すずむら | ナノ



…なんだあれ

放課後、いつものように
体育館へ向かうと
黄瀬とマネージャーであるみょうじが
言い争いをしていた。

いつもは割と仲のいい2人が
言い争ってるのも珍しい、と
思いつつ止めようとしたが
聞こえてきた会話に
思わず固まってしまった。


「絶対私の方が笠松さんに愛されてるもん!」


「いや絶対オレっスよ!」


「どこが!?
殴られてるだけじゃん!」


「アレはオレのこと
かわいいからやるんスよ!
愛故ってやつ!」


「言っとくけど
その光景傍から見たら
躾されてる犬にしか
見えないからね!
私は殴られたりしないし!
頭撫でてくれるんだよー羨ましいでしょ?」


「みょうじっちも犬みたく
扱われてるじゃないスか!」



俺からしてみれば
どちらも犬みたいだ。
そして恥ずかしいから
そろそろやめろ、と声をかけようとしたら


「人気者だな笠松」


と言って森山が横に並んだ。


「…人気者、つーより
大小2匹の犬になつかれてる
感じだけどな」

「はは、確かに。
でも悪い気はしないだろ?
羨ましいぜ主将」


「でかい方でよければやろうか?」


「えー…オレ小型犬派なんだけど」


「……あっちはお前に渡すとなんか危ねぇからな、ダメだ」


「とか言ってみょうじを取られるのが嫌なくせに…
キャプテンったらやらしー!」


「ばか、ちが「「笠松センパイ!」」…!」


別に変な意味はないと
否定しようとすると
犬2匹…もとい黄瀬とみょうじが
こちらへやってきた。


「どうした?」


「先輩は私と黄瀬くん
どっちが好きですか?」


「は、」


「絶対オレっスよねセンパイ!」


「私ですよね?!
私の方が好きですよね!?」


と言って上目遣いするみょうじと黄瀬。
黄瀬のほうは正直ウザい。

そして「みょうじって言っちゃえよ」
と言わんばかりのにやついた顔で俺を見る森山。

照れやらイラつきで耐えきれなくなった俺のすることは1つだった。


「〜っいいから練習すんぞオラ!みょうじも仕事しろ!」


「スマッセン!!」
「はいっごめんなさいっ!」


「つまんねーの」
「なんか言ったか森山」
「別にー?ま、頑張れよ飼い主さん」



<どっちがすきなの?>


(みょうじっちがしつこいから怒られたんスよ)
(はあ?黄瀬くんだってうざかったよ?雰囲気が)
(そんなことないっスよ!だいたい…)
(お前らいい加減にしろ!)
(ごめんなさい(っス))

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黒バス処女作は笠松さん!
実習中の紫苑に捧げました。

読んでくださった方ありがとうございました!