走りだした。

授業が終わり教室に戻るやいなや作並くんに
「モニワさんって彼女いる?」
と聞くまであと1時間。




<ゆっくりとおちていった>

(…いないと思うけど…え、もしかして…)
(いないんだ。…よし)

(なんであの子俺の名前知ってたのかな)


―――――

書いてしまいました819!!
なぜかもにー!なぜか!←
伊達工ちゃんだいすきなんです。
もにー難しかった。
優しい感じが出てたらいいなあ。
ちなみに大きい人→青根くん
次に大きい人→鎌先くん
です。

またコミックス出たら書き直します。


読んでくださってありがとうございました!