すずむら | ナノ




「も……い…」


『え?』


「もう克朗なんてきらいっ!別れる!」


ああもう、こんなこと言いたいんじゃないのに。
でも今さら後には引けず下を向いて黙っていると


『本気で言ってるのか、それ』


と怒ったような声が聞こえた。


「…っ本気だよ!もう克朗なんかしらないもん!」


『…勝手にしろ』


「勝手にするよ、ばーか」


私が呟いたと同時に、玄関のドアが閉まる音がした


どこへでも行っちゃえ、サッカーバカ。
そう吐き捨て、私はソファに体を沈めた。





『別れよう』


…え?何言って…


『その方がなまえも寂しい思いしなくて済むし…』


もしかしてさっきの話、本気にしてるの?
やめてよ、あんな言葉、本心じゃないって分かるでしょ?


『ごめんな、こんな情けないやつで』


謝らないでよ…さっきのことだって私が一方的に切れただけなのに…


『…さよなら』


待って…待ってよ!





「かつろっ…!」
ごんっ

「いた…夢か…」


あれから寝ていたらしい。
ソファから落ちた体を起こし
時計を見ると2時間ぐらいたっていた。


…謝らないと。怒ってるだろうな。どこにいるかな。家?それとも…

女の人のところ?

そこまで考えた瞬間、いてもたってもいられなくなり、家まで行こうとドアを開けようとしたら


ガチャ

『なまえ?どこに行くんだ?』


買い物袋を持った克朗が帰ってきた。


「克朗…どこ行ってたの?出てったのに…」


『ああ、頭冷やそうと思って歩いてたらスーパーが見えたから…夕飯の買い物しようと思ってな』


平然とした顔で言う克朗を見ていたら…


「…ううー」

泣けてきた。

『おわ、なまえ?どうかしたのか?』

思いきり抱きつくと
突然の衝撃に少しよろめきながらもしっかりと抱き止めてくれた。


「…ゆめ、みたの」


『どんな?』


「…克朗にフラれる夢。
別れたほうが私のためだって、
情けないやつでごめんなって。
夢の中でも人のこと第一で…ムカつく」


『はは、ごめんごめん』


「…ねえ」


『ん?』


「…ごめんなさい。別れるとか、嘘だから。もう絶対言わない。わがままも言わないから」


『わがままも?それは無理だろうな』


「う…じゃああんまり言わないようにする」


『はは、嘘だよ。なまえのわがままに振り回されるのも嫌いじゃないしな。あ、でも』


「なに?」


『きらい、はやめてくれ。あれでも結構本気でへこんだから』


「ふふ、はーい。あー!寝て泣いたらお腹すいた!ご飯作って?」


『そこは“一緒作ろう?”じゃないんだな…』


「だって克朗が作ったほうがおいしいもんっ!さ、早く早くー!」


<渋沢さんとけんか>

(なあなまえ)
(ん?なに?)
(仲直りのキスは?)
(…!しないよばか!)

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年下ヒロインでした!
喧嘩の原因は…ヒロインがわがまま言ってそれに渋沢さんが思わずいらっとしたんでしょう
書ききれてない感ハンパない!
もっとちゃんとまとめたいな(´^ω^`)
ここまで読んでくださってありがとうでした!