***




「デュナミス・ヴァルキリアでプレイヤーにダイレクトアタック!!!」

「う…うわあああああ―――ッ!!!」



【LP 1500→0】



「勝者!ユーリ・ムトウ!!」



ワアアアア―――――――ッ!!



「………あれ?」





あれやこれやという間にじーちゃんによって誘拐され、参加させられたアメリカのデュエルモンスターズのジュニア大会。
絶対1回戦で負けるからね!という僕の宣言は大幅に裏切られ、なんやかんやでBブロックを1位で通過していた。…えええええ、どういうことなの………?



「キミ、日本人だよね!?すっごく強くてびっくりしたよ!日本にはこんなプレイヤーがまだまだいるのかい?」

「え…えっと…」



Bブロック決勝の相手だった男の子が、瞳をキラキラ輝かせながら迫ってくる。
今の僕より、1つか2つ年上だろうか。綺麗な金髪に青い眼の美男子だ。
どうでもいいけど、この世界は万国共通語なんだろうか。普通に言ってること分かるんですけど。


「ぼ、僕…あんまり大会には出たこと無くて……」

「そうなの?こんなに強いのに勿体無い!これからはもっといろんな大会に出るべきだよ!」

「(えっ僕強いの?マジで強いの?)」



それから彼とは二言三言話して別れた。足早に向かうのは、観戦席のじーちゃんのところ。



「じーちゃあん!!!」

「おお、遊理。Bブロック1位通過おめでとう」

「ありがとう!!でもどういうことなのこれ!?僕絶対1回戦で負ける気満々だったのに!」



わたわたする僕に眼を細め、じーちゃんはぽんと僕の頭に手を置いた。



「遊理や、それが今のお前の実力なのじゃよ。今までワシとしか闘ってこんかったから分からんかったんじゃろうが、お前は強い」

「で、でも……」

《各ブロック通過者にご連絡いたします。これより準決勝第一試合を始めます。Aブロック、Bブロックの1位通過者は、1番テーブル、Cブロック、Dブロックの1位通過者は、2番テーブルにお集まりください》



あ…。
デッキを両手で抱え、僕はアナウンスが響いた天井を仰ぐ。
呼ばれちゃった…。まだ全然実感無いのに…。



「遊理」

「なあに?じーちゃん」

「ここまできたら、優勝あるのみじゃぞ!」

「やめてよ変なプレッシャーかけんのぉ!!」



僕の豆腐メンタルはすでに限界に近いんだよ!!
若干半泣きになりながら叫び返す。
じいちゃんはホッホッと笑って、デッキをもつ僕の手にそっと自分の手を重ねた。



「大丈夫じゃ。自分と、デッキを信じなさい」

「!」

「お前は強い。それはずっと手合わせしてきたワシが、一番よくわかっとるよ」



その言葉に、僕は小さく頷いた。




「じーちゃんにすら勝てなかったから、大会なんて無謀だと思ってた…」

「おいこら!ワシを何だと思っとる!ワシは強いぞ!!」









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